戦慄の排気音、凶風の第六感
放課後の国道。
店の手伝い免除されていたシャケは、愛車XJを流しながら、集合場所へと向かっていた。
ヘルメットの中で鼻歌交じりに、これからのツーリング(登夢の画策)を楽しみにしていた、その時。
対向車線を、白い影がカッ飛んでいく。
ホンダ・VT。ライダーは……静耶だ。
「……あ? 静ちゃん?」
シャケはミラー越しに振り返る。
違和感が、胸を刺す。
(……なんで一人なんだ? 恭子ちゃんや景ちゃんはどうした?)
(それに、あの血相……ただの急用じゃねえ)
ゾワリ。
背筋に、冷たいものが走る。
シャケの第六感が、最大級の警報を鳴らした。
いや、これは――**「クリティカル(致命的)」**だ。
その直後。
風に乗って、微かな、しかし特徴的な排気音が聞こえてきた。
ギャァァァンッ……! ヴォォォン……!
2ストローク特有の、甲高い金属音。
恭子のNSRだ。
だが、その音の「質」が異常だった。
(……低速ギアで、フルアクセル?)
(回転数が落ちない……ブレーキじゃねえ、強引なエンブレ(エンジンブレーキ)でかわしてる音だ!)
ライダーであるシャケには、その音が映像のように見えた。
コーナーの手前で減速する余裕すらない。
アクセルを開け続けなければ、**「後ろから何かに追いつかれる」**という恐怖。
マシンの限界を超えた、悲痛な叫び。
「……まさか!!」
シャケの脳裏に、登夢や雷の周りで渦巻く「不穏な空気」がよぎる。
彼の悪い予感は、いつだって的中する。
「……クソッ! 間に合えよ!!」
シャケは、強引にXJを反転(Uターン)させた。
スロットルを全開にする。
タコメーターの針がレッドゾーンに飛び込む。
目的地は、あの悲鳴のような排気音の発生源。
(頼む……! 無事でいてくれ……!)
(恭子ちゃん、景ちゃん……!!)




