↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/63

29 討伐完了

  凍っているのはどうやら表面だけではないらしい。

  俺のひざ下まで積もっている雪を下から上まで全て凍らせている。

  べつに当たらなければ問題ないのだが、足元が凍っているとそこを避けて歩かないといけないので面倒だ。


  俺は剣を片手に身体強化を発動しながら距離を詰め、出来るだけ傷つけないように首に向かって剣を振り下ろす。

  だが、剣が振り下ろされるより早くホワイトウルフが体をひねりながら転がって回避する。


  空振ったところを狙っていたかのようにもう一匹が斬撃を放ち、大きな口を開きながら飛びかかってくる。


  斬撃を受けると凍ってしまうので、少し後ろに下がって回避し俺を噛みちぎろうと口を開けて迫るホワイトウルフに向かって大きな横振りの剣をお見舞いする。

  さっきまでは値段が落ちそうだから首を狙う予定だったが意外にもすばしっこいので首を落とすのに時間がかかりそうだからやめることにした。

  何十分もかけて魔物を狩るつもりはない。



  俺の剣がホワイトウルフに迫る。

  このまま口が上下にお別れしてもらう予定だったが、剣が口元に来た瞬間に剣に噛み付いてきた。

  間一髪のところで剣を止めてくる。

  俺は剣を引き寄せて腹に全力で蹴りを叩き込む。身体強化された蹴りの威力は凄まじく、噛みついていた剣から強制的に離されそのまま地面と平行に飛んでいく。

  木に身体をぶつけてゆっくりと落ちてくる。地面に体が落ちてからも少し動こうとしているが体を起こすことができないみたいだ。


  とどめを刺そうと近づいていくと、俺の背後から斬撃が放たれる。


  「仲間思いなことだなぁ」


  そんな感想を抱きながら斜め上に飛び上がり回避する。

  その後もどんどん残り一匹のホワイトウルフは斬撃を放っていく。


  「ん?なにやってんだ?」


  斬撃を放つのはいいが、途中から俺を狙っているというよりは他の何かを狙っているような……

  辺りを見回す。

  すると、ところどころ間隔をあけて木が切断されている。

  何メートルという高さで切断され、その上にジャンプをして飛び乗るウルフ。

  切断された木と木の間はそれほど広くなく飛び移ろうと思えば飛び移れるだろう。つまり、俺を高い場所から攻撃したいらしい。


  「うっわ……」


  ホワイトウルフは早速斬撃を放ってくる。いちいち回避するので追おうにも、追いつくことができず完全に一方的に攻撃を食らっている。


  「雷矢!」


  追いつかないので、後ろから魔法で攻撃してみるが木の上を飛び回る的にあたるわけもなくあらぬ方向へ飛んでいく。

  追跡でもしてくれたら良いんだがそんな便利機能は付いて居ない。


  「クソッ」


  なんかうざい。

  俺が後ろから追いかけると、何度も後ろを向いて俺の方を見てくるのがドヤ顔のような感じがする。

  オオカミの表情なんて分からないけどなんかそんな感じがするのだ。

  うぜぇ。


  というわけで、俺は魔法を放った。


  「千雷」


  この魔法は今までの魔法と違って一本や二本の雷が飛ぶんじゃない。

  その名のとおり千の雷が飛ぶのである。

  一つ一つのサイズは今までと比べたらものすごく小さくなっている。威力で言えば数十倍は違うだろう。

  だが、今回は当たればいいわけだ。それさえできれば動きが多少鈍ったりするだろう。


  無数にも思えるほど空中に広がった雷矢 極細が一斉にホワイトウルフに向かって発射される。

  徐々に場所をずらして、追い詰めて行く。


  ものすごい数の穴を木に開けながら迫る。

  そして、ついにホワイトウルフに一発が直撃。体を貫通することはないが途中までは刺さったようで一瞬だけ動きが鈍る。

  すぐに次の木へ飛び移ろうとするがもう遅い。

  ホワイトウルフはなすすべなく体中に雷矢 極細が刺さり絶命した。

 

  「ふぅ〜、終わったぁ」


  絶命したホワイトウルフをアイテムボックスにしまう。先程蹴り飛ばした方も収納しておいた。


  「ルシアー終わったよー」


  「お姉ちゃん、すごかったよ! 最期のあれ何!?」


  ルシアが興奮気味に言ってくる。

  相当興味がおありらしい。


  「ルシアも魔法覚えたらできるんじゃないか?」


  「本当に!? 」

 

  「う、うん、多分」


  驚いた顔からすぐに満面の笑みへと変わる。この喜んでいる姿を見るだけでも俺的に嬉しいのだが、ルシアが似たような魔法を放てるかどうかなんて分からないし、適当に言っただけなのにここまで喜ばれるとは……心が痛い。





  五時間後



  「あ! ちゃんと戻ってこられたんですね。良かったぁ」


  俺たちがダンジョンから出て受付に帰還の報告をするとお姉さんにそう言われた。


  「死ぬことなんて無いですからね」


  「自信の持ちすぎは危険よ」


  「自信を持ってるんじゃないですよ。実力を持ってるんですよ」


  「それを自信の持ちすぎって言うのよ!」


  俺たちが帰ってくるまで心配してくれていたらしいお姉さんだが少々心配しすぎではないだろうか。

  たしかに俺たちが小さくて弱そうなのかもしれないが、冒険者になる試験も受けているし覚悟もあってやっているのだ。

  まぁ、死ぬ覚悟はないけど。


  「はいはい、分かりました」


  「何もわかってないでしょう!……はぁ、今日のところはもういいわ」


  お姉さんが疲れたような表情で、大きなため息を吐いた。


  「で、どんな魔物を狩って来たの? ここで買取ができるけど」


  「え? ここでできるの?」


  「うん、ダンジョンから帰ってきて