第二夜 夜の主①
空が白く霞んできた――
朝だ
この街にとっては眠る時間だ
多くの店が看板を片付け、灯りを消す
「ヨシ!今日の巡回終わり〜。」
全体を確認し終え、朱殷が大きく伸びをする。
「あとは、ボスの報告…。」
蔚藍は街の入り口に向かう。
「あ!待ってよ〜。」
それに朱殷も続いた。
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街の入り口の門、そこはただの境界線というわけではない。
そこに足を踏み入れると赤と青の光が2人の体を包み込こんだ。
毎度のことながら光の眩しさに2人は目を瞑る。
光が消え、目を開けるとそこは2人が属する裏組織と昼の者は呼ぶ『夜都』の本拠地に変わっていた。
「やっぱどうなってるんだろこの門…。」
「住民や敵が通ってもそれはただの門、なのに私達が通るとここに着く。」
朱殷は自分が通った門を振り返る。そこには立派な造りで縁には花や龍が彫られており、赤と青の光が渦巻く門に変わっていた。
「ボスはすっごく長生き…」
「なん、でもできる!」
蔚藍はなんだか自慢気だ。
「でも、ホントにこの術は意味わかんない…」
「本拠地には来れるのに場所は分からないなんて…」
改めて朱殷は辺りを見渡す。
黒が基調の巨大かつ美しい建物。
忙しく書類を運ぶ職員達
遠くには他の街の幹部と部下と思われる者たちがいる。ここは昼と夜の区別がなく、働く者の種族がバラバラだ。
明るく感じるが、太陽の光はなく吸血鬼達も動き回っている。
「報告、行こ?」
眠くなってきたのか蔚藍が目を擦りながら朱殷を急かす。
「わかった、わかった。」
蔚藍の手を引き朱殷は歩き出す。
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「朱殷様、蔚藍さま ようこそいらっしゃいました。」
「ボスの所までご案内いたします。」
狼耳の長身の男が恭しく頭を下げた。
「あれっ?キミが案内だなんて珍しいね〜。」
「本日は出払っている者が多いもので…。」
そう言うと、男は歩き出す。
2人は気にせず黙ってついていく。
とある階層、男がドアをノックする
コンコンコン
「ボス、紅藍街より朱殷様と蔚藍様がお見えになりました。」
「――入れ。」
低い男の声がした。
ガチャッ
ドアが開き、2人は中にはいる。
広い部屋の真ん中に大きめな机が一つ置いてあり、周りには本棚が並んでいる。
机には書類が積まれてあり、その真ん中にツノが生えた褐色肌に黒く長い髪の見た目は若そうな男が座っており、手と目は書類に向かっている。
「失礼しま〜す。」
「失礼します、です。」
挨拶は軽くそれぞれだが礼はどちらも綺麗で深い。
「ボス、昨日襲撃されたから報告に来ました〜。」
「わかった、すまないがこのまま聞く。」
ボスと呼ばれた男の声は本当に申し訳ないと思っている声だった。
朱殷がそのまま続ける。蔚藍はさっきからずっと船を漕いでいてまるで使いものにならない。
「えっと、襲撃人数は4人なんだけどね話を聞けたのは1人。」
「質問したらお話してくれたんだけど、下っ端というか金で雇われたゴロツキで何にも知らないみたい。」
「でもまぁ手口からみて‘昼の騎士団’の仕業だと思う〜。」
「紅藍街でチョット暴れてこいって武器と共に金渡されたんだって。」
「――紅藍街もか…。」
ボソッと煩わしそうに呟く
「そうか、皆無事だな?」
ボスの目線が2人を一瞬だが捉えた。
「部下が1人やられたけど平気って蔚藍が言ってた〜。」
ほぼ眠っている状態の蔚藍を見ながら話す。
「…ご苦労であった、もう下がれ。」
ボスも蔚藍の様子を見てそう指示をする。
「は〜い、では失礼します。」
朱殷は頭を下げ、眠ってしまった蔚藍を魔法で浮かばせる。
部屋を出ていきそうな時に一度呼び止めた。
「―――昇格の件だが…、いや、何でもない。」
朱殷の表情を見て言い濁す。
「いい夢を。」
それに微笑んで、
「おやすみなさい、ボス」
2人がいなくなった後部屋に1人ため息をつく
「――あの2人を昇格しろという声が大きいのだがな…」
「……襲撃自体は珍しくないが同日に他の街もか。」
「昼の者か、はたまた他国の組織か…」
男は問題と目の前にある書類に対し、もう一度ため息をついた。
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