大事なお話
「僕は別に、説教がしたくてここに呼んだ訳じゃないんだ」
怒られる、と思ってしゅんとしている私に、神様は優しくそう言った。
「予想以上に君の魔力が強くてね。ダンジョンの壁が君の魔法に耐えきれなかった」
確かに、私の放ったファイヤーボールは地面に向かってなんの抵抗もなく進んでいった。
「君の魔法に巻き込まれた人間がいなかったのは幸運だったね」
その言葉に私はハッとした。もし私が放った魔法の進路に他の人間がいたら...?
私は何も考えずに、ただ自分の身を守ろうとして魔法を使ってしまった。
「ごめんなさい...」
私はうなだれてそう言った。
「うんうん、わかればいいんだよ」
神様はにこっと私に笑いかけている。
「今回に限り、ダンジョンのショートカットを許そう。ただし、次はだめだからね?」
「はっ、はい!」
ぴしっと姿勢を正して返事をする私。
「本題に移ろう」
静かに微笑んでいた神様は、真剣な顔つきへと変わり、私に向かって言葉を紡ぎ始めた。
「僕が君を選んで、この世界に転移させた。だから一度挨拶しておきたかった」
神様が...?
どうして?なぜ私が?
「これから沢山の困難が君たち家族を待ち受けているだろう。それに充分立ち向かえるだけの力は与えたつもりだ。だが、どうなるかは僕にもわからない」
「申し訳ないが、僕が現実世界に加担できることは少ないんだ。僕が君と話せる時間も限られている」
私は、自分の身体の周りが青色に発光し始めていることに気付いた。
私は、この空間にいられる時間が残り少ないことを悟った。
「待って!まだ聞きたいことが...!」
「今回は、これで終わり。また僕に会いたかったら、ダンジョンをいくつか攻略しておいで」
だんだんと光が強くなっていく。私は慌てて言葉を発した。
「どうして私だったの?どうして神様は転移させたの?」
神様は無言で微笑み、人差し指を私の方に向けながらそっと空中を撫でた。
すると、神様の指先から一筋の光が生じ、私のパジャマの胸ポケットに入っていった。
「またおいで」
青色の光は輝きを増し、神様の姿はだんだん見えなくなっていった。
こうして、私たち一家のはじめてのダンジョン攻略は、数々の謎を残したまま終わりを迎えたのだった。
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