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不運な召喚の顛末  作者:
第四章
322/605

婚約者編 夏61

前話を飛ばしていても問題ありません。

いちゃついただけです。

こそばゆさは朝日と共に戻ってきた。

ベッドの中で照れていたら、寝惚け眼のグラッドに

「リオの恥ずかしさの基準は面白いね」

と無邪気に笑われた。

恥ずかしい。

朝食を軽くとって、ティエラとのお茶会に向かうため支度を整える。

グラッドはルークの様子を見に行くという。セシルからの報告ではまだ寝ているようだ。

「リオ様、念の為に持ってきた体力回復剤があるのですが、宜しければルーク様に分けてもよろしいですか?」

ミランダからそう声をかけられる。

「はい。お願いします。ティア様にもお持ちしましょう」

「かしこまりました」

ティエラからティアも誘っていること、忙しいため無理そうだとは聞いた。

婚約パーティーの直前まで仕事をしているなら、必要だろう。

向かったお茶会室には、ティエラとティアがいた。

同席できるならその場で渡せる。

「おはようございます。ティエラ様、ティア様。」

「おはようございます、リオお姉様。」

ティエラにとってみればどちらもお姉様か。可愛い。

「リオ様。おはようございます。昨日はありがとうございました。弟の件も」

「いいえ。いいのです。わたくしは、たまたまティエラ様を追っていっただけですもの」

「ティア様、リオお姉様は」

「ティエラ様、やり直しを要求します」

ティエラが話すのを遮る。ティアとティエラは驚いた顔で私を見る。

「ティエラ様、そうではありませんよね?」

私が微笑むとティエラが真っ赤になって

「ティア、お、姉様」

言い直す。すると赤面が伝染した。

「お二人ともほっぺが真っ赤でお揃いですよ」

「リオ様、揶揄わないでください」

「そうですわ」

口を揃えて言う。息ぴったりだ。

「ふふ。ティア様、わたくしもお姉様とお呼びしてもよろしいですか?」

おねだりをすると

「え」

困惑が手に取るように分かる。だが、ここは空気は読まない。

「お嫌ですか?わたくし、ティア様が初めてのお姉様なので楽しみにしておりましたの。」

可愛い妹演出をして

「か、構いません」

了解を獲得する。

ミランダの視線が痛いが無視だ。

「本当ですか?そ、それでは、こほん。ティア姉様」

「…は、はい」

「ティア姉様の髪は柔らかそうなのですが、どのようなお手入れをしているのですか?」

ティアの髪はストレートなのに固さを感じさせない柔らかな髪質だ。手入れで変わるなら試してみたい。

「わたくしも気になっておりました!」

ティエラも食いつく。ティエラも柔らかそうだが、グラッドと似てるなら結構しっかりした髪質だろう。

「わたくし、実は髪が細くて。」

「近くでみてもよろしいですか?」

「はい」

私とティエラはティアの側に寄って髪に触れる。

ほっそ、まじかぁ。将来的に困る細さだ。

「これは細いですね。」

色々飲み込んだ末に出てきた言葉に

「リオ様の髪はサラサラでこしもあって程よい太さで、わたくし羨ましいです。」

ティアが私の髪と比べて俯く。

「わたくしはすぐ解けるので纏めるにも大量に整髪剤を使います。昨夜のティア姉様の髪型が羨ましかったのです」

「リオ様」

そんな悩みが?と話していると

「こんなに髪の毛って違うものなのですね。」

ティアの髪に触れたティエラがぽつりと呟く。

その声にティアが

「ティエラ様の髪質も羨ましいです」

微笑む。

「ティアお姉様はわたくしの髪質が良いのですか?」

「だってしっかりしているし、わたくし達の両親は二人共薄毛で悩んでいたの。だから」

「季節の変わり目は抜け毛も増えますし、緊張状態が続くと髪も抜けますから。お手入れが大変ですよね」

互いの手入れの仕方を話したり愛用の品を紹介したり髪の悩みで盛り上がる。

ティエラとティアの侍女も互いに顔を見合わせているところを見ると、侍女達にとっても懸念事案だったようだ。

