37話 ああ、妹よ ~なんの話かな?~
作業でくたくたになって帰宅した夕食後。
僕の部屋を訪れたルルーナに、フレデリカの注文量に対して、従業員が何人手伝えば問題ないかと尋ねられた。
製法の流出を懸念しているため、従業員は使えないとわかっているはずなのに、おかしなことを聞くものだと思った。
「製法の流出がないとしたら?」
……ないことを前提? 可愛い妹よ。何を言ってるんだい?
「そうだね。二人もいれば、フレデリカ様の分は問題ないと思うよ」
可愛い妹の問だ。
無下にするわけにもいかない。
現状であれば、二人増員すれば問題無い。
だが、欲を言えば五人は欲しい。
今後、量が増えた場合も考えるとそれぐらいは必要だ。
僕がルルーナの新しい商品にかかりきりになる時期があると考えると、もう少し欲しいところだが……。
「フレデリカ様以外の貴族から発注があったら?」
「ん? 以外から?」
……そんなに綺麗な目で見つめて、なんて怖いことを言うんだ。
嫌な予感がする。
まさか、また新しい商品でも作ってしまったのだろうか。
もしくは、フレデリカから新たに貴族の話でも聞いたのだろうか。
「材料の在庫から考えると、五人は必要かな。それ以上は逆に倉庫に入りきらないし、作れないね」
僕の言葉にルルーナは「う~ん」と、頭の中で何かを計算しているように見えた。
ルルーナは賢い。
突拍子のないことも起こすが、基本的にしっかりと考えて動いているようにも見える。
新しい知識を吸収しているようだし、すぐ理解してしまうのだろう。
それで、視野がさらに広がったのだろうか。
役所で講義を受けるようになってから、どこかビクビクする様子も少なくなった。
今までは、言葉を選んでいるような印象だったのに。
……おっかなびっくりで可愛かったなぁ。
所長が何者かは、一応、聞いている。
あのプラチナブロンドの髪の男。
貴族なのに、子供相手に講義などと心配をしていたが、妹二人の様子を見る限りは問題無さそうで安心した。
子供の無礼も大目に見ているようで、僕の杞憂だったようだ。
……できれば僕が教えたかったけれど。
「孤児院の子供ってさ、従業員として雇える?」
「は?」
その真っ直ぐな言葉に、僕は耳を疑った。
……ルル、それはいくらなんでも……無茶だ。




