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不運な召喚の顛末  作者:
第四章
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婚約者編 夏54

エドナとセラは子どもがいてよく話をするらしい。

エドナのところは十歳の男女の双子、セラのところは二歳の男の子だという。

子どもの話を興味津々で聞いていた私はマオカも同じくらい前のめりに聞いていることに気づいた。

「マオカも良い相手がいるのですか?」

「いえ。でもエドナ先輩とセラさんをみてるといいかもと思いました」

マオカは領主邸の造形美に惚れ込んで使用人になった。

あまり他のことに夢中になったことがないと言っていたので、本人も自分の言葉に驚いている。

「マオカは建築が好きなのよね」

エドナの言葉にマオカが頷く。

「お屋敷とニビ子爵邸とフロスト邸は心が踊ります。」

「ニビ子爵邸とフロスト邸を見たことがあるのですか?」

驚いて尋ねると

「あ、いえ。セラさんから借りた画集で見ました。」

マオカは首を横にふった。

「セラさんは本好きで幅広い分野の本を読むものね。わたくしも子どもが読みやすい本を借りたし」

「そのせいで書庫の掃除当番から外されています。残念で仕方ありません」

仕事そっちのけで本を読みそうと思われているのが不服だそうで、侍従にと話があった時に周りから大丈夫なのと口々に言われる程の本好き認定をされていることをセラが嘆く。

「そんなことないんですよ?匂い嗅いだりするのが好きなだけでずっと本読んでるってことはないんです」

その言葉にミランダが私をチラリとみる。

その目が同類ですねと言っているようだった。

その後もお喋りとお茶を楽しみ親睦を深める。

「これからの活躍を期待しています。宜しくお願いします」

「はい」

三人が部屋を出ると

「三者三様でしたね。似てるのは気配くらいでしょうか」

ミランダがぽつりと呟く。

「アンナから何度もこの三人でいいのか聞かれたって言ってましたけど、どうですか?」

「アンナ様曰くエドナは自信がない、セラは極度の本好き、マオカは偏りはあるものの建築特化でしたか、取り敢えず許容範囲でした。セラの場合、誤解の可能性もあるので今の段階ではなんとも。」

「揉めたって大丈夫なのですか?」

「問題ありません。書類仕事の出来る侍女だったので少し引き抜きを考え直すよう粘られただけです」

「そうでしたか。……何か気づいたことがあれば報告してください」

「かしこまりました」

「ところでドリスとドロアスはいつ頃お茶に誘ったら頷いてくれるかしら」

あの日の後、何度かお茶に誘うもめっそうもないと断られ続けている。

フォッグに出かける前に一度診察する手筈になっているが、

「コンラートやシオネに探りをいれていますが、もうしばらく待ってほしいの一点張りで。」

まだ返答がこない。

「彼等の親しい方々がそういうのなら待つのがいいのでしょうけど。明日、明後日で診察したいですね。」

午後の時間を婚約パーティーでの立ち居振る舞いの練習に当てる。

夜会ではお酒が振る舞われる。それの断り方や飲み方についてミランダから指導が入った。

でもそれは特に問題なかった。母さんの注意点を聞いたミランダがすぐに合格をくれたからだ。

「ノヴァからリオ様がお酒を飲む気はないとうかがっています。やむを得ず口にされることもあるかと思いますが、その時、美味しさに目覚めてしまう可能性もありますのでご注意下さい」

お酒の美味しさに目覚める、考えたこともなかった。

「その可能性がありますか。そもそも体質的に飲めないのか、グラッドのを確認する時に一緒に確認すればよかったです。」

「医官の二人に連絡をしておきます。」

そのあとは夜会で着るドレスとお茶会でのドレスの最終確認をする。

それから来賓リストを読みながら、話題の選定をした。

「ティア様はどんな方なのでしょうか。学園主席卒業したということですがグラッドと同じくらい凄いってことでしょうか?情報はありますか?」

ミランダが来賓リストとは別の資料を捲る。

「学園時代の成績ですが、全科目において最優秀。武術の講義は履修していないようです。弟のルーク様も同様です。文官に特化しておりますが素晴らしい成績です」

……グラッドは武術系の講座もとっていたはず、よし考えないでおこう。

「ではフォッグでも要職に就いていたのかしら?」

不正が横行していたようだが。

ミランダは残念そうに「いえ」と呟く。

「フォッグ家は親類縁者の仲が悪く、特に元フォッグ子爵とご兄弟の仲は絶縁状態だったようです。そのため兄弟の子ども達、ティア様達にも影響がありヘイル内に仕事がなく、お二人共フォッグの端のほうで仕事をしていたようです。これにはフロスト家が関わっているようですが、詳細は不明。婚約にも影響があり中々相手が見つからなったようで、やっと決定したところに元子爵の件があり婚約破棄されています。」

親戚の仲が悪いと色々大変なのは千加から聞いて知っている。小さな地域の大きな家は特に面倒なのだという。

相続で揉め、関係なさそうな就職進学でも色々口を挟まれ揉めるらしい。

「うわぁ、めちゃくちゃ左右されてるじゃないですか。嫌われてないか心配になってきました」

元子爵からの干渉を受け入れていたのなら、急に状況が変わった今の立場をどう思っているのだろうか。恨まれてはいないだろうか。

「ティア様の心情よりも気にしなくてはいけないことがあります」

次期伯爵夫人として考えなくてはいけない問題がある。

「…フォッグ内での権力の均衡が崩れたことですね。フロスト家の影響が大きくなる。乱れたフォッグを立て直すには必要だけど、後々頭痛の種になりそう。アシュレイ様オリバー様より後の時代にフォッグが復権しないと傀儡になりかねない。」

サイス領フォッグは今までフォッグ家が権勢を誇り貴族の力関係を調整して均衡を保ってきた。

そのフォッグ家の権威が失墜した今、フォッグ家を取り込もうとする貴族もでてくるはずだった。

フロストが早々に婚姻でフォッグの姉弟を取り込んだ為まだ均衡は表向きには保たれている。

「そうでございます。権力の逆転は要らぬ揉め事を起こすこともありますから。比較的穏やかに統治したいものですね」

もしフロストが子爵位を欲して動くことになれば、他の子爵の下についた家も同じことを考えるかもしれない。それに乗じて権力を得ようと他の貴族も動くだろう。

そうなれば領内が荒れるのは必至だ。

「長年培った繋がりは侮れませんから、フォッグが子爵位にいると他の貴族の抑止力にもなる、ですか……」

サイス領の子爵位には役割がある。勿論伯爵にも。

それを理解している者が爵位を継ぐこととしている。

ニビは武力、スレートは分析、フォッグは魔術を、それぞれ発展維持させる役割がある。

全てはサイス領が魔障発生地域であるが故だ。

「注視していかなくてはいけませんね。」

「はい」

夕食後に明後日診察に伺いますと二人から連絡がきた。



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