40話 問題は増えるもの ~わたしがやりたい事2~
所長は何やら衝撃を受けたらしい。
それこそ雷に打たれたようだった。
珍しく驚いた表情を見せたと思ったら、目を閉じ沈黙。
熟考モードに入ってしまった。
……まぁ、作れるかはわからないけど。
わたしには、魔力がどういう仕組みなのかサッパリなのだ。
そもそも、電気の作り方だって正直わからない。
電気に代わる物があるのであれば、それを使えば良いと思っただけだ。
属性など関係なく、魔力そのもので動く冷蔵庫を作ればよい。
魔力だけで動く魔道具があるのだ。
頭の良い人たちが集まれば、魔力で動く冷蔵庫も作れるはずである。
「いや、やはり無理だな」
熟考モードから戻った所長が、そう言った。
純粋な魔力を込める作業は難しいらしい。
属性の力を必要としない魔道具には、魔獣や魔物から採取した魔石を使う。
あの魔石は、余計な属性が混じっていない、純粋な魔力の塊なのだそうだ。
一方で、人が魔力を込めた場合、どうしても属性の偏りが出る。
火や水、風といった性質が、中途半端に混じってしまうのだという。
例えば、水の属性が一定以上に強く出た魔石を、水の魔石と呼ぶそうだ。
「人や適正によって、出来上がる魔石が違うのですか?」
「そうだ」
「所長、そもそも適正とか火の玉を出す魔法とか、領主様の結界とかどうなってるんです?」
わたしには話したくないのか、所長に凄く嫌な顔で説明された。
基本、魔法とは魔力を放出するだけの行為。
そこを魔法陣や呪文により、純粋な力の効果を変化させたり、属性の部分を増幅させることで、属性を発現させた魔力を放出するらしい。
増幅させても属性を発現できない者は、元々、適性が低く属性魔法が扱えないそうだ。
領主の結界などは、魔法陣と呪文で効果を発現させたもの。
維持するためには、陣に魔力を込めるだけでいい。
普通の設置型魔法と違って自身の魔力という縛りはなく、維持するのは誰の魔力でも可能だそうだ。
……ってことは、誰の魔力でも同じ効果になる魔法陣があるわけだ。
「その魔法陣を組み込めば良いのでは?」
「……領主のみに伝わる秘匿されし魔法陣だ。研究対象などにはできん」
……研究すらできない代物かぁ。
「個人で結界を張れる者はいるが、難しいな」
「誰の魔力でも、っていうのが難しいんですか?」
「そうだな。それもあるが……」
領主の魔法陣の機能が使えれば、広く運用可能な魔力を集めることも可能だ。
だが、解明して使用することは難しい。
「じゃあ、一から作り出すしかないんですね?」
その言葉に、所長は小さく首を横に振った。
つまり、仮に作れたとしても、そんな機能を持つ魔法陣をお披露目などしたら消されるのだろう。
もちろん、わたしが。
物理的に。
所長は熟考した際、この答えに辿り着いたから難しいと言わず、無理と言ったのかもしれない。
「じゃあ、隠して自分用だけなら……止めておきます」
「そうしなさい」
……目が怖いですよ?




