ゾンビ百人一首
百人一首のそれぞれの歌に、ゾンビストーリーをつけてみました。舞台も状況もいろいろ、短い話です。途中までは以前2ちゃんねるで投下していたものの再掲、10話目以降は書き下ろしです。私が2013年4月に「ゾンビ・オブ・ザ・官渡」を出版したので(活動報告参照)、ゾンビ強化キャンペーンとして発売日までは続けて投下していました。もう一方の連載作品が完結したので、次を書き始めるまで定期連載(週1ぐらい)にしていたところ、完結することができました。
こちらも出版が決まりましたので、ぜひ手に取ってお読みください。一話ごとに、元の歌の意味、使ったモチーフや歌の背景、そのシチュエーションにおけるゾンビ的考察等を含む解説がついています。そのモデルとして、発売日に郷土の歌を一首、ゾンビ化して投稿します。
こちらも出版が決まりましたので、ぜひ手に取ってお読みください。一話ごとに、元の歌の意味、使ったモチーフや歌の背景、そのシチュエーションにおけるゾンビ的考察等を含む解説がついています。そのモデルとして、発売日に郷土の歌を一首、ゾンビ化して投稿します。
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ 我が衣手は露に濡れつつ
2013/04/05 22:53
春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香具山
2013/04/06 08:45
契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは
2013/04/07 09:57
村雨の露もまだ干ぬまきの葉に 霧立ち上る秋の夕暮れ
2013/04/08 19:55
我が袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね乾く間もなし
2013/04/09 19:09
めぐり会いて見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし夜半の月かな
2013/04/10 19:35
君がため春の野に出て若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ
2013/04/11 19:28
春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそ惜しけれ
2013/04/12 20:14
かささぎの渡せる橋におく霜の 白きを見れば夜も更けにける
2013/04/13 16:43
今来むと言いしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな
2013/04/14 08:49
心あてに折らばや折らむ初霜の おきまどはせる白菊の花
2013/04/16 23:01
足引きの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜を一人かも寝む
2013/06/12 20:20
かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじなもゆる思ひを
2013/09/23 21:17
(改)
田子の浦にうち出でてみれば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ
2014/01/04 21:52
滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ
2014/01/25 19:25
君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな
2014/05/25 09:51
難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋わたるべき
2014/07/19 10:30
みかきもり衛士のたく火の夜はもえ 昼は消えつつ物をこそ思へ
2014/07/29 21:39
有馬山猪名の笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする
2014/08/03 19:59
玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば しのぶることの弱りもぞする
2014/08/10 21:23
花さそふあらしの庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり
2014/08/30 20:32
天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ 乙女の姿しばしとどめむ
2014/09/24 20:13
(改)
大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立
2014/10/20 21:23
小倉山峰のもみぢ葉心あらば 今ひとたびのみゆき待たなむ
2014/11/03 20:24
ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは
2014/11/09 09:39
奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき
2014/11/15 09:04
このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに
2014/11/23 18:14
あらし吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり
2014/11/29 22:10
山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり
2014/12/06 19:53
契りおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり
2014/12/13 16:28
(改)
きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む
2014/12/20 11:29
憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを
2014/12/23 10:17
山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草も枯れぬと思へば
2014/12/28 10:02
朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪
2014/12/30 15:57
立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰りこむ
2015/01/01 13:54
音に聞くたかしの浜のあだ波は かけじや袖の濡れもこそすれ
2015/01/04 20:57
恨みわび干さぬ袖だにあるものを 恋にくちなむ名こそ惜しけれ
2015/01/10 10:23
有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし
2015/01/17 08:41
名にし負はば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな
2015/01/24 09:00
風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけて物を思ふころかな
2015/01/31 09:44
おほけなくうき世の民におほうかな わがたつ杣に墨染めの袖
2015/02/07 09:00
あらざらむこの世の外の思ひ出に 今ひとたびの逢ふこともがな
2015/02/14 10:43
誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに
2015/02/21 09:00
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関
2015/02/28 09:00
