2話
炎は大きく燃えがり、火花を散らして消えた。
同時に白黒だった世界は色を取り戻し、土や草の匂いが戻ってきた。
すると……ガサガサ。
近くの草むらが激しく揺れ、何かが飛び出してきた。
「……うさぎ?」
確かに、シルエットは誰もが想像するウサギだ。
だが、目は鋭く尖り異様に赤い。
さらに、口から鋭い八重歯が見た。
『月兎。レベル五。群れで行動し、気性が荒く動くモノを見ると、とりあえず噛みついてくる。レアドロップの赤い瞳は、意外と高く売れる』
目の前の生物の情報が、一気に頭に流れてきた。
……レベル?
そう言えば……同級生がポケ◯ンやドラ◯エでレベル上げしなきゃって言ってたな。
やったことなかったから、なんのことだかわかんなかったけど。
要するに、敵を倒して成長するって感じだろ。
……あのウサギにもレベルがあるなら。僕にもレベルがあるのか?
『はい! あなたのステータスを表示しますか? YES\NO」
やはりな。
これは、迷うことなくYESだ。
メッセージウィンドウに表示される僕のステータス。
「……レベル一。まあ、予想はしていたけど」
産まれたばかりなのだから、レベル一は妥当。
だけど……レベル一でこの魔力量はありなのか?
魔力量――九万九千九百九十九
他のステータスでバランス……いや、それでもこれはおかしい。
……待てよ。
魔力量が多い分、魔法の威力が弱い。
そこでバランスをとっているのかもしれない。
「僕が覚えてる、魔法を一覧で表示して!」
検証するのに、ちょうどいい相手が目の前にいる。
『かしこまりました!』
ずらっと、僕が覚えてる魔法が表示された。
見た感じ……どれも、初級の魔法ばかりのようだ。
「……火球」
その中で、火球っての試して見ることにした。
口元に魔法陣が描かれ、赤い光を散らしゆっくりと回転を始めた。
回転に合わせるように、魔力が体から放出されボッと炎が灯る。
その瞬間。
「キュルルルッ!」
あのウサギがこちらに気づいた。
鋭い八重歯を鳴らして、こちらを威嚇してるのか?
いや、違った。
あれは、仲間を呼んでいた。
その証拠に草むらから次々と、あのウサギが飛び出してくる。
その数、余裕で千を超えてる。
だけど、その数は問題ない。
その間も、灯った炎は魔力を吸収しながら巨大な火の玉へと成長。
地面を抉りながら、それは一直線に飛んでいく。
そして着弾と同時に火の玉は弾け、轟音と爆風が一緒に襲ってくる。
「えっ……」
どこが、威力でバランスを取っているだよ!
こんなの余裕で、国一つ滅ぼせるレベルだぞ。
その証拠に一面焼け野原。
さっきまで新緑が美しい草原は、一瞬で真っ黒に焦げだ草原に変わり果て、焦げた独特の匂いが鼻を刺す。
ぽかーん。
なんか、レベルアップしましたとか通知が聞こえてるが、全く内容が頭の中に入ってこない。
「これ……ヌルゲー過ぎないか?」
……そんなことはなかった。
ちゃんと、どこかでバランスを取っていた。
『デバフを受けました。一定時間、二十のスリップダメージを受けます。これで、HPがゼロになると死亡しますので、気をつけてください!!』
それがこのデバフ。
どうやら、僕が魔法を使うとランダムでデバフが付与されるようだ。
今回はスリップダメージ。
僕のHPは、全回で二百五十。
すでに、二十のスリップダメージを一回、受けてる。
「HPは、どうすれば回復できるの?」
『HPは、回復魔法で回復できます。あとは、食べ物を食べることでも回復できます!』
これって……回復する為に魔法を使えば、またデバフを受けるよね。
なら、食べ物一択。
ちょうど、月兎のドロップ品に肉があった。
ただ、生で喰えるのか?
するとーー
「何やら、動物たちが騒がしいと思ったら……原因は君かぁ?」
森の方から声が聞こえてきた。
それは、物腰は柔らかいが……どこか、冷徹さを感じとれた。




