38話 解決できそう? ~ズルい所長の採点方法1~
四の鐘が鳴ってしばらく経った頃。
お父さんが迎えに来たところで、わたしは作業を切り上げ帰宅した。
三馬鹿のおかげで、フレデリカへの注文分は目処がたった。
最も時間が必要だった鉱石を砕く作業。
この作業だけを集中的に進め、一心不乱に砕いていた三人には感謝しかない。
何かお礼でもしたほうが良いだろうか。
しかし、与えられる物など持ち合わせていない。
そのうち新しい商品でも作って、儲けてもらおう。
……金属、木材、料理、なんかあるかなぁ。
料理といえば作物、そして農業。
料理のレシピでもいいが、試行錯誤する場所がない。
品種改良は、わたしには無理だ。
知識が無さ過ぎる。
であれば、農具でも作れないかと、夕食の片付けをしながら、お母さんに聞いてみた。
「そうねぇ、この辺だと野菜もあるけれど、小麦が中心ね。トバルの町周辺に小麦農家が多いわね」
お母さんは手際よくお皿を洗いながら、サンドレアムから東にあるトバルという町の周辺で小麦農業が盛んだと教えてくれた。
トバルでは土の月、前節から後節にかけて収穫が行われる。
刈り取った麦の穂を一本一本、手でつまみ、二本の細い棒の間に挟んで引き抜き脱穀。その後、太い棒などで叩いて殻を取っていくという。
聞いているだけでも、大変だとわかる方法だった。
……それは重労働だね。
ふと、木材と金属で作れそうな千歯扱きを思い出した。
小学校の資料室で見た記憶がある。
たしか使われ始めたのは、日本の天下分け目の大決戦が終わった後、江戸時代辺りだったはずだ。
そう考えると、随分と長い間、このような収穫の仕方をしていたのかと、しみじみ思う。
……前世でも同じ収穫の仕方とは、限らないか。
「ほら、ルルーナ。手が止まってるわよ」
「あっ、うん」
いずれは作ってみようと思った千歯扱きだが、考えてみれば、わたしの周りには農業関係者がいない。
ノックスに相談したいところだが、今は忙しいのでやめておきたい。
……所長なら知ってるかなぁ?
宿題に関しては、役所を使って募集をかける案でいこうと思う。
孤児院の子供たちも雇いたいところだが、計算が可能なのか不明だ。
教育を施しても良いのかもしれないが、わたしには教師になってくれる人のあてがない。
……それも所長に聞いてみる? ……いや、やめておこう。
所長の不機嫌な顔が浮かんだところで、その考えは却下した。
そんな無理を言い出したら、どんな宿題を出されるか考えただけでも身震いする。
……今は目の前に集中しよう。




