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不運な召喚の顛末  作者:
第四章
313/605

婚約者編 夏52

ゾイレ夫人主催の夜会。

婚約発表の時のドレスをお直しして着た。

ミレニアが新しいドレスを作るよりもお直しをしていると知っているので、同じようにする。

暗に考えが同じであることを示している。

「ミランダはナタリア様と一緒に向かうので、私がご一緒致します」

ノヴァがつく。

「よろしくお願いします」

馬車に乗り、ゾイレの屋敷を目指す。

ゾイレの屋敷は領主邸の近くにある。一際目立つ豪奢な屋敷だ。庭も広い。

沢山の馬車が停車していた。

「すごい馬車の台数ですね。」

馬車が玄関先に停まる。馬車から降りて屋敷の中へ向かう。

「お待ちしておりました。リオ様。ご案内致します」

ゾイレ家の侍女の案内で大広間に通される。

奥の方で来客達と挨拶を交わすゾイレ夫人を見つけた。

ゆっくり近づく。

私に気づいたゾイレ夫人は来客達との挨拶を切り上げ私に足早に近寄る。

「ようこそいらっしゃいました、リオ様。お久しぶりです」

「お招きいただきありがとうございます。」

「この度はゾイレがお騒がせ致しました。誠に申し訳ございませんでした。」

ゾイレ夫人が謝罪を口にする。

私達の様子を女性貴族達が遠巻きに観察している。

「間違いは誰にでもあるものですわ。ゾイレ夫人。」

笑顔で応える。

「寛大なお言葉、ありがとうございます。リオ様は美食家だとうかがっております。是非堪能していってくださいませ」

立食形式の夜会のようでテーブルの上には美味しそうな料理が並んでいる。

「楽しみですわ。」

「お飲み物はいかがでしょう。こちらの葡萄酒はコランダムから取り寄せたもので飲み易いと人気の銘柄なのですよ。」

「まあ。わたくし、お酒は飲まないようにしていますの」

「あら、そうでございましたか」

「ええ。グラッド様と一緒の時にしか飲まないと決めておりますの」

「まあ!」

うふふおほほと笑い合う。

「でしたら美味しい紅茶を用意させますわ。…あまりリオ様を独占してはいけませんね。楽しんでいってくださいませ」

ゾイレ夫人が離れると次々と女性貴族達が挨拶に訪れる。

「ご機嫌よう」

幾人の貴族達と挨拶を済ませた後、ゾイレ夫人が用意させた紅茶を飲みながら料理を堪能する。

「美味しい」

「リオ様あまり食べすぎないように」

ノヴァに釘を刺されつつ、各テーブルの料理を味して回る。

そこで会話を楽しみ夜会を満喫していた。

するとナタリアがミランダを連れて現れた。

「ナタリア様」

「リオ様、お久しぶりでございます」

「お久しぶりです。ミランダもドレス、とてもお似合いですよ」

濃紺の落ち着いた色に水色の差し色が入ったドレスはミランダによく似合っている。美人三割増しだ。

「ありがとうございます。リオ様」

微笑むミランダは以前よりは緊張もとれ普段に近い表情をしている。

しばらく三人で話していると

「わたくしも挨拶させていただけませんか?」

声をかけられた。

「貴女は」

「わたくしはゾイレ家次女、ユリアでございます。リオ様、本日はよくおいでくださいました。」

金色のウェーブした髪を豪華に飾りたてた女性。

気の強そうなつり目と色気を感じる赤く大きな口。

「久しぶりですね。おかわりはございませんか?」

「おほほ。リオ様はまたお美しくなられたのではございませんか。流石グラッド様の寵愛を受ける方は違いますわね。羨ましいですわ」

ユリアの声に周りの空気が一瞬にして凍りつく。

うわぁ、まじか。ゾイレ夫人が何の為に謝罪したのか。

まるでわかっていない発言に、ゆっくりと周りがざわつきはじめる。

他の貴族達はその辺りの空気を読んで話題を避けていたのに、真正面から投げかけるとは。

「ふふふ。ユリア様は口がお上手ですね。美しいだなんて」

取り敢えず話題を外そう。

「わたくしもリオ様のように寵愛を受けたいものです。」

おいおい鈍感なの?これ普通?

