結婚記念日
ハジマリノ村周囲のダンジョンをクリアした坂上家の四人。
環境にも慣れ、愛着も湧いてきたこの村から、立ち去る日を迎えていた。
「カエデ!ママ!起きてくれ!」
ちゅんちゅん鳥が鳴く早朝。
父が私と母を揺すりだした。
「う、うーん...」
「どうしたのパパ、こんな早くから〜」
目がしょぼしょぼする。
昨日もぐっすり眠ったはずなのだが、寝ても寝ても私の体は睡眠を欲するのだ。
「見せたい物があるんだ!」
見せたい、もの...?
まだ肌寒い気温の中、父は私たちを外に連れ出した。
もちろん、リコも一緒だ。
父が私たちを連れ出した、その先にあったのは、
色とりどりの花が咲き誇るお花畑だった。
朝日が美しく差し込み、空気が清々しい。
しかし、目の前の巨大な物体が、景色に感動するのを妨げていた。
「こ、これは...」
見上げるほどのどでかい物体。
上から白い布が被せてあり、全容は見れないようになっていた。
「ママ」
父はいつになくかしこまって言った。
「この世界に来てちょうど一週間。
と、いうことはだ」
「と、いうことは.....?」
「今日は結婚記念日だ!!!!!」
「まあ、覚えててくれたの〜(にこにこ)」
そ、そうだったんだ?
父は巨大な物体に被さっていた布を勢いよく引っ張った。
「ママ、これを受け取ってくれ!!!」
そこにあったのは、ミミックを倒した時に手に入れた、巨大な真珠だった。
よく見ると銀の装飾が施してある。
父が加工したのだろうか。
「パパ、これは...?」
「これはな。指輪だ!!!!!」
ゆびわ!?!!?!!?!?
こんなデカい大きさの指輪など見たことがない。
「ほら、ここに指をはめれるんだ」
父がドヤ顔で見せてくる。
確かによく見ると、そのどでかい真珠にはお飾り程度の指輪取り付けられていた。
なんだろう、この取って付けた感.....。
「まあ、ステキ!こんなに素敵なものもらったのこれがはじめてね〜パパ〜」
母は指輪に指をはめて喜んでいた。
よ、喜ぶんだ...
「とてもよく似合ってるよ、ママ」
似合う、の定義ってなんだっけ.....
っていうかミミック倒したの私なんですけど!
ばかでかい真珠の指輪にきゃっきゃしている両親。
蚊帳の外なリコと私。
まあ、まあ幸せそうで何よりである。
「カエデ、リコ、ママ、これからもよろしくな!」
「うん!めいっぱい楽しもうね!
「楽しみましょう!」
「んだあー!」
すると。
「おーいあんたらー」
「あ!ダンジョンで倒れてたおじさん!、
酒場のお姉さん!」
そしてダンジョンの情報を与えてくれたおじさんでもある。
「どうしてここに?」
おじさんはお姉さんの事を指さした。
「もう、この村を出るんだろ?」
「その予定だよ」
私は親指をグッとたてた。
「元気でな」
「うん!ありがとう!」
「またいつでも泊まりに来な」
「宿にご飯食べにいくよ!
「「「おせわになりましたー!!!」」」
陽は登り、また沈んでいく。
繰り返しの日々の中でも、少しずつ成長していきたいなと私は思っていた。
全ては美味しいものを食べ、ふかふかのベッドで寝る為に.....
カエデ達の冒険は続いていく!
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