危険領域 魔境
頑張って早めに書きました!
Twitterで投稿の報告始めたのでリツイートなどしていただけると幸いです!
あの後戻ってくるなり、全てを見ていたかのように出来事を全て聞かれ、すぐに休むように言われた。
で、今日新たな依頼を受けることになったらしく部屋にやってきたようだが...
「新しい依頼を...って何してるんだい?」
その反応も無理はない。
だって...
「離れたくありません」
「いや、でも...」
フレイヤが離れようとしてくれないのだ。
それも両手両足を使ってくっついている。
俺が地面に寝たまま、という状況を重ねて想像して欲しい。
何やってんだってなるだろ?
「邪魔したかな?すまない。コトが済んだら...」
「大丈夫。続けて下さい」
「そ、そうか...?じゃあ入るぞ?」
めっちゃ疑いながら部屋に入ってきた。
まあこの構図じゃあ仕方ない。
「今日は依頼人もいるんだ。入れてもいいようにシャキッとしてくれ」
「う〜...はい...」
未練たらたらな様子でフレイヤは離れていった。
まあ数週間休まされたのだからこのまま居たいと思ってしまうのもわかる気がする...
「いいかい?じゃあ呼びに行ってくるよ」
校長はいつの間にかスリッパを履いていたようで、パタパタ鳴らしながら玄関まで歩いて行った。
俺らも気がついたら履いていた。
俺ですら気づかない間にどうやって...
「お邪魔します...」
そう言って入ってきたのは、同い年くらいだが明るそうな女の子だった。
あれ?女の子率高くない?
ー当たり前だー
「⁉︎」
いきなり頭の中に声が入ってきた!
しかし校長の声だから...怖くはない。
ー男は特に重要な労働力。逃すような警備態勢ではないんだ。...女子でも厳しいがねー
キョトンとした様子の女の子。
そうか...声に出して言わないのはそれだけ過酷な過去を思い出させたくないから。
それはたしかに思い出させるわけにはいかないな...
「あの...本当に、信じて大丈夫なんですか?」
俯きながら怯えたような、疑うような目でこちらをじっと見て、そう聞いてきた。
「大丈夫ですよ。」
俺より先にフレイヤが口を開いた。
「私も彼に助けられました。私は生まれつき悪魔憑きで、変な男の人達に襲われそうになっていたところを助けてもらったんです。
だから...騎士なんかより、全然信じられますよ」
その言葉を聞いた女の子の顔が、少し明るくなったような気がした。
というか、赤くなってる...?
「そうですか...あ、あのっ!」
いきなりガバッと顔を上げ、押し倒されるかと思うくらいには近くまできた。
反応できなかった、というよりは困惑している。
「な、なんでしょう?」
「その...か、かっこいいですね...!」
舞い降りる沈黙。
その沈黙を破ったもの、それは...
「...!......!!!..!...!」
笑いを一生懸命堪える校長の漏れ出る声と、
「え...その、え...?」
俺以上に困惑しているフレイヤの声だった。
そして目の前では沈黙を作った原因の少女が茹でたタコのように赤くなっている。
え、どういう状況?
俺モテ期なの?モテてんの?
「...渡しませんからね⁉︎」
正気を取り戻したフレイヤがそう叫んだ。
...豆鉄砲を喰らった鳩のような顔で叫ばれてもなぁ...と思っていたことは内緒だ。
______________________________________
「龍の討伐って事?」
「...はい」
あれからもこの女の子はずっと俺の顔を見てくる。
んまあ今回の依頼は精神的に疲れることはなさそうで助かるんだが...
「ごめん、その...名前を教えてほしいんだけども...」
「はい!ムジーク・グリュンヘルツです!」
グリュンヘルツなのにあんま緑って感じの外見じゃないな...。
失礼だが、それが最初に抱いた感想だった。
「じゃあ、ムジークって呼んでいい?」
「...! はい‼︎」
もしも尻尾が生えていたなら千切れんばかりに振っていただろう。
そのくらい嬉しそうな顔だった。
「そこまででいいかい?今回は龍の討伐という依頼だ。何か質問は?」
「...バード、でしたっけ?
そこの種族はもう解放されたんですか?」
「ああ、君と同じクラスだったマース君がやってくれたよ」
マース...最初に挨拶してくれたアイツだ。
そうか...アイツもクルセイダーになったのか。
「んで、今回の相手の龍というのは?」
それ以外のことは把握している。
今回は人を守る仕事。
この都市「メガロポリス」近くの魔境...
