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『音が見ている世界』

作者:まに助
最終エピソード掲載日:2026/06/02
この世界には、「音を鳴らす」という行為の裏に、もうひとつの意味があった。
それは、音楽ではなく──世界の見え方そのものを変えること。
楽器とは、音を出す道具ではない。
それぞれが異なる“知覚の器官”であり、世界を感じ取るための別の身体だった。
オカリナは風の流れを記憶し、
バイオリンは震えの微細な感情を読み取り、
フルートは通り過ぎる空気の意味を翻訳し、
ピアノは世界の構造そのものを鍵盤として可視化する。
同じ世界に存在しているはずなのに、
それぞれが見ているものは、まるで違っていた。
ある日、それらの楽器は気づく。
自分たちが見ている世界は「真実」ではなく、
ただの“解釈”にすぎないのではないか、と。
音は世界を作っているのか。
それとも、世界が音としてしか認識されていないだけなのか。
やがて四つの視点は交差し、
バラバラだった世界はひとつの問いへ収束していく。
「世界とは、音なのか。それとも、音が世界なのか。」
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