点と点の間
鳳学園の正門前。
円は妹・恭子を迎えに来ていた。
──最近、景の周りや学校の空気が変
──通学路で誰かに見られてる気がする
恭子がぽつりと漏らした言葉が、円の胸に引っかかっていた。
中突堤の事件の違和感。
登夢の過去。
恭子の落ち着かない様子。
恭子から聞いた景の違和感。
どれも繋がっているとは思えない。
でも──胸の奥に、説明できない“もやっとした感覚”が残っていた。
その時、校舎から出てきた一人の女性と目が合った。
谷神未来。
高校時代──
未来は“格闘少女”、
円は“レディース特攻隊長”。
互いに一歩も引かない、火花を散らすライバルだった。
未来が歩み寄る。
「……円さん。」
円は眉をひそめた。
「なんで未来がここに?……鳳学園に何の用よ。」
未来は静かに告げた。
「私は……今はここの教師です。」
円の表情が固まる。
「は? 教師? 何で……?」
未来は頷く。
「英語を教えています。恭子さんのクラスも、担当していますわ。」
円の心臓が跳ねた。
「……なんで妹を知ってるの。」
未来は答えず、
ただ円の目をまっすぐ見つめた。
その瞳は、高校時代を思い出す。
円が何度も見た“勝負の目”だった。
だが今は──もっと深く、もっと冷たい。
「……円さん。あなたも感じているはずですわ。──”違和感”を。」
円は息を呑んだ。
未来は続ける。
「私の生徒の周りでも、不穏な空気が漂っています。景さんも、恭子さんも……巻き込まれていますわ。」
円の胸の奥で、”アクセス不可”の違和感が再びざわついた。
でも、未来の言葉の意味はわからない。
景の違和感、中突堤の夜──全部が繋がっているとは思えない。
ただ、 “何かが変だ”という感覚だけが、円の中で膨らんでいく。
「……未来、何を知っているの?」
未来は静かに首を振った。
「相手は、昔の暴走族とはわけが違う。」
少し無言の時間があり再びつぶやく。
「まだ言えませんわ。でも──何かが近づいて、それは……私たち大人が止めなければならないものですわ。」
その言葉は、
まるで“予兆”そのものだった。