「婚約者様にお願いされてはいかがです?」

ナタリアが冷たい笑みを浮かべそう告げる。

ミランダのほうは見れなかった。気配が滅茶苦茶怖い。

「ユリア、何故ここにいるのですか?!」

ゾイレ夫人が焦った様子でこちらへくる。夫人の発言からユリアの出席の予定はなかったようだ。

「お母様。何故ってご挨拶に決まっています」

「リオ様、ナタリア様、ミランダ様。娘が失礼をしてしまい申し訳ございません。早く部屋に戻りなさい」

ゾイレ夫人の顔色が悪い。

「領主様も大変ね。ニビ、フォッグ、スレートに続きゾイレまで、本来領主一族を支える一族から問題が噴出しているのですもの。全く話になりませんわ」

ナタリアが吐き捨てるように冷笑する。

「ナタリア様。それもこれもグラッド様の婚約発表が契機なのですよ、これはやはり相手に問題があるの、」

ここぞとばかりに口を開いたユリアの言葉を遮ってナタリアが高笑いする。

「ナタリア、様?」

「貴女本当にゾイレ家の人間なの?ベル様、何故彼女をさっさと他家へ嫁がせないのです。ゾイレ家全体の評価を落としていることはお分かりですよね?」

「申し訳ございません。お詫びの言葉もございません」

「ゾイレ夫人。彼女を退席させてくださらない?わたくし、夫人の主催する夜会を楽しみにしていましたのよ。料理も紅茶も美味しいのに残念です」

ナタリアは頬に手を当て傷心といった雰囲気をだす。

ゾイレ夫人が指示すると警備にあたっていた騎士がユリアを広間から連れ出す。

「な、何をするのよ!離しなさい!わたくしを誰だと思っているの?!」

叫ぶ彼女の声にますます夫人の顔色が悪くなる。

「申し訳ございません。教育が行き届いていませんでした。不快な思いをさせてしまって誠に申し訳ございません」

ナタリアが大きなため息をつく。

「全くゾイレとあろう者が」

「ナタリア様。わたくしの為に怒っていただきありがとうございます。分かっていないのは彼女だけのようですし、もういいではありませんか。」

ナタリアの腕にそっと触れる。

「まあ。リオ様、もっと責めるべきでは?!」

「他の方達が理解しているのならわたくしは良いのです。そうですよね?」

周りで状況を見守っていた女性達に笑いかける。

すると勢いよく首肯しだした。

「ほら他の方達は分かっているのですから、ナタリア様も怒りを鎮めてください。あ、そういえばあちらに美味しいピザがございましたよ。一緒にいかがですか?」

「まぁリオ様がそこまでおっしゃるのなら、不問に致しましょう」

ゾイレ夫人とナタリアを伴い美味しいピザのあるテーブルまで移動する。このピザが美味いと力説していると

「本当ですわ」

「美味しいですわね」

他の貴族も集まりピザはあっという間に無くなってしまった。

「リオ様」

ミランダが侍女の顔で私を諌める。熱く語りすぎた。

「わたくしは美味しい物を食べてお喋りを楽しみたいだけなのです。それにゾイレ夫人とも色々お話ししてみたいです。あの特にグラッド様との思い出とか」

ゾイレ夫人に微笑む。

「グラッド様の?」

「そうですわ。わたくし、グラッド様についてのお話しを聞くのが好きなのです。思い出を分けていただけますか?」

ゾイレ夫人が初めてお会いした時の立ち居振る舞いに感動したこと、学園入学前にも関わらず同性の同年代貴族の情報、人となりを把握していたことを教えてくれた。

「まぁ、そうでございましたか。」

それは聞いたことなかった。兄貴の話をした時、どんな顔をしていたのか。

その後ナタリアから夜会の楽しみ方を教えてもらった。

「リオ様も筋がいいですわ」

褒められた。

「あの、ミランダ様!」

背後からの呼びかけに振り返るとミランダが数名の女性達に囲まれている。

「ミランダ様!ファンです!!」

「わたくしも、わたくしも好きです!」

「あの、お話を聞かせていただきたいです!」

「わたくしをご存知なのですか?」

戸惑うミランダの問いかけに女性達は勢いづく。

「も、勿論ですわ!」

「とても有名ですもの」

「ありがとうございます。上手く話せるかわかりませんが、何をお話し致しましょうか」

ミランダが微笑むと女性達ははぁとため息をつく。

「わたくし、ニビで魔獣の群れを討伐した話を聞きたいですわ」

「わたくしはコランダムで盗賊団を殲滅した話を聞きたいです!」

ミランダが順に話すと、女性達の目の輝きが増していく。

「ミランダの人気が高いですね」

「そうなのよね。セシルに言うと落ち込むのよ、楽しいわ」

「ナタリア様、程々にお願いします」

囲まれているミランダを見守っていると、私の耳に

「冒険者風情が」

という声が聞こえてきた。ゆっくり、声のしたほうを向く。

三人組の女性達がかたまってこちらをみている。

にっこり笑って近づく。

「今の言葉は貴女達かしら?」

「リオ様、な、なんのことでしょう」

女性達の笑顔が引き攣る。

「ふふ違うのなら構わないわ。わたくしに喧嘩を売っている方がいるようなの、知らない?」

「な、何故リオ様に喧嘩を売ったことになるのでしょう」

怪訝そうな顔をする彼女達に

「え?だってわたくしも冒険者ですもの」

笑みを深めると見る見るうちに顔色が悪くなった。

「どなたがおっしゃったのか知っていたら教えてくださいね」

彼女達は頷くと逃げるようにいなくなった。




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