3.シンギュラリティの章
〈第5話 誕生秘話〉
ナレーション(勇者ケンは、魔王軍をひとりで討伐した。その犠牲は大きかったが…今はその責務から解放され、破壊された城のバルコニーで安らかに目を閉じる)
ケン「そういえば、こんな事があった…」
騎士姿のケンは、過去に思いを馳せる。
(回想)
タキシードのケンが、貴族の王宮で…ドレス姿の美しい令嬢のリップルと、大広間でダンスを踊っている場面に切り変わる。
ナレーション(美しいクラシック音楽の調べ、ドレスと装飾美を競い合う舞踏会で…ひときわ来客者の目を惹いたのは、この城の王女リップルと…その婚約者ケンだった)
ケン「リップル、今日もキレイだよ」
リップル「うれしい、貴方様…でも私達、注目を浴びてましてよ」
ケン「あぁ…そうだな。それに、何か嫌な予感がする」
バァ〜ンッ!
メリー「お兄さま〜っ!」
扉を左右の手で観音開きし、ケンの妹メリーが乱入して来た…
ケン「め、メリー?」
メリー「ワタクシというものがありながら…ぬぬぬぬぬ」
貴族達は、彼女の剣幕に圧倒され…円を描いて遠巻きに下がる。
ゴゴゴゴゴゴ…
地響きがし、地面に亀裂が入る。
バキバキバキバキバキッ!
ケン(マズイな…妹は妖力が使える、放っておいては危険だ)
ケン「リップル、逃げろ!」
ドンッ!
王女を突き飛ばし、妹の方へ向かうケン。
メリー「あぁ…お兄様、ワタクシを選んでくださったのですね」
兄に抱擁されるメリー…すると、ふたりは光に包まれる。
ピカピカピカッ!ババ〜ンッ!
眩い光の中から、ひとりの魔法少女が誕生する、その名は…
魔法少女「魔法少女ドリーミーシャーク、デビュ〜!!」
(現在時空)
魔王城空中庭園で。
ケン「こうして、力を得た俺は…なんだかんだで、魔王討伐に成功したんだったな」
メリー「アタシのおかげよ」
異世界装束の兄妹。
リップル「いや、そのなんだかんだを演れよ…」
今の制服姿のリップル。
その頃…元の学園校舎裏庭、土の中から這い出してきたハジメ。
ハジメ「フッ…嫌な昔話を、思い出しちまったぜ」
〈第6話 なんだかんだの方向性〉
再び、何部の部室。顧問のレンジが立ち上がり、今回の議題を発表する。それを全くマトモに聞く様子も無い、椅子に座るケンとリップル…それと、何故かバケツを持って後ろで立たされている、アキと部長のハジメ(アキの方は頭の上に、水の入ったバケツを乗せている)。
メイド服のケンの妹、メリーがそれぞれにお茶を振る舞うが、誰も気にはしていない。
レンジ「つまりこうだ…本当の我々は、まだ海底にいると」
ケン「で、今地上を席巻している異星人達をどうしろと?」
レンジ「戦争を起こすんだ…」
リップル「武器が無いわ」
アキ「魂の武器で戦うのよ、心の銃を使ってね」
都市伝説調のアナーキーな会話を始める、何部の面々。
メリー「それって、ハラスメントにならないの?」
いきなり、リアルワールドへ突入。
アキ「出た、何でもかんでもハラスメント、ハラスメントって…」
ケン「カスハラってあるけど、客側が店員に嫌がらせ受けた時のも考えないと、フェアじゃないよな」
アキ「最近の弱者が正義って、思想の蔓延…」
リップル「結局さ、支配者側の都合のいい様に、世界は徐々に作り変えられてるのよね」
再びデマゴギーモードへ。
アキ「表向きは怒号の無い、穏やかな世界形成だけど…結局人類なんて猿のままで、そのストレスが異常犯罪を引き起こしてるって気づいてないのさ」
それとなく、真を突く。
リップル「スモーカーとバイカーの増加もその一端…」
ケン「その解消方法の裏には、癒着があるって分からずに。今や反骨精神そのものがエンタメ化してる」
つまりは、メディアの洗脳だと語り始める。
メリー「結局、メリー達先住民族の思う壺ってことだわさ」
アキ「あ、ほんまゃぁ〜!」
自らを宇宙人だと称する彼等にとっては、都合のいい話だって様子。
ケン「ちなみにバイカーと言えば、あの映画やアニメで有名なヒャッハーの世紀末…スモーカーはその海版で、某テーマパークの水かけアトラクションの終末感か…」
リップル「つまりアトムの未来じゃ無い世界感の現在…行く末は、言わずもがなって事」
映像世界のディストピアでは、バイク乗りと喫煙者が支配者となっているらしい…事実車は空を飛んでいない。(ドローンの延長線だけ)
アキ「ま、オリンピック中止を予測した作品では、自由の象徴だったケド…ブルンブルンッ」
諦めるな。
ケン「自由を語るが、自由な人間は嫌うってやつ」
イージーだ。
そんな茶番に痺れを切らしたメリーが動く。
メリー「もう…しようがないな」
パチッ!
メリーがメイド服の胸元に手を挿れ、ブラジャーを外す(フロントホック)。
アキ「スマン、アタシもパンツ脱ぐか?」
頭のバケツを下ろして、おっ始める。
リップル「あ、この間のサービスカットか」
前段は、退屈シーンと認識される。
ケン「お前は?」
何気に彼女にも、期待の目を向けた。
リップル「エッチ…」
とりあえず、テーブルの上にメリーのピンクのブラと、アキのティーバッグの黒パンティ、リップルのクマさん刺繍のおパンツが置かれ、部室内にイヤらしい空気が立ちこめる。
レンジ「では、リップルの脱衣シーンをプレイバック」
時間が少し遡り…恥ずかしそうに、制服のスカートの奥に手を挿し込み、スルスルと自分のパンティを脱ぐリップル。
リップル「イヤ、見ないで…」
アキ「クマさん…」
メリー「負けた」
ケン「部長からも、ひと言お願いします。(この人、さっきから何も喋ってないよな)」
ハジメ「あのさ、ここにいるのは生き霊で…」
リップル「は?」
校舎裏にカメラは切り替わる。
ハジメ「実はまだ、ここにいるんだよ…」
下半身が引っかかって、土から出れないハジメは、魔法のステッキを握りしめていた。




