47 王都到着
馬車を走らせること11日俺たちは無事にデリウス王国の王都に着くことができた。
道中、ゴブリンが襲ってきたりオークに出くわしたりしたが適当に魔法を撃って撃退した。オークは見た目どうり地球で言うところの豚肉らしく美味しくいただいた。
王都に入る門の前に行列ができており、並ばないと入れないみたいなので仕方なく並ぶことにした。
馬車の中から覗いてみたが、進み具合と人数的に2.3時間といったところか。
俺たちの並んでいる門の隣には全く列の出来ていない大きな門がある。
さっき、明らかに金持ちそうな馬車が入っていたので恐らく貴族専用とかだろうけど効率考えてそっちも使わせてくれよ。
そして、馬車の中で待つ事二時間と少し。
やっと俺たちの番が来て馬車から降りる。
「身分を証明できるものはありますか?」
「はい、これでいい?」
俺は冒険者カードを門番に渡す。
「はい、問題ありません。そちらの方は?」
後ろを振り返ると、ユリシアが上からフードのついた服を着て俯いている。
門番に背を向けているので怪しさ全開である。
「あの〜」
「冒険者カードは無くしてしまって」
門番になぜか裏声で返答する。
てか、無くしたの!?
「えーと、後ろの方は同じ冒険者仲間ということでよろしいですか?」
「はい、そうです」
「……そうですか。それなら通って大丈夫です」
少し考えたのち笑顔で門を通してくれた。
その後も馬にまたがっているユリシアはフードをこれでもかと深く被り俯いていた。
そのまま、ユリシアは馬車置き場に向かい馬車を預けてきた。
当分はここに滞在する予定らしいので長期契約だ。
「ユリシア、なんでフード被ってそんなに人目を気にしてるの?」
馬車を預け、宿を探して歩いているのだがその道中でも何故か人目を気にしている。
「私、SSランク冒険者で有名人だからあんまり騒がれたくないのよ。
周りから注目されるのって疲れるでしょ?」
あぁ、そうゆう事なのか。
「そんなに顔、知られてるもんなんだね」
「そうよ」
数十分歩いたところでユリシアが立ち止まる。
「着いたわよ。ここの宿お風呂もあるし、部屋も大きいし私のオススメよ。
あ、私喋らないから契約よろしく」
そこまでしてバレたくないのか……ん? もしかして王都滞在中ずっとこのまま?
扉を開けて中に入る。
外から見てもでかかったが、中も相当にでかいらしい。
しかも、俺が前泊まった宿みたいに一階が食堂になっておらずホテルみたいになっていた。
明らかに高級宿だ。フロントを見ると宿のおばさんではなく10代後半から20代前半くらいのお姉さんが二人並んでいた。
「二人で宿泊いいですか?」
「はい、大丈夫です。何泊のご予定ですか?」
何泊、泊まるのか聞いてなかったな。
俺の背後に身を潜めているユリシアを肘でつつく。
身長が俺の方が低いので腰を低くしている。側から見たら本物の不審者である。
「とりあえず、一ヶ月で」
またもや裏声を使って話すユリシア。
ここが私のオススメとか言っていたので知り合いなのかもしれない。
「い、一ヶ月ですね。ベットはツインとダブルがございますがどちらになさいますか?」
「ツイーー」
「ダブルで!」
俺の言葉に重ねてユリシアが言う。
「え、えーと、ダブルでよろしいです、か?」
ユリシアの言い方が妙に気合が入っていたので少し引いている様子であるお姉さん。
「いや、ツインの方がーー」
「ダブルで!」
俺の背後が気合のこもった声が聞こえてくる。
「……どうなさいます?」
「はい、ダブルでいいです」
「ではお二人様で一ヶ月分ですのでミスリル金貨3枚と白金貨6枚です」
「これでお願いします」
俺の背後から手を伸ばしたユリシアが4枚のコインを払う。
「おつりの白金貨4枚です」
おつりで白金貨4枚ってことはさっきのはミスリル金貨か!? 初めて見た。
てことは、一ヶ月で三千六百万円かよ。高っ。
「お部屋は三階です。食事は部屋にフロントにつながる魔道具がございますので言っていただければお持ちします。 ですが、朝食は5時から11時までの間に、昼食は11時から16時までの間に、夕食は17時から24時までの間にお願いします」
「分かりました」
鍵を受け取って階段を上がる。
「三階の324号室……あった」
見つけて部屋に入る。
相当大きい部屋だ。
「はぁ……やっと着いたわね」
ユリシアが部屋に入るとフードをとって疲れたとばかりに近くにあった椅子に座り込む。
そんなに疲れるならいっそ、堂々としてろよ。
「これで、今日の予定は終了だな」
俺も長旅で疲れたので、椅子に座る。
椅子もふかふかで俺がもたれると少しリクライニングした。流石高いだけあるな。
「私はまだやる事あるからステラは好きにくつろいでて」
「え? 何処か行くの?」
椅子から立ち上がりもう一度フードを被りこんでいる。
「ちょっと用事があるの」
「あぁ、そう」
「行ってくるわね」
「いってらっしゃいー」
椅子にもたれかかったままユリシアを送り出す。
この時俺は、ユリシアが妙にニヤニヤしていることに気づいていたが疲れていたか特に何も追求する事なく送り出してしまった。
まさかあんなものを持って帰ってくるなんて……
疲れたから今日は寝たいけど、まだ昼だしなぁ。
「あ、久しぶりだしお風呂入ろ」
俺はそう思い、風呂に直行した。




