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私の秘密は増えてゆく ~この幸せを守るため――だからわたしは仮面をかぶる~  作者: 月城 葵
三章    少女と暴かれる秘密

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41話  問題は増えるもの ~秘密がまたひとつ増えました2~



「効果を薄めるには……そのまま使えというのか? いや……」


 所長は、何やらブツブツと調べ物に没頭中である。

 そんな所長を眺めていたら、わたしは、ポンっと手を打ち閃いた。


「所長、わたしが聞いておくっていうのはどうです?」

「なんだと? いや……そうだな。これでは時間がかかり過ぎる」


 なんとも残念そうな顔である。

 そうそう見れる顔じゃない。

 非常に珍しいのではないだろうか。


 ……研究したかったのか。この研究マニアめ。


 所長には、紙にできるだけ肯定、否定で答えられる質問を箇条書きにしてもらった。


 これならば、精霊たちにも聞くことができそうである。


 所長が名残惜しそうに作業台から席に戻ると、先程の話の続きを始めた。


「それでは、心当たりはないのだな?」

「ここ最近は変わった事もなかったですし。強いて言えば、みんなに思い浮かんだ名前を付けたことぐらいですかね。とっても喜んで――」

「待て」


 紫の瞳がすぅっと細まった。


 ……こっちも、ちょっと待って。その顔は……嫌な予感がする。


 所長の眉間に皺が増えたようにも見える。


 ……この感じ。久しぶりだなぁ。


 じわっと嫌な汗が、手のひらに滲む。


「精霊と契約を交わしたのか?」

「してませんけど……」

「精霊の名を呼んだのだろう?」

「はい。名前付けましたし……」


 所長は呆れを通り越して、無の境地みたいな無表情になってしまった。


「…………なぜ、順序が逆なのだ」

「逆とは?」


 一般的には助力を請うために契約を交わし、精霊から名を教わるそうだ。

 それなのに、わたしは契約も交わしておらず、名を教えてもらうどころか名付けをしてしまった。


 全て順序が逆だ。


 そして、精霊の名前を口にできるということは、契約が交わされている証だという。


 契約が無効ならば、知っていても名を口にできないらしい。


 ……それは呆れますよね~。


「本来ならば、精霊に名を教わり助力を請うのだ。逆になった場合、おそらく、君は精霊の主になった可能性がある」

「ある……じ、ですか?」

「そうだ。君は精霊の主になったのだ。それ自体が非常識だが」


 ……えぇぇぇ~。主になっちゃった。


「主になると、どうなるんでしょう?」

「知るわけがなかろう」


 焦るわたしを見て、所長は額に手を当てると力無く俯いた。


 ……あれは完全に頭抱えてるなぁ。


 所長は俯いたまま「で、みんなと言ったが、どれほど名を付けたのだ?」と、聞いてきた。


 ……この状況で、部屋いっぱいなんて言えない。


「えっと……五体ぐらいかな」

「そうか。数え切れぬ程と言うわけか」


 ……なぜバレる。


「君の周りに集まった精霊は多い。片手で足りる数ならば、君はみんななどと言わん」

「あぅ……はい」


 ……よくご存知で。


「精霊の主になってしまったからには、その影響は私にもわからん。今は様子見だ」


 所長は調べなければいけない件ができたようで、わたしを部屋から追い出すと私室に閉じ籠ってしまった。


 わたしも報告は済ませたので、役所に戻ってエステラのお迎えを待とう。


 今ここでやれることは、もう無い。




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