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12.オルタニア王国第四王子

「申し遅れました私はオルタニア王国第四王子アルフレッド・オルタニアです」

「王国の……王子?」

「まず法国の事なんですが、法王庁が一括買い上げでしたか?」

「あぁ、いえ、はい法王庁が全て買いとったはずです」

 やはり法国は法王から下賜と言う形を取ったのだろう、王国も同じ様にするはずだ。

「では王国は王宮が一括で買い上げでしたか? 私はしばらく王宮を離れていたのでわからないのです、どうですか? ロイヤル嬢」

「……王子様……はい今回は王宮のみの取り引きで、国として買い取って頂きました」

 王国も王から褒美やら労いの品などとして新しい魔道具を使うつもりなのだろう。

「王宮ではどなたと商談されましたか?」

「ドットール外務副大臣です、それに何故かイグニス第一王子殿下も同席されてました」

 ドットールは見た目は厳ついが酒好きのおっさんだ、それにイグニス兄さんもいたのか。

「それでは私からドットールそれにオルタニア王に今回の件を伝えます、納期はさらに遅れてしまうが白の塔側の不手際でありロイヤル嬢には何も落ち度はない事を、しかし今から手紙を書いてもオルタニア王宮まで早馬でも四日は掛かってしまうな……」

「王子、飛竜便なら一日で着きます、ただし費用は高額ですが……」

 ガストさんが提案をしてくれた。

「ほぅそんな便利な物があるのか、それで頼む、さっそく手紙を書かなくてはな、それと父上もドットールもワインが好きだから何本か見繕って手紙と一緒に送ってくれ」

「はい! 殿下、最高のワインを選んでおきますわ」

 いや、あまり高いものは困るのだが今更後には引けない。

「掛かった費用は道具四課の私宛に請求してくれ、それと私はアルフレッド王子ではなくアルとして白の塔で働いていたいので王子と言うのは内密で頼む」

 別に秘密にする気はなかったけど広まっても面倒だ。


 二人が跪き頭を下げる。

「王子、ロイヤルを救っていただき感謝します」

 だから王子っぽい事はもういいって。

「殿下、王国との縁が切れてしまうところ助けて頂きありがとうございます、これからも王国との繋がりを大事にし、身を粉にして働きたいと思います」

 そんなに気合いを入れてもらっても……じゃあ最後まで王子らしく行こう。

「君達営業が一生懸命働いている事はよくわかった、ならば私達道具課は道具作りでそれに応えよう、それでは課長代理、すぐ戻って道具作りを再開しようじゃないか」

 王子の役作りはもう疲れました。



「ふふっアル君、王子役似合っていたじゃないか」

 課長代理がクスクスと笑っている。

「王子役と言うか一応王子なんですけどね、まずはドットールと父上に手紙を書かないと、やっぱり皆には王子と言うのは秘密でお願いします、アンナさんに知られると一気に広がりそうだから」

「かしこまりました、アルフレッド王子、ふふっ」

 課長代理が楽しそうでなによりだ。

「あっ飛竜便とワイン代って経費で落ちませんか?」

「私達の仕事は営業ではないからな……王子様のお小遣いで何とかならないか?」

 白の塔の薄給では赤字になるよ。



 四課に戻ると皆が忙しそうに作業をしている。

「アル君の言う様に道具課は道具作りで応えないとな」

 王国の分は後回しに出来そうだがそれでも連合国と帝国分合わせ三百六十台を三日で仕上げなければならない。

「皆、手を止めずに聞いてくれ! 交渉の結果王国分は後に回す事ができた、今は連合国と帝国分だけを間に合わせてくれ!」

 それでも一日、百二十台か、厳しいな。



 王国宛の手紙を営業部に届け作業を開始すると見慣れない物で作業している人がいる、老人コンビの一人ハル婆さんだ、気になるので見に行く。

「ハルさんそれ何ですか?」

 作業台の上に五十センチ四方ぐらいの木の箱があり箱の上には魔法陣の様な物が書いてある。

「この箱に魔力を流してね、この上に部品を置くと……はい魔道回路が引けてる部品の出来上がりよ」

 これは便利だ、一本一本魔道回路を引かなくてもコピーできる訳か。

「いっぱい作らないといけないからねぇ、時間短縮になるでしょ」

 こんな魔道具を簡単に作ってくるハルさんて実はすごい人なのでは……。

「ハルさんそれ便利そう、私でも出来る?」

「あらあら、アンナちゃん出来るわよ、まずここに座って」

「はーい」

 アンナさんが挑戦するようだ。

「まずこの右側に魔力を注ぐの、少しでいいわ、多いと暴発するわよ」

「暴発?」

「大丈夫指が吹き飛ぶ程ではないわ、次にこの部品を乗せるの、方向を間違えないでね、あと枠内にキチンと入れて、間違うと爆発するわよ」

「爆発?」

「大丈夫部品が飛び散るくらいよ、爆発したら目を閉じてね、失明しちゃうかも知れないからねぇ」

「失明? 後輩君変わってくれる?」

「じゃハルさんの言う事聞いて頑張って下さい、自分はあっちで魔石に魔力充填してますんで」

 ハルさんはアンナさんの肩をガッチリつかみ

「さぁアンナちゃんやってみましょうか」

「後輩君の裏切り者!」

 よかった、やってみようと言わなくて。


 魔力付与の現場では老人コンビのもう一人ゴン爺さんが活躍していた。

「ンーハッ! ほれ次じゃ」

 大雑把に風魔法を付与して魔力の少ない人が穴の空いた部分や厚かったり薄かったりした所を修正している。

 修正だけならそれほど魔力を使わないから魔力切れになる人を少なくする事ができる。


 老人コンビのおかげで作業は大分効率的になったが

この日作れた冷風機は百三台、ノルマの百二十台には届かなかった。

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