第130章
華龍storyと同一の世界で、もつ一つ書き始めました。『服従のアルティフィナ』という題名です。同時進行で書けたら良いなと。併せて宜しくお願い致します。
130.
この世界には麺類という物がないらしく小麦粉の使い道はパンを焼く事に、ほぼ限られている。残念な事に麺がないので、ラーメンもスパゲッティも食べる事が出来ないのは、寂しい限りだった。特にラーメンの味には一言言わざる得ない俺としては、この不毛な食の現状を看過する事は出来ない。麺造りからの挑戦となったが、その成果は『虚無の狼の迷宮』への道のりで試す事にして、今日のところはメインのすいとんと、サツマイモと林檎の揚げスイーツだ。
すいとんは煮物だが、スイーツの方は小麦粉で春巻きの皮を造って、甘く煮詰めた微塵切りのサツマイモと林檎を包んで油でカリっ、と揚げる。どちらも、それ程難しい訳ではなく、センス云々の話でもない、はずだ。多分。
そう、実はこの本日の夕食メニューの選択には日頃食事作りを俺に頼りきっている、うちの娘たちに、自らの手で手料理を作るという大切で偉大な一歩を踏み出させるという、俺の深謀遠慮があるのだった。
「そうだ、エレイン。まあるく、まあるく。簡単だろう? とてもうまく出来てるじゃないか。悪いが、アリシアの分も見てやってくれるか?」
そう、人間褒められると、その気になる。人間ではなくて精霊だけどな、エレインは。
まずは、それなりに手先が器用そうなエレインを懐柔して、すいとんの、要するに小麦粉団子を作るのを手伝って貰う。褒められたからなのか、どこか悪女の横顔が得意げだったりもする。
可愛い悪女、これもギャップ萌えの一種なのか?
「むっ、これは難しいな。なんでエレインの方は、そんなに丸くなるんだ?」
エレイン程は器用さを期待出来ないアリシアも、必死にエレインを真似ようと努力はしてくれている。良い傾向だ。
そうそう、何事も努力ですよ。
世の中、努力してもダメな、胸の大きさとかもあるけどな。別にアリシアは、努力はしてないとは思うが。
「やっぱり、おっぱいの形が反映されるのどすわ。まずはフィレンツェはんに良く揉みしだいて頂かないとあかんどすよ」
えっ?
不埒な事を考えていたのは、如何やら俺だけじゃ、なかったらしい。しれっ、と答えるエレインの回答に、がっくりとうなだれたアリシアが小麦粉団子を手に何事か呟いている。
『そうか、そうだったのか・・・。だが、それなら、最近少しは丸く捏ねられる様になっていても良いはずなのだが。まだ、足りないのか・・・』
いや、これ以上増やすと俺が死ぬから、止めておこうね。て、いうか。エレインの言う事を真に受けるのは、止めようね。
「見て下さい、ご主人さま! うまく平たく伸ばせました!」
漸く捏ねた団子を相手に、伸ばし棒(実体は単なる程よい枝の、樹皮を剥がして整えた棒)で格闘していたシャーリーが、ツインテールの尻尾を揺らして話しかけてきた。
なるほど、時間は掛かったが、うまく出来ている様だ。
流石シャーリー、平たい物は得意なんだね? だとすると、俺は人選を誤ったかもしれない。シャーリーと一緒に春巻きの皮を担当すべきは、ソフィアではなくアリシアと言う事になる。
取りあえずシャーリーの頭を撫でながら、もう一人の春巻きの皮担当に目を遣る。
「ダメだわ・・・。何度やっても、ボロボロになっちゃう」
うん、やはりエレインに次ぐ大きさ。仮説通り、向いてないんだね?
まぁ、実際のところは、アリシアでもダメな気もするけどね。
ソフィアの背後から手を伸ばして、教育的指導に移行する。驚いたソフィアが振り返ろうとするが、そこは強制的に継続でしょ。
『ほら、エプロンだけじゃ、後ろは隠せていないよ・・・』みたいな。
やはりエプロンは必要だな。早く調達すべきだろう。
いいな、これ。
「フィル? 余計にボロボロになってるんだけど」
へっ?
あ、ついつい力が入ってしまいました、いろいろと。
仕方ないのでソフィアを解放して、失われた尊厳の回復に努める。取りあえず失敗作をもう一度団子に戻し、再び平たく伸ばす。普通に、春巻きの皮が完成。くっつかない様に粉の小麦粉を振って、重ねていく。「凄いわね、やっぱりフィルがやると早いのね」
そうだろ、そうだろ。
如何やら、尊敬を回復出来たらしい。
「うん、やっぱり、お料理はフィルにお願いする方が良さそうね!」
にこやかにソフィアがそう宣言すると、他の三人も力強く頷いてそれに追従する。
ちょっと待て、何でそうなる?
・・・まぁ、良い、今日のところは。
ローマは一日にして成らず、少しづつ、少しづつ。
そうか、まずは形から入る事が良いかもしれない。やはり、娘たちにはエプロンが必要だと言う事なのだろう。
華龍storyと同一の世界で、もつ一つ書き始めました。『服従のアルティフィナ』という題名です。同時進行で書けたら良いなと。併せて宜しくお願い致します。




