崖の上には
「『浮遊』!」
目の前にそびえ立つ断崖絶壁の向こうに行くために、私たちは『浮遊』していた。
「おおー」
「ぐんぐん上がってくわよ〜!」
『浮遊』は度々使っているので、私も操作にだいぶ慣れてきた。
と、いっても、今は△ボタンを押しているだけなので慣れもへったくれもないのだけれども。
10メートル程ある崖の上まで上昇した。その時。
「グォオオオオオオオオ!!!」
と、声が聞こえた。
「なっ!?」
「あ、あれは!?」
目の前にいたのは、巨大なドラゴン。
ばっちり目が合っている。こっちを見つめている。
そ、そんなに見られたら、照れちゃうじゃないか。
「や、やばば」
「ぐるるるるる」
「どうしましょう〜」
ドラゴンは、どすーんどすーんと私達に近付いてきた。
そして立ち止まり、大きく息を吸い込む。
それに合わせて、私たちの髪の毛がばさばさと揺れた。
息を吸い込んだ、ということは。
「な、なんか、放とうとしてる!?」
「ええっ!?」
「ファイヤーブレスとかマグマブレスとかフレイムブレスとか...」
「なぜ火属性ばっかりなんだ」
そんな事をわちゃわちゃと話しているうちに、ドラゴンは胸いっぱいに息を吸い終えた。
私たちは無意識のうちにそれに対して身構えた。
バリアとか張った方がいいのかな、結界とか、シールドとか...
そんな事を考えていると。
ドラゴンはブレスではなく、鼻息をふーっと私達の方に吹きかけた。
それに合わせて再び、私たちの髪がばさばさと揺れる。
「うぐっ」
「ど、独特なにおいがする...」
「んだぁああ...」
私たちは自然にしぶーい顔になった。
ゴーちゃんも一緒にしぶーい顔である。
ゴーレムなのに、においがわかるんだろうか?
すると、ドラゴンは前足を折って、私達に頭を下げた。
『力を持つ者たちよ。私はこのダンジョンの主。私はあなた方に降伏いたします。』
「うええ!?」
しゃ、喋れるんだ。グォオオオオとか言ってたのに、喋れるんだ。
ドラゴンは私達にお辞儀をしていた。
「強いって、褒められた」
「いやあ、それほどでも!」
「褒められないよりは、褒めてくれた方が良いわよね〜」
「私たち、そんなに強いのかなあ」
『謙遜するでない。私があなた方と戦っても結果は目に見えている』
「また褒められた」
「良かったじゃない〜」
「いやあ、さすが、お目が高いな!」
褒められるとすぐ調子に乗る私たち。
「じゃあ、貴方がダンジョンボスってこと?」
『いかにも』
「えええ、すごい、偉いんだね!」
『うむ』
ドラゴンは頬をぽっと染めている、気がした。
照れるのか。ドラゴンなのに。
『これを受け取って欲しい』
すると、私たちの目の前にぽんっと何かが現れた。私はそれを手に取る。
「これは...ダンジョン攻略証明書と、イヤリング?」
金で出来たイヤリング。鱗のような物があしらわれていた。
『我が種族に伝わる装飾品だ』
「綺麗だね、ありがとう!」
私はきらきら光に輝くそのイヤリングを耳につけた。
綺麗なものを身につけると、気分が上がる。
しかし、この世界に来てから身に付ける物が多くて、身体中アクセサリーだらけになってしまいそうだ。
『差し出がましいようだが、もし嫌じゃなければ入り口まで送っていこう』
「え、いいの?」
『空を飛ぶ能力を持つお主らには必要ないかもしれんが.....』
「ううん、嬉しいよ!」
ドラゴンの背中に乗れる!
「しかし、ダンジョンの主なのにこの場所に留まっていなくていいのか?」
『なに、少しくらいなら構わんだろう』
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「うわ、うわわわ!?」
ドラゴンの背中に乗り、空を駆け抜ける私たち。
「すごい気持ちいい!!!」
『それはよかった』
ドラゴンの背中には人が乗れるような座席が付いていた。
ちゃっかりシートベルトまでついている。
これはドラゴンが自身の鱗を自由自在に動かして、作り上げたのだ。
リコのベビーカーを乗せるためのスペースもちゃんと備え付けられている。
ジェットコースターに乗っているみたいだ。気持ちいいなあ。
そうして私たちは、ダンジョンをクリアし、ドラゴンに入り口まで送ってもらって帰路についたのだった。
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