花の色はうつりにけりないたづらに 我が身世にふるながめせし間に
2015/03/07 09:00
筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる
2015/03/14 09:00
人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける
2015/03/21 09:00
いにしへの奈良の都の八重桜 今日九重に匂ひぬるかな
2015/03/28 09:00
高砂の尾上の桜咲きにけり 外山の霞立たずもあらなむ
2015/04/04 09:00
ひさかたの光のどけき春の日に しず心なく花の散るらむ
2015/04/11 09:00
もろともにあはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし
2015/04/18 09:00
しのぶれど色に出でにけりわが恋は 物や思ふと人の問ふまで
2015/04/25 09:00
わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよあまの釣舟
2015/05/02 09:00
わびぬれば今はた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ
2015/05/09 09:00
長からむ心も知らず黒髪の 乱れて今朝は物をこそ思へ
2015/05/16 09:00
ももしきや古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり
2015/05/23 09:00
天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも
2015/05/30 09:00
やすらはで寝なましものをさ夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな
2015/06/06 09:00
心にもあらで憂き世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな
2015/06/13 09:00
ほととぎす鳴きつる方を眺むれば ただ有明の月ぞ残れる
2015/06/20 09:00
嘆けとて月やは物を思はする かこち顔なるわが涙かな
2015/06/27 09:00
月見ればちぢに物こそかなしけれ 我が身ひとつの秋にはあらねど
2015/07/04 09:00
(改)
夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづこに月宿るらむ
2015/07/19 21:10
秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づる月の影のさやけさ
2015/08/01 20:39
風そよぐならの小川の夕暮は みそぎぞ夏のしるしなりける
2015/08/09 21:53
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末にあはむとぞ思ふ
2015/08/19 22:18
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ
2015/08/25 22:28
淡路島かよふ千鳥の鳴く声に 幾夜ねざめぬ須磨の関守
2015/08/30 20:36
見せばやな雄島のあまの袖だにも 濡れにぞ濡れし色はかはらず
2015/09/03 19:56
みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ
2015/09/07 19:57
由良の門を渡る舟人かぢを絶え 行方も知らぬ恋の道かな
2015/09/13 09:14
世の中はつねにもがもななぎさ漕ぐ あまの小舟の綱手かなしも
2015/09/17 20:25
わたの原漕ぎ出でてみればひさかたの 雲居にまがふ沖つ白波
2015/09/22 08:59
朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木
2015/09/27 19:50
住の江の岸に寄る波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ
2015/10/03 09:00
白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける
2015/10/07 09:00
夕されば門田の稲葉おとづれて 蘆のまろやに秋風ぞ吹く
2015/10/12 09:00
さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ
2015/10/17 09:00
吹くからに秋の草木のしおるれば むべ山風をあらしといふらむ
2015/10/24 09:00
八重むぐらしげれる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり
2015/10/31 09:00
(改)
み吉野の山の秋風さ夜ふけて ふるさと寒く衣打つなり
2015/11/07 09:00
忘れじの行末まではかたければ 今日を限りの命ともがな
2015/11/14 09:00
明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな
2015/11/21 09:00
逢ひ見ての後の心にくらぶれば 昔は物を思はざりけり
2015/11/28 09:00
わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり
2015/12/05 09:00
みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにし我ならなくに
2015/12/12 09:00
忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな
2015/12/19 09:00
夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関はゆるさじ
2015/12/26 09:00
あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたづらになりぬべきかな
2015/12/29 09:00
ながらへばまたこのごろやしのばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき
2016/01/02 09:00
恋すてふ我が名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひ初めしか
2016/01/09 09:00
嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る
2016/01/16 09:00
世の中よ道こそなけれ思ひ入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
2016/01/23 09:00
人もをし人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆゑに物思ふ身は
2016/01/30 09:00
逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし
2016/02/06 09:00
思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬは涙なりけり
2016/02/13 09:00
難波潟みじかき蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや
2016/02/20 09:00
今はただ思ひ絶えなむとばかりを 人づてならで言ふよしもがな
2016/02/27 09:00
浅茅生の小野の篠原しのぶれど あまりてなどか人の恋しき
2016/03/05 09:00
夜もすがら物思ふころは明けやらで 閨のひまさへつれなかりけり
2016/03/12 09:00