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考察

 くっそ痛ぇ。


 身体中の筋肉が関節が悲鳴を上げてるみてぇに、くっそ痛ぇ。

 頭も心臓の拍動に合わせてギリギリと痛む。


 割れそうだ。


 ゆっくりと肺に空気を流し込み、そろそろと吐き出す。


 はぁ、少しずつ痛みが治まってきた。


 薄っすらと目を開ける。

 真っ暗だ。そもそも小さな窓しかない薄暗い部屋だったが、色々とやっている間に日が暮れてしまっていたか。


 だがまぁこの身体について、少しだが分かってきた。


 まず、若返り。


 これは俺の中に入っている時の宝珠の作用のせいだと目星は付けてる。ただ全く自分で認識も出来なければ、制御も出来ない。そして今もゆっくりと戻り続けていて、能力を使うと加速する。


 そして一定の時間経過か、一定量以上の能力を行使すると激痛が走り、若返りがはじまる。


 っぽい。


 確証はないが、まぁそんな所なんだろう。


 こっちの世界に来た直後が八十二歳として、一度倒れて六十後半ほどまで若返った。今は六十半ば、といったとこかな。


 若返る程に体力が増えてる感じがあるんだが、これ以上に若返るのはさすがに不味い。人相がだいぶ変わってきてしまっている。


 そして、この若返りには問題が二つある。


 それは何処まで若返るのか?という事と、

 自分の魔力総量が死んだ頃のジジイの時と、今のジジイに片足突っ込んだ頃のジジイと、一切変化がない。という事だ。


 つまり自分自身の身体が、自分自身の魔力総量を収めきれなくなるまで若返ってしまうと、身体が割れてしまう。


 と、いうことになるらしい。


 これは万知の書が出した答えだ。

 多分、その通りにそうなるんだろう。


 やれやれだ。


 次に魔法陣について、


 当初、俺の身体は聖杯から呼び出され、魔核結晶、万知の書、鎧、時の宝珠、血殻水晶、によって構成されている。と思ってた。


 だが、この中の魔核結晶と血殻水晶について、自分の中に見つけられない。

 鎧に至(いた)っては、着いているだけで取り込んでいる訳でもない。


 魔核結晶とは、文字通り魔獣の核、いわゆる心臓にあたる物らしいのだが、俺にはなく、

 そして、血と肉体を封じ込めているとされる血殻水晶の血と肉体は、俺の身体とは別物であるらしい。


 では、その二つはどこに行ったのか。


 キン


 ブレスレットとブレスレットをぶつけて音を鳴らした。

 俺はあの魔法陣を見た時、そのまま六芒星と認識した。だが、そうではなかったのだろう。


 あれは単純に二つの三角だったとしたらどうだ。

 聖杯を頂点とした、万知の書と時の宝珠。

 鎧を頂点とした、魔核結晶と血殻水晶。


 そして、姫犬ちゃんの部下が見たっていう、俺を助けた少女。


 道筋(みちすじ)としては合ってると思うが・・・、だが、そうなると一つ辻褄(つじつま)があわなくなる。

 俺の身体はどこからきたのか。ってとこだ。


 勇者がなんでこんな物を用意したのか、疑問ばかりが増えるな。

 せめて鎧の中身が出てきて話でもしてくれればいいんだが、この鎧は相当にシャイなんだろう。


 まぁ、姫犬ちゃんの部下っぽい狐耳が聞き耳を立てている今は、絶対に出てこないと思う。


 あっちの闇姫と会うまでに、ある程度の予測は立てたいんだが、間に合うかね?


 やれやれだ。


 ん?


 狐耳の気配が消えた。


 どうもこの獣人族、いや、ここにいるのは犬狼族と孤族か?

 こいつらは気配を消すのが上手い。少し気を抜くとすぐに見失う。ただ、長く集中してられないのか、そもそも長く気配を消していられないのか分からんけども、気配を探りにくくなる時間はさほと長くない、


 あ、姫犬ちゃんが来た。


 姫犬ちゃんは姫犬ちゃんで、他の犬耳より気配が見つけ難(にく)い。個体差かね?


 それは兎(と)も角(かく)、姫犬ちゃんが来たら狐耳の消えた。


 これいかに。


 ほどなく、コンコンとノックの音が聞こえてきた。


「どうぞ」


 カチャリとドアノブが回され、姫犬ちゃんが入ってきた。


「時間だ。行くぞ」


 ほいほい。


 藁のベッドから起き上がり、牢の中から出る。


「なぁ姫さんや」


「なんだ?」


「あんたの部下に狐耳の娘はいるかい?」


「いや、いないが?」


 いないんだ。するってーと?


「見たのか?」


 何かその諦(あきら)めたような溜息(ためいき)、不穏(ふおん)なんでやめて欲しいな。


「見てはないな」


 肉眼では、だが。


「そうか」


 姫犬ちゃん、そう言ったきり背を向けて歩いてってしまった。


 一応その後ろを付いて歩くが・・・、何考えてるんだか。


 姫犬ちゃんに付いて歩き、陣の端の方まで来た。そこには前に見た、柴耳、狼耳、パピエンがいた。

 部下がこの三人だけって事はなかろうが、直属か護衛なのかね。


「待たせたな、行くぞ」


「姫、よろしいのですか?」


 何がだ⁉︎柴耳の言葉がすげぇ不穏だな。


「かまわん、どうせ振り切れはせんのだ」


 誰をだよ⁉︎


「承知しました」


 姫犬ちゃん森の中に入ってっちゃったよ。

 アレか、襲われるの確定で向かうって訳ね。誰にってのは、さっきの狐耳娘関係かな?

 あとは理由だが、そこまでは流石に分からんが・・・、目的は・・・まぁ、十中八九、俺なんだろうなぁ。


 どうでもいいが、説明くらいしてくれてもいいだろうに。

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