二つの石板
目を開けると、そこには二つの石板があった。
「え、また石板?」
しかしさっきの石板と決定的に違うのは、その石板がリズミカルにどすんどすんと上下に動いているということ、
右側の石板に書かれている模様が、周期的に変わるという事だった。
「これは.....何.....?」
どすんどすんと動くだけで待てど暮らせど何も起こらない。
石板の動きに合わせて上下に首を振る私たち。
どすん、どすん。
「なにもおこらないわね〜」
「どうするー?」
「ずっとこうしてるわけにもいかないしなあ」
どすーんどすーんと音が響き渡る間も、時はゆっくり流れていく...
時間は有限なのだ。
でもちょっとししおどしみたいでいいなと思ったり、思わなかったり....思わんか。
「また右の石板を左に写せばいいんじゃないのか?」
「そんな簡単な話なのかなあ」
「まあまあ、やってみましょうよ〜」
確かに、このままずっと石板を眺めているわけにもいかない。
私たちは立派な冒険者なのであって、わびさびを嗜む人ではないのだ。
「コピー!」
私は両手を構えて魔法を作動する。
「ペースト!」
左の石板に絵が現れた。
しかし、どすーんどすーんと、2回上下に動いた後、写した絵は消えてしまった。
「んなあ」
「ただうつすだけじゃだめみたいだな」
「どうすればいいのかしら〜?」
私たちは右の石板をよく観察してみる事にした。
白い背景に、赤い丸。絵柄が変わるたびに丸の数や大きさはランダムに変動していた。
2回上下に動くと絵柄がリセットされ、別の絵柄になる。
「この赤い丸って、標的?攻撃してみたら、何か起きるかも」
「でも、絵柄が切り替わる前に全部に攻撃当てられるかなあ」
「お父さんに、ひとつ案がある」
そう言って父は話し始めた。
坂上家の作戦会議である。
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「まず、カエデが絵を写す」
「うんうん」
「そして父さんが赤い印に合わせて石をいくつか『物体創造』する」
「ふむふむ」
「それでカエデが魔法かなんかでびゃーっと石を的に当てる!」
びゃー?
「どうだ!完璧な作戦だろう!」
えっへん!と胸を張る父。
「カエデがその、びゃーって言うのを出来れば、完璧かもしれないわね〜」
母はのんびりそう言った。
「びゃーってやってえーいってやるんだ!カエデ!」
父が身振り手振りで伝えてきた。
ガッテン承知だ、びゃーってやってえーいってやるぞー!
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「いくよー!」
すると、父は身構えた。
父の『物体創造』は離れた距離でも物体を出せる。一応安全のために2、30mほど離れている。
右の石板が5つの赤い的を映し出した。
その瞬間を狙って、私はコピー&ペーストする。そして父が叫んだ。
「物体創造!!!」
するとぽぽぽんっと石が石板の前に現れた。
このまま少し押せば赤い的に当たる位置である。
「ウィンド!!!」
私がそう唱えると、風が石を押し、的に当たるだろう。そうなることを期待して、魔法を放ったのだが...
私が放った風はものすごい勢いで石板を切り裂き、巨大な石板はあっという間に粉々になったのだった。
「えええ...」
ぱらぱらぱら、と粉々になった石板は地面に山を作る。
「的に当てるどころか、ぶっ壊しちゃった」
右の石板はまだ残っていて、上下にどすんどすんしていた。
心なしか少し寂しそうである。
「すごい威力だな」
「粉々になっちゃったわね〜」
「きゃっきゃっ」
私たちが呆然としていると、上から一枚の紙が降ってきた。
それはダンジョン攻略証明書であり、私たちが石板を粉々にしても一応クリアしたことになったということを記す紙なのであった。
いいんだ...結構ルール緩いんだなと思いながら、
私たちはダンジョンを後にした。
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