つまるところ人間の姿をしていないが魔力を使える動物、通称「魔族」が生息している場所で、人間が暮らしているところとは比べ物にならないほど戦闘能力が高い魔族が生息している。
一国の軍隊を全て動員しても、半径数kmの範囲を制圧できないという凶悪な場所だ。
だがしかしそれは軍隊に所属しているのが普通の人間だから勝てないだけだ。
俺らは違う。
「相手は銀翼龍「エズストニイル」だ。
確か...銀の矢、という意味だったかな。」
竜の相手...もうすでに俺は一回倒している。
前回に比べたら楽そうだ。
「おっと、『楽そうだ』なんて思われると困るな」
まるで心でも呼んだかのようにナイスタイミング。
校長はそのまま続けた。
「君が倒したのは祖紺龍「ネイビーハウンド」だ。竜の中ではランクにして下の上と言ったところだ。」
「...あんまり強くないな...?」
「じゃあ今回の...なんでしたっけ?
エズ..」
「エズストニイルか。アイツは上の中。
お前たちより遥かに格上だ。
文献によれば、何もないところから数え切れないほどの槍が飛んで来るとか、反射させまくった光を使ってレーザー攻撃してきたりするとか」
「なんだそれカッコいいな」
「それどころじゃないでしょ」
格上か...
確かにキツそうだが、それが格上なのは一対一に限った話だ。
俺とフレイヤならいける。
「あのっ」
ムジークが勢いよく口を開いた。
「私は戦闘能力を持っていませんが、導くことはできます!」
「...指揮、って事?」
「いいえ、それはちょっと違くてですね...」
______________________________________
「いいですか?」
場所は本人の希望で演習場に移した。
何気に初めて来るが、本来なら戦闘訓練をここで積んでから戦闘、もとい依頼に参加するのだ。
「ああ、準備できてる」
龍鱗の刀を呼び出し、身体強化をかけておいた。
お願いされた準備は終わっている。
「じゃあ行きますよ...
あそこの的から大きく外れた場所に飛んでください」
そう言って指差された的を確認して、俺は了承した。
「...ふっ!」
息を吐きながら全力で飛ぶ。
的から大きく離れた場所に着地するコースなのは変わらないままだ。
ーもしかして攻撃を当てるんじゃないのか?ー
その時だった。
「ぅおッ⁉︎」
機動が急激に変わり、的のど真ん中に突っ込むコースに移行したのだ。
「せぃっ!」
とりあえず的は叩き切った。
元の場所に戻るなり、ムジークが謝ってきた。
「ごめんなさい!驚きましたよね⁉︎」
「大丈夫。っていうか動体視力と反射神経すごいね!俺ほとんど全力だったから音より早かったはずなんだけど」
「まあ、普段はこれを使ってますから...」
そう言って手に持った棒を前に出す。
「ちょ、ちょっといい?」
フレイヤが戸惑った様子で質問しようとする。
俺も今思った事があったのだ。
「今呼び出してたけど、それって何かの素材で...?」
「はい、昔貰ったエズストニイルの銀槍から作ってるんです」
言われてみれば、確かに銀一色だ。
ただ、表面が結晶っぽい気がする。
加工が難しい素材のようだ。
「凄く硬いのに軽いんです。
家に代々伝わる指揮棒なんですよ!」
...もしかしてとは思ったが、ムジーク本人が魔境まで行って採集したわけではないらしい。
まあ当たり前か。
騎士ですら瞬殺されるような場所なのだから。
「...いいかい?これから君たちには魔境に行って探索をしてもらう。
エズストニイルが倒せたら合図を送ってくれ。
向こうのキャンプ地に信号弾が送ってあるんだ。」
「倒せなければ...?」
「迎えに行くだけでも危険だ。死人が出るかもしれない」
...確かにな。
危険なら...仕方ない。
「わかりました。やり遂げて見せますよ」
______________________________________
「「「ありがとうございました!」」」
「気をつけるんだよ...」
ここが魔境...どこか神々しくさえある魔族の地。
送りの車はキャンプまで俺らを送って帰っていった。
「さあ、行こうか...生きて帰るぞ!」
見ていただく上で何か変だなと思ったり、読みづらいなというのが有ればどしどしご意見くださいね!
ではまた!




