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48 魔法学院

 

  この宿には各部屋にお風呂が付いている。

  俺は扉をあけて脱衣所として作ってあるであろう場所で服を脱ぎお風呂への扉を開く。


  「おぉ」


  思わず声が漏れてしまった。

  扉を開けた先には一面木で作られたお風呂があった。

  浴槽は三人くらいが同時に浸かれそうなほど広い。

  シャワーも木で作られていて、取り外しはできないみたいだが角度は変えられるみたいだ。


  「これ、どっからお湯ためればいいんだ?」


  浴槽のふちにお湯が出てくるであろう木の箱があるのだがどうすれば良いのだろう?

  木の箱に触れてみるが変化なし。そのまま木の箱をペタペタしていると裏に宝石のようなものがはめ込まれている。


  「これに魔力を流せばいいのか」


  幾らかの魔力を流すと箱からお湯が溢れてくる。

  さて、ためながら身体を洗うとしよう。


  こちらのシャワーも魔力でお湯が出るタイプらしい。


  身体を洗い終わり、湯船に浸かる。

  まだ俺の腰程までしか溜まっていないが気長に待つとしよう。


  「ふぁ……眠いな」


  浴槽のふちに頭を置き少し仮眠をとることにした。



  ◆




  「……ん、あぁ」


  どれくらい寝ただろうか、目を開けるとしっかりと浴槽にあふれんばかりのお湯が溜まっていた。

  お湯はもう止まっているらしい。


  あぁ、あったかいなぁ。

  癒される。


  そのまま体感時間で癒されること三時間。

  そろそろあがろうと湯船からでる。


  「もう、外でないしパジャマでいっか」


  旅の準備の時に買い直した普通のパジャマに着替える。

  薄手のピンクのシャツに、半ズボンよりも短いズボン。

  色がピンクなのは断じて俺が選んだわけじゃない。ユリシアが勝手に選んだだけであって断じて俺が選んだわけでわない。



  「ステラ、開けてー」


  着替えてからベットに転がろうとしたら扉の向こう側から声がした。


  近くにあったテーブルを見ればこの部屋の鍵が置いてある。

 

  ユリシアが出たあと中から鍵閉めたから入れないのか。


  「ちょっと待って、今開ける」


  扉を開け、ユリシアを中に入れる。

  手には何枚かの紙が握られていた。


  「どこ行ってたの?」

 

  「手続きよ、手続き」


  そう言って疲れたとばかりにベットにダイブするユリシア。

 

  「手続き?」


  「今って3月じゃない? 王都で3月といえば?」


  え? 今って3月なんだ。

  あぁ、この世界に来てから別に何月とか何日とかどうでもよかったしな。

  一年って何日なんだろ?


  「ねぇ、一年って何日だったっけ?」


  「え? 何? 急にどうしたの? 一年は360日でしょ」


  「じゃあ、一年は何ヶ月?」


  「12ヶ月よ。本当にどうしたの?」


  この世界の一年は十二ヶ月、360日か。


  「いや、何でもない。それで、王都の3月ってなんかあるの?」


  「入学試験よ!」


  ベットから起き上がり、ニヤニヤした顔で言ってくる。


  「まさか……」


  嫌な予感が頭によぎる。

  まさか、さっき手に持ってた書類って……


  「察しがいいわね。そう、そのまさかよ!

  入学試験の手続きしてきました!」


  なんで!?


  「俺学校なんて行く気ないんだけど?」


  「今日手続きしてきた学校は、十二歳から入学する学校で魔術専門のデリウス王国魔法学院だから、多少は魔法について学べると思うから大丈夫!」


  何が大丈夫なの!?


  「その学校に通ってなにか得られるものがあればいいけど……自分で言うのも何だけど結構魔法使えると思うんだけど? 魔法学院なんて通う必要ないでだろ?

  それに、俺十二歳じゃないんだけど」


  「確かにそうだけど……あ! 魔術学院には古代遺跡とかの資料がたくさん保管、研究されてるから何か新しい発見があるかもしれないわよ!」


  む、古代遺跡か……ちょっと興味あるな。

  言葉的になんかかっこいいし、確かにそこでしか見つけられないものもあるかもしれない。

  いや、でも俺には地球に帰る方法を探すという目的が……


  「魔法学院って何年間通うの?」


  「三年間よ」


  三年間か。結構長いな、最悪途中で退学してもいいわけだし行ってみてもいい、かな?

  うーん。まぁ、そんなに焦る必要もないしもしかしたら古代遺跡から地球に帰る方法についてわかる可能性もゼロじゃないわけだし、行ってみるか。

  地球に帰る方法を探すのは気長に行くとするか。


  「古代遺跡はちょっと興味あるし行ってみようかな」


  「ほ、本当!? じゃあ、入学試験は3日後だから」


  急だな、おい。

  割とあっさりオーケーしたのが予想外だったのか驚きながら目を輝かせている。

  そんなに嬉しいだろうか?


  「あ! さっきも言ったけど俺十二歳じゃないけどいいのかよ?」


  「その辺はこっちでなんとかしといたから。それに外見は全然十二歳でとおるから」


  あ、そうなの。


  「はい、これ受験番号」


  手渡された紙には俺の名前と、四桁の番号が書かれていた。


  「6692番……これって今回の受験人数だけでこんなにいるわけじゃないよね?」


  「いや、今回だけの数だけど?」


  3月の王都と言えばっていってたくらい有名だからまさかと思ったけど受験しすぎだろ。

  よくよく思い出してみると歩いている途中、俺と同じくらいの女の子や男の子が確かにいっぱい居たな。


  「そりゃ、確かに有名そうだな」


  「あ、そうそう。魔法学院ではその口調直しなさいよ?」


  「なんで?」


  「なんでって言われても困るけど。これからもずっとその喋り方でいくつもり?」


  正直、口調まで女の子にしてしまったら戻れなくなってしまうような気がするんだが。

  まぁ、直すことによってデメリットがあるわけでもないしなぁ。


  「まぁ、一人称を私にするくらいなら別にいいけど」


  「その方がいいと思うわ。可愛いし!」


  なんか良いようにされているような気がしないでもないが心がけて直すとしよう。


  「あーはいはい」

 

  ん? ユリシアの手にもう一枚俺と同じ紙?

  俺の目がユリシアの持っていたもう一枚の紙にとまる。


  「ねぇ、ユリシア。なにそれ?」


  「あぁ、これは私の受験番号よ?」


  「え?」


 

 

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