作戦開始
ここに何を書けばいいのか分からない...
何か質問とか意見あればいつでも受け付けてますー
「何かあったんですか?」
朝、戦闘が終わりあの穴へ戻ると、皆が起きていた。
1人残らずだ。
「ああ、ちょっと外で戦ってたんだが...あの女騎士、天使憑きだった。外に他の騎士が残ったままあの特殊な空間に入ったんだが、戻ってきたら綺麗さっぱりいなくなってた。皆は怪我とか、誰か連れていかれたとかない?」
「そうね...誰かいない子はいる?皆確認して!」
「うちの子が...息子がいないわ‼︎‼︎また攫われたんだわ...‼︎」
あの女性、俺が殴られているのを止めようとした人だ。
...ということは。
「あの勇気ある少年か」
何かしでかして余計に相手を刺激していなければいいが...あの性格では期待するだけ無駄だろう。
今は少年のあの勇気が、少年自身を殺しかねないのだ。
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「これより、作戦を通達する。」
夜、子供達が寝静まった深夜に、ランタンに灯した光の魔法だけを頼りにしながら作戦会議が始まった。
参考にするのは女騎士からもらった手紙、それと現地の人たちの経験だ。
「まず建物はコンクリート製。
外壁は鉄板で覆われているため外から中の様子は見えない。通信役が必要だが...フレイヤが通信魔術を使えるそうだからフレイヤに任せる。
室内はガラスが多用されていて、俺みたいに音速を超えて動こうもんなら割れて音でバレる。」
「普通は音より速く動けないわよ...」という呟きが聞こえてきたがこの際無視する。
俺の戦闘能力なら相手を一人で壊滅させられるだろうが、そんなことをすれば捕虜が無事でいる保証はない。
実際、今ここにいるのは10人程度。子供を合わせても20人いかないだろう。
一年前はこの廃墟になってしまった都市がいっぱいになる程沢山いたらしいので、中にいる人数は想像もしたくない。
まあ全員残っているわけがないが。
「ここからの距離は大体2kmくらい。
警備は数十人規模。ただ建物の前に広場のようなスペースがあるため意外と死角は多い。
上手く建物の影などに隠れて侵入するから、外からの援護はウェーラー、侵入するのは俺とフレイヤとする。他はここで待機していてくれ。」
「待ってくれ、俺たちも行くぞ!」
「落ち着いてくれ。戦闘能力は俺の方が上だし、もし、万が一にもあり得ないが失敗でもした時には俺らがやった方があなた達が不利にならなくて済む。
侵入という作戦も少人数の方が向いているしな。」
「...それはそうだが...」
渋る男性を前に、フレイヤが一歩前に出た。
「フレイヤ...?」
「信じていただけませんか?」
フレイヤのものだとは思えないセリフだった。
あまりフレイヤは前に出るようなタイプじゃないし、自分にそこまで自信があるようには見えていなかった。
...何がそうさせたんだ?
「私は国を一つ落としたことがある悪魔が宿っています。信じていただけませんか?」
「...!?」
初めて聞いたぞそんなこと!
取り敢えずスルーしておく。
「なんだって⁉︎いや...まあ、そういうことじゃなくてだな、報酬が支払われるわけでもないのに、そこまでしてくれるのか?って話でな...」
「俺達は報酬で動いているわけではない。自分の判断と感情で動いている。金や宝を目の前にしてやる気が起きるなんてのは情けない事限りなしだ。...俺達は依頼こそあれどここに来たのは自分たちの意思だ。それは信用してもらいたい」
雲が晴れたように表情から曇りが消える。
その場にいた全員から、だ。
皆それが心配だったのかと考えると、なんとも言えない。
それだけ人を信用できなくなるような環境にいたのか...
「続けるぞ。ウェーラー、行って欲しいところがある。俺らが侵入している間にとある場所に行って欲しい。この手紙の裏を見てくれ。」
「...地図?」
そこにあったのは地図。
表に書いてある情報とは別に書いてあるものだ。
「そうだ。誰か三人くらいでウェーラーを援護して向かってくれ。俺らはこれから奴らのアジトに出発するから...頼んだぞ。」
地図が指していた場所。
それは、森の入り口。
神社と呼ばれる建物のある場所だ。
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俺たちは歩いている。
壊れた都市の残骸を踏みながら歩いている。
奴らのアジトがあるのはもっと綺麗な場所だと書いてあった。
目の前にあるのは瓦礫と埃。
そして人形やら写真やらといった生活の跡。
それに付いた生の魔力の残滓が、ついさっきここで何かがあったことを知らせていた。
「近いな...この辺に騎士がいるはずだから、探し出してついて行こう。」
そう言うと、何も言わずフレイヤは首を縦に振り、黙ってついてきた。
「どうかした?疲れたのか?」
「いや、そうじゃなくて...私の悪魔の話。
国を一つ滅ぼしたっていうのはね、本当の話なの。」
「知ってる」
瓦礫を踏む音だけが辺りに聞こえる。
足を止めずに会話を続ける。
「テンペスタって名前を聞いた時、結構驚いたんだ。君の悪魔が覚えてるかはわからないが、先代のテンペスタを宿していた者を倒したのは俺の父さんだ。」
「え...?」
「しょっちゅうその話をしてたよ。
...騎士がいるってことは目的地はもうすぐそこだ。さあ、本番だよ」
今、俺に求められているもの。
フレイヤに傷一つつけないこと。
ウェーラーを無事に帰すこと。
そして...最優先事項。
捕虜のみんなを一人残らず助ける。
どれか一つでも欠ければ俺にとっては不合格。
あの気まぐれなよく分からない女騎士も何をするか分からない。
さて、どうしたものか...
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「ペネトレイター」
名前を呼ばれた少女は聞く耳を持たない。
考え事をしている時はいつもそうだ。
全く...世話の焼ける子だ。
「ペネトレイター、あの刀使いはどうでしたか?」
「ああ、変わってないよ!すっごく速くて、いい動きをするの!かっこいいなぁ...流石は私の...」
私の...
少女はいつもそこで止める。
だがつい先日、あの学校にあの刀使いが入学した時に何があったかは何回も聞いた。
意外なことだったが...
「流石は私の救世主、ですか...」
「ええ、若竹がいなかったらきっと今、ここにはいなかったわ。」
目を輝かせる少女。
まるで祈りを捧げる聖女のようないい顔をしている。
クルセイダー諜報本部、その部長室の窓際で、彼女は大きなため息をつく。
「ハァ...若竹の勇姿、まだ見てたかったなー...」
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「なんだろう?これ...」
地図の目的地に到着し、目の前にあったのは古ぼけた神社。
かつて朱色に塗られていたであろう鳥居は見るも無惨に崩れている。
障子に穴が空き、木材が朽ちてきている姿は、とても痛々しい印象を与える。
長いこと放置されていたのだろう。
だが、見たことがある。
この鳥居が朱色に塗られ、まっすぐ建っているところを。
痛々しい神社が、綺麗な姿で厳かにあの街を...あの街が崩れていなかった時の景色をずっと見守っているところを。
ー何故だろう...私はここにいたの?ー
水を入れすぎた絵の具のように、淡くぼやけた感覚が胸を満たす。
ぼやけていても、決して消えない感覚が。




