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【書籍化】図書館の魔法は静かに始まる【一巻分完結済】  作者: はれはる
第一章 本好き異世界へ

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第四話 本の楽園はブラック企業!? 救世主のビジネス交渉

 文乃の思考が停止した。隣を見ると、ガルドもまた口を半開きにして固まっている。彼にとっても初耳の衝撃だったらしい。


「そ……それだけの理由で、一国の文化が?」


「うん。『リナの胸は最高だった』なんて感想を息子に読まれるのが、死ぬほど嫌だったらしい。結局、妻である王妃には筒抜けだったようだけどね」


 文乃とガルドは顔を見合わせ、同時に深く、深い溜息を吐き出した。


「くだらない……」


「……俺たちが命を懸けて守ってきた王家の秘密が、そんな……」


ガルドが膝から崩れ落ちそうになっている。一国の歴史が、一人の男の「黒歴史隠し」のために断絶したという事実に、文乃も眩暈を覚えた。


「――さて、文乃。感傷に浸る時間は終わりだ」


 レオネルの表情が、不意に為政者のそれへと引き締まった。


「君に解決してもらいたい緊急の課題がある。現在、王国内で頻発している原因不明の災厄――人々が『魔女の呪い』と呼ぶ事態の解決策を、この図書館の古文書から最優先で探し出してほしい」


 王国の危機。重責に背筋が伸びるのを感じながら、文乃は好奇心という名の火を灯した。


「わかりました。まずは情報の整理から始めます」


 彼女は気合を入れ直し、一番近くの本棚へと向き直った。しかし、一冊目の背表紙を読んだ瞬間、その動きが止まる。『王国・建国史』。その隣には『保存食の世界』、さらにその隣には『世界の花々』と『貴族のメイク術』が並んでいた。


「……殿下。どうして歴史書の隣に料理本が?」


「どうしてって……。僕たちは文字が読めないんだ。内容がわからないのに、整理整頓などできるはずがないだろう?」


 文乃は仰ぎ見るような巨大な書架を見上げた。何万冊もの蔵書が、ジャンル無用でシャッフルされている地獄の光景。


「……不可能です。砂浜でコンタクトレンズを探すようなものです!」


「こんたく……? よくわからんが、とにかく難しいのだな?」


「いいえ、不可能です! まずはこの図書館全ての『分類』と『整理』をやり直さなければ、仕事になりません!」


 文乃は決然とレオネルを見据えた。


「殿下。助っ人をお願いします。できるだけ体力のあり余っている、力自慢の方々を」

 

ここまでお読みいただき、

本当にありがとうございます!

本作は6月末まで、

一気に完結に向かって毎日投稿予定です。


「続きが気になる!」「一気読みしたい!」

と思ってくださった方は、下にある

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