「ティア姉様はとてもお忙しいと伺いました。それで宜しければ体力回復剤をお使い下さい。」

「ですが、リオ様の分でしょう?」

「わたくし冒険者もしておりますから、体力回復剤を自作しております。常備もしているので、ティア姉様がお嫌でなければ。あ、甘さは控えめですから」

私の言葉に合わせてミランダがティアの侍女に体力回復剤を詰めた箱を渡す。

「甘さ控えめ、…最近クロムで販売承認がおりて、ヘイルでは来月から販売される回復剤ですね。」

ティアの表情が一瞬にして仕事モードになる。

「はい」

「ありがとうございます。通常の物は甘くてなかなか手が伸びなくて。助かります。冒険者はあの甘さが良いと言うのですが」

腑に落ちないと首を傾げた。

「冒険者は身体を動かしているので汗をかきます。体内から失われた成分を体力回復剤で取り込めるので甘さは気にならないですし、逆に美味しく感じると思います。サイス領は冒険者の多い土地ですから味に関する要望も多くなかったのだと思います」

「なるほど」

「リオお姉様。冒険者ってどんなことをするのですか?魔獣を倒したり森の奥の遺跡に潜ったり?」

あ、目がキラキラしている。ミゲルの冒険の影響だろうか。

ミゲルの現実を知ったはずだが、憧れは捨てられないようだ。でも普通の冒険者はあんなに派手じゃない。

「薬草の採取や狩猟、魔獣の討伐、調合、あとは街によって依頼内容が変わります。力仕事から知識の問われる依頼まで幅広い依頼があるのですよ」

「素敵ですわ」

瞳を輝かせるティエラを微笑ましくみつめる。ティアのティエラを見る目が優しく細められる。

「ティエラ様は冒険者に憧れているのです?」

「あ、違いますの。好きな本があってそれで興味が」

「ミゲルの冒険かしら?面白いわよね」

「ティアお姉様も、お好きなのですか?!」

「えぇ。以前お世話になった村の子ども達に読み聞かせをしたことがあります」

二人の会話が頭に入ってこない。恐らくミランダの表情も抜け落ちている気がする。

「ティアお姉様、実はリオお姉様の侍女のミランダは、ミゲル様の妹なのですよ」

横暴な面は流石に言わないようだ。

ティアの視線がミランダに向く。興味津々といった目だ。

「貴女が一級冒険者のミランダなのね。活躍はよく耳にしております。貴方達兄妹はサイス領の誇りです。」

「ご過分なお言葉、光栄でございます」

ティアの言葉に一気に好意が滲み出る。

ミランダが私の肩にそっと手を置いた。

「ティア姉様、お褒めの言葉ありがとうございます。わたくしも嬉しく思います。」

グッと力強く握られ、表情を改める。

「わたくし、少し子どもっぽく騒いでしまいました。」

ティエラが照れたように笑う。

可愛い。

咳払いをしてティエラが話題を変える。

「ティアお姉様。わたくし、春から学園に入学するのですが、どのようなところなのですか?グラッドお兄様が主席で卒業したのでわたくしも頑張らなくてはいけないのです」

「わたくしもお話しを伺いたいです。学園のお話しはクラリス様やグラッド様から聞いているのですが、ティア姉様からもお聞きしたいです」

ティアが困ったように

「十五年も前なので参考にはならないと思います。グラッド様やオリバー様に聞いたほうが良いかと。オリバー様は面白いことをしていたみたいですよ?」

提案するも、ティエラがちょっと口を窄めて言う。

「オリバーお兄様は悪ふざけが過ぎるのです。丁度真ん中の成績になるように調整して楽しんでいたみたいで全然参考になりませんでした。グラッドお兄様も参考になりません。」

なんてこった。オリバー様、変な人だな。

「ティエラ様はどのような学園生活を送りたいですか?」

ティアの問いに

「わたくしは、……子爵夫人になるのですもの。成績優秀者にならないといけませんわ。ルーク様も主席卒業されているのですから」

ティエラが拳を握った。



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