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14.不正の末路

「おはよう、昨日は手伝いにの人達のおかげでだいぶ数が揃った、今日は残った分を仕上げて王国分にも手を付けていこう、では作業を始めてくれ」


 今日手伝いは来ない、四課だけで間に合うからだ。

 昨日は人が大勢いたからか四課のみになると寂しく感じる、元に戻っただけなのに。


 作業を続けていると昼過ぎには帝国分が出来上がった。

「お疲れ様、帝国分は数が揃った、私は営業部へ報告に行ってくる、皆は続けて王国分を作ってくれ」

 間に合わないと思われた仕事が期限より早く終わり皆胸をなでおろす。


「私クラン課長に食事に誘われちゃった〜」

「え〜私も誘われたのに〜」

 クラン課長は四課の女性を片っ端からナンパしたみたいだ、最も仕事をさばいていたのに。

「あらあら、私もお茶に誘われたわー」

 まさかハル婆さんまで……全ての女性に声を掛けないと気が済まないのか?

「ンマー私は誘われてないわ!」

 どうやらちゃんと選んでいるらしい。


 王国分を順調に進めているが課長代理が戻って来ない、営業部に報告しに行っただけなのに、代わりに営業部のイラーク課長が来て入り口で揉めている。


「帝国分は出来上がって倉庫に持って行ったんだな!?」

「はっはい、もう倉庫に運びました」

 どうやら冷風機の進捗を聞きに来たようだが、とっくに課長代理が報告した行ったはずだ。

 すぐに出て行こうとした時に課長代理と鉢合わせた。

「皆が捜しているぞ、イラーク課長」

「うるさい!」

 課長代理を押し退けて四課から出ようとした瞬間、体をくの字にして後ろに吹っ飛んだ。

「あぁ? お前が捜してた奴か?」

 ヤバイ女、副塔長が現れた。


 暴力の塊の登場により四課が静まりかえる。

「お前かって聞いてんだ!」

「ガッ……グッ…………」

 いやいや喋れないでしょ、後ろに吹っ飛ぶ程のボディーブローを喰らったのだ。

「おい女! こいつが総務の捜してた奴で間違いないか?」

「はい、営業部イラーク課長に間違いありません」

 課長代理が答えると、副塔長はイラーク課長の襟首を掴み引きずって出て行ってしまった。


 静寂の中、課長代理が口を開く。

「皆集まってくれ、今起きた事と今までの経緯を説明しよう」

 


 課長代理の説明によると総務部が営業部を調べているとイラーク課長の不正が見つかる、巧妙に隠されていたらしく発覚したのは今日の昼過ぎだった。

 イラーク課長は今朝から姿を消しており、総務部が捜索を開始するタイミングで課長代理が報告に訪れた。

 説明を受けた課長代理は念のため倉庫に向かい、倉庫の人達に誰が来ても冷風機を持ち出さないようお願いして一旦営業部に戻る、すると副塔長がいて道具課に案内するよう言われたようだ。


「あとは先程の通り副塔長がイラーク課長を連行したわけだが……どうなるかはわからないが我々は道具を作るだけだ、王国分の残りを仕上げて行こう」


 皆が作業に戻る中アンナさんが入り口辺りで何か拾っている。

「何か落ちてるんですか?」

「あぁ後輩君、これと同じ物、私がニ課にいる時作った事があるの」

 そう言って床に落ちた破片を拾う。

「これが腕輪でこっちが指輪のカケラかな? あとこれが服の上に貼る奴、全部防御力が上がる魔道具で全部壊れてる、これ装備してなかったらあのおじさん死んでたんじゃないかなーって思ったの」

 副塔長は質問する前にまず殴ったよね? 確認しないで殺人パンチを放つのはマズイでしょ。

 アンナさんは残骸を丁寧に全て拾いゴミ箱に捨てた。

「私道具ニ課の仕事は好きだったんだよね、人の命を守る物を作るって素晴らしいと思ってたの、でもこれからは四課で頑張っていこう! 片付け終わったし仕事に戻ろっと」

 残骸と一緒にニ課への未練も捨てれたようだ。


 本日の業務はイラーク課長の捕物騒動以外は順調に進み明日には王国分も終わりそうだ。




「おはようございます、朝早くからすいません、営業部の者ですが、ミスト課長代理はいらっしゃいますか?」

 最近毎日営業部の人が訪ねてくる。


 今日の仕事が終われば初期の大量発注はすべてこなして一段落するはず、先程きた営業部の人が新規や追加を持ってこなければだが……。

「皆集まってくれ」

 あぁやっぱり増えるのか。

 

 結果は反対に減る報告だった、帝国の発注は三百台ではなく二百台だった、イラーク課長は百台も水増ししていたのだ。

 帝国には二百台納品して余った百台は王国分に回すことになった、これで初期の大量発注は終わった事になる。


「納品分は作り終わってるので、これから作る物は倉庫に在庫としてとっておこう、皆お疲れ様、最初の山場は乗り切った」

 課長代理の宣言に歓声が上がる。

「「おー!」」

「お疲れ様です!」

「ふーやれやれじゃ」

「課長代理打ち上げしましょう」


 誰からか打ち上げの提案が出る。

「そうだな……今日の作業は早めに切り上げて一席設けよう」

「やった! 課長二番街のレストランガルフがいいです、安くて美味しいし個室もあります」

「あぁ、あの店か、アンナ君後で予約を取っておいてくれ」

「はーい」

 大事な局面を乗り切った後の打ち上げはいいね。

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