バズーカおばあちゃん
「ありがとねえ」
そう言っておばあちゃんが席に座った後、席に戻った私。
私はまた暇だなあと思いながら百科事典を読んでいた。
馬車が揺れるのが心地いい。
私は窓の外を見た。のどかな景色が続いている。
静かに時が過ぎていった。
異世界に来てからあちこち動き回ってばっかりだったから、たまにはこんなまったりした日もいいなあ。
そう思っていると。
後ろからなにやら声が聞こえた。
「におう...におうぞ...」
おばあちゃんは立ち上がり、前方へとゆっくり歩き出した。
何かを伺う様にキョロキョロしながら、何やら匂いを嗅いでいる。
そして先程の姿からは想像もつかない位の大声で叫び出した。
「これは...魔物の匂いだ!おい御者!!馬車を止めろ!
今すぐだ!!!!!」
御者はおばあさんの叫びを聞いて驚き、馬を止めた。
私は窓をから顔を出して外の様子を見たが、何も見当たらない。
距離が遠すぎるのか、地図上でもモンスターの表示はなかった。
馬車が止まり、私はおばあちゃんの姿を探したが、既に車内にはいなかった。
私たちは慌てて外に飛び出した。
すると、そこにはバズーカを肩に抱えるおばあちゃんの姿が。
「あたいはね!やられる前に!やっちまうのさ!」
ぶっ放すぞ!!!!」
どーーーん。
おばあちゃんは肩に担いだバズーカをぶっ放した。
目を凝らしてよく見るが標的は見えない。
「まだまだァ!!!!」
ぼーーーん。
バズーカをぶっ放すおばあちゃん。
私は咄嗟に『望遠鏡』スキルを創り出し、
バズーカの標的を見ようとした。
コウモリのようなモンスターが5-6匹くらい。
確かにモンスターはいたみたいだ。
しかしちょこまかと俊敏に動きまわっていて、この距離で弾を当てるのは至難の技である。
おばあちゃんが放った弾はみるみるうちにコウモリに近付き、そして見事に当たった。
「すごい...あんな動き回る敵に当てるなんて」
「まだまだァ!!!!」
どんどんとバズーカを放つおばあちゃん。
「私をなめんじゃないよ!!!」
どかーん。どーん。ばちこーん。
色々な音が飛び交い、おばあちゃんの怒声も響き渡り、
気付けばモンスターはいなくなっていた。
「おおお.....」
「強いな、おばあちゃん...」
私たちがたった今起きたことに呆然としていると、
おばあちゃんは再び腰を曲げ、ゆらゆらと歩き始めた。
「やれやれ、老体にはこたえるねえ」
「だ、大丈夫?おばあちゃん」
さっきまでの威勢が嘘みたいに、おばあちゃんの動きは遅くなっていた。
私はおばあちゃんに近付いて、馬車に乗り込むのをサポートした。
そうして、見事に遥か遠くの敵を倒したおばあちゃんと私たちを乗せて、再び馬車は走り出した。
目指すはフルーチカ王国。果物の国である。
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