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金花を求めて  作者: 三日月 帆立


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9話 きんかの情報?

「それでぇ? ゴブリンの集落には希少種のビックゴブリンがいたと…ほぉん?」

 地主は葉巻を吸いながら冒険者ギルドの報告書と、カレンたちの顔を見比べる。アルテナの面々は報酬金を受け取り、残りはカレンの報酬、”きんか”の情報だけであった。

「集落はほぼ殲滅しましたので約束の情報をください」

「…フン、まぁいいだろう。これだ」

 地主は一枚の金貨を出した。嫌な予感がする。

「これぞ金貨だ、しかも100年前の長希少品! 先祖代々の宝だ!」

「…で、それがどうしたんですか?」

「わからんか、これが”きんか”だ。金花を探してるのか何なのかは知らんがあんな危険物誰も知らんわ!」

「待って下さい! 報酬に見合わな…」

「話は終わりだ! メイド、連れ出せ!」

「…かしこまりました」


 メイドに連れられ、地主の前から退く。カレンの目には涙が浮かんでいた。

「カレン…」

「…いいんです。確認不足な自分が悪いんです」

「でもぉ危険物って言ってたわよねぇ? メイドさん?」

「はい、正確にはメイド長が少し情報をご存じです。地主様は最初から情報を話すつもりはない様でした」

 ルリィはさらに問い詰める。ヒールがカツカツと床を鳴らし、苛立ちが見て取れる。

「だったらぁ、最初からこちらに伝えるべきじゃなぁい? 今ここで暴れることもできるのよ?」

 ルリィは臨戦態勢を取る。床に魔方陣が出現し、ルリィが詠唱した瞬間魔法が解き放たれるだろう。しかし、メイドは冷静に回答する。


「承知しております。メイド長と話がついておりまして…地主様のお世話が終わり次第皆様とお話がしたいと、お言伝を預かっております。いかがでしょうか?」

 ルリィは横目でカレンを見る。カレンは頷き、彼女にアイコンタクトする。ルリィは臨戦態勢を解き、廊下に広がっていた濃い魔素も霧散した。

「わがままを聞き入れてくださりありがとうございます。では今夜、この街の酒場夜狐(よぎつね)でメイド長、名を”アメジスト”と申します。彼女がお待ちしておりますので…」

「メイドさん、ありがとう。でも地主さんの意思に背く行為じゃないの? 大丈夫?」

「カレンお前なぁ…」

 アトラは頭を抱える。

「地主が約束を守らなかった以上こっちがその従者に譲歩する必要はないんだぞ」

「でも…」

「ご安心ください」

 メイドは静かに、冷酷に答える。

「地主様の横暴にはメイド全体で意見が出ております。近日中に地主様については代役が。とだけ皆様にはお伝えします。どうかご内密に」


 メイドはそのまま正門まで5人を見送る。カレンとアルテナの4人は、ミーミヤの屋台市で昼食を取りながら別れる前の最後の会話をする。

「しかし、改めてすまなかった。せめて何か詫びをさせてほしいんだが…」

 アトラはカレンとアルテナのメンバーに謝罪をする。いままで地主の依頼を虚偽報告で乗り切ってしまったがために今回のテキーラの大きな負傷につながったし、カレンの報酬にも地主が虚偽の報酬を掲げた。カレンは食事の手を止めて、否定する。

「んぐ。そんな、お詫びなんていらないですよ! アルテナの方たちがいなかったら、僕だけじゃあいつは倒せませんでしたし」

「そうだぞ。お前がいなかったらそもそもアルテナは結成されなかった」

「テキーラ…」

「そうよぉ、少なくとも私は学校を中退した弱い魔術師のままだったと思うわぁ」

「わ、わたしも…です」

「ルリィとナラヌイまで…ほんとにすまなかった!」

 机に手をついて頭を下げるアトラ。彼と仲間は今度こそ更生し、ギルドに復帰することをカレンと約束した。それを詫びとカレンに約束されたのだった。



 日は暮れ午後10時40分を少し過ぎた頃、夜狐の入り口の扉がカランカランと鈴を鳴らしながら開く。カウンター席しかないそこには私服の女性が一人、カレンが横に座ると名刺が一枚差し出される。名前はアメジストフレイヤ。役職はミーミヤ地主専属メイド長となっている。

「カレンです。アメジストさんですね? お会いできて光栄です」

「いや、うちの地主がすまない。妹のトパーズから聞いているだろうが、近日中にあいつは失脚させる。詫びに金花の情報を持ってきた」

「…金貨の情報じゃないでしょうね」

「それぐらい信用されていない方が私たちの信用度と金花の情報としては十分だろう…」

 アメジストはゆっくりと話し出す。金花は元々ただの花であった。突然変異で黄金に輝く花となり、調合された薬は若返りの効能を持つかもしれない、と。地方も分からないがミーミヤの様な温暖な地方ではないという。メイド長は、テキーラのショット4杯目を一気しながら語る。カレンはリンゴジュースをちまちま飲みながら、その話を聞いていた。


「私が知っているのはそのぐらいだ…。王室の禁書エリアに行く方が確実な話が見れるかもしれないな。この話はあくまでも私が、私的に信用できる情報屋から償いの為に用意したものだ。それと、金花には有毒な成分が含まれてるとも聞く。地主の奴は金花の情報のその部分しか覚えてなかったようだけど、まぁ。金花を探すという珍しいやつ以外はそれくらいの認識でもいいのかもな」

 アメジストは5杯目のショットを飲み切って、会計をする。カレンのリンゴジュース代も払ってくれた。最後に、

「じゃあな、若き冒険者よ。あたしはこのミーミヤから応援してるよ」

 カランカランと鈴が鳴り、アメジストは夜狐を後にする。カレンはリンゴジュースを飲み終わって少ししてから、酒場を後にし、自分の宿に戻った。

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