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私の秘密は増えてゆく ~この幸せを守るため――だからわたしは仮面をかぶる~  作者: 月城 葵
二章    得る知識と知る痛み

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37話  ああ、妹よ ~なんの話かな?~




 作業でくたくたになって帰宅した夕食後。

 僕の部屋を訪れたルルーナに、フレデリカの注文量に対して、従業員が何人手伝えば問題ないかと尋ねられた。


 製法の流出を懸念しているため、従業員は使えないとわかっているはずなのに、おかしなことを聞くものだと思った。


「製法の流出がないとしたら?」


 ……ないことを前提? 可愛い妹よ。何を言ってるんだい?


「そうだね。二人もいれば、フレデリカ様の分は問題ないと思うよ」


 可愛い妹の問だ。

 無下にするわけにもいかない。


 現状であれば、二人増員すれば問題無い。

 だが、欲を言えば五人は欲しい。

 今後、量が増えた場合も考えるとそれぐらいは必要だ。


 僕がルルーナの新しい商品にかかりきりになる時期があると考えると、もう少し欲しいところだが……。


「フレデリカ様以外の貴族から発注があったら?」

「ん? 以外から?」


 ……そんなに綺麗な目で見つめて、なんて怖いことを言うんだ。


 嫌な予感がする。


 まさか、また新しい商品でも作ってしまったのだろうか。

 もしくは、フレデリカから新たに貴族の話でも聞いたのだろうか。


「材料の在庫から考えると、五人は必要かな。それ以上は逆に倉庫に入りきらないし、作れないね」


 僕の言葉にルルーナは「う~ん」と、頭の中で何かを計算しているように見えた。


 ルルーナは賢い。

 突拍子のないことも起こすが、基本的にしっかりと考えて動いているようにも見える。


 新しい知識を吸収しているようだし、すぐ理解してしまうのだろう。

 それで、視野がさらに広がったのだろうか。


 役所で講義を受けるようになってから、どこかビクビクする様子も少なくなった。


 今までは、言葉を選んでいるような印象だったのに。


 ……おっかなびっくりで可愛かったなぁ。


 所長が何者かは、一応、聞いている。


 あのプラチナブロンドの髪の男。

 貴族なのに、子供相手に講義などと心配をしていたが、妹二人の様子を見る限りは問題無さそうで安心した。

 子供の無礼も大目に見ているようで、僕の杞憂だったようだ。


 ……できれば僕が教えたかったけれど。


「孤児院の子供ってさ、従業員として雇える?」

「は?」


 その真っ直ぐな言葉に、僕は耳を疑った。


 ……ルル、それはいくらなんでも……無茶だ。



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