夢のマイホーム
次の日。父がやりたいことがあると言うので私達は城内から一度『テレポート』して、王国の外の平野に来ていた。
「やりたいことって何ー?」
また婚約指輪でも渡すのだろうか。
まあ私は優しい娘なので父に付き合ってあげよう、と思うのである。
「よくぞ聞いてくれた!!!!!」
父は大声を上げた。
「これから、家を作る!!!」
........???????
私は一瞬訳が分からなくて、理解するのに時間を要した。
家って、作れるんだっけ?
「ここに家を作るの????」
「そうだ!!!」
えっへん!と父は胸を張る。
「こんなとこに作って、どうするの?」
確かに『テレポート』を使えばいつだってここに戻ってくることはできる。
ってかこんな所に家建てて良いのか?そもそも...
すると父は何やら力を込めはじめた。
あっ、人の話聞いてない、この人!
「ふんぬうううううううううううう」
「な、なんか作ろうとしてるし」
「うおおおおおおおおおおおおおおお」
ぽんっ、という可愛らしい音と共に、家が現れた。
少し宙に浮いた状態で現れた家は、どすーんと音を立てて着地した。
「おおおおおおお!?!?」
家が着地する衝撃で私達の体も一瞬浮き上がった...気がした。
「家だ.....」
私は今この瞬間目の前で生成された家を見上げる。
「すごいわねーー!!!」
家だ。正真正銘の家である。
三角屋根の、木でできたログハウスのような家が、目の前に立っていた。
「パパの夢のマイホームだー!」
「おおおー」
夢だったんだ。私と母はぱちぱちと拍手を送った。
後ろでゴーちゃんもパチパチ拍手している。
「よーし!模様替えするぞ!」
父は意気揚々と中に入って行った。
「ち、ちょっと待ってよー!」
思考がついていけない私は慌てて父の後をついて行った。
母もそれに続く。
扉を開けて、家の中に入ると、そこには広々とした空間が広がっていた。
まだ何も家具を置いていないので、殺風景である。
「わあ、結構広いね!」
「窓も大きくていいわね〜」
「よーし、カエデ、手伝ってくれ!」
私と父はリュックから家具を出し、『浮遊』魔法を使ってそれを部屋に置いて行った。
父が作った机や椅子、キッチン用品....
「これは?」
私は家具をリュックから出しながら、父に聞いた。
「ああ、これはだな、客室に置いてあったベッドだ!」
私たちが王国のお城で使っていた客室の、ベッドがリュックからにゅるにゅるにゅるーっと出てきた。
「えええええ」
「こっ......これ、どうしたの???」
私と母はびっくりして、父に問いかけた。
「いやあー.......。あのベッドがだな、あまりにもふかふかで、高級で、心地良かったもんだからだな.....その、ええっと.....」
父は歯切れの悪い返答をする。
「もらっちゃった☆」
てへ、と父は舌を出してそう言った。
「「ええええええええ!??」」
「だって、何でもくれるってあのメイドさんが言うから」
「だからって、人ん家のベッド貰う!?!!?」
図々しいにも程がある.....
ってか、くれる方もくれる方だな。
「それにだな、貰ったのはベッドだけじゃないぞ」
「えええ」
そうして、父は次から次へといろんなものを出して行った。
カーテン、お皿やらコップ、ソファ、バスタブ、カーペット、タンス、ハンガー、鏡、フライパン、お鍋、鍋敷き、お玉.......
.......って。
「「もらいすぎでしょ!!!」」
「やー、言ってみるもんだな!どれ指差してもくれるって言うもんだから、つい欲張ってしまったよ!」
まあいいじゃないか、と父は笑って言った。
「まあいいんだけど、いいんだけれども.......」
「はしたないわね......」
「恥ずかしいよ、私は......」
くれるからって、何でもかんでもねだるなんて.....
しかも、私達はスタンピード討伐の報酬で既にたっぷりお金を貰っているのだ。
嘆く母と私。しかし父はなんとも思っていない様子であった。
「ま、まあ、せっかく貰ったんだ、大切に使いますか」
「そうね〜。どれも良いものばかりだものね〜」
長く使えそうだわ〜と母はベッドをさすりながら言った。
こうして、部屋に家具を配置していった私達。
「「「おおおおおお」」」
そんなに広くはないけれど、王国から貰った高級家具のおかげで豪華な部屋に仕上がっている。
「いいわね〜この部屋!」
「ベッドもふかふかだし」
実は内心私も、このベッドは相当気に入っている。
これからもこのベッドで寝られるのかと思うと少し気分がいい。
「でも、この家、どうするの???」
私達はこれからお魚の国、サカナン王国へと旅立とうとしている。
こんな所に家を建てて、どうするつもりなんだろうか。
すると、父は胸を張って答えた。
「リュックに入れる!!!!!!!」
「ええええええ」
家を、リュックに、入れる.......???
「リュック、入るのかしら、家って.....」
「入らんことはないだろう」
「入らんことはないだろうけれども」
ま、まあ物は試しである。
私はリュックに家を入れるために『浮遊』を作動した。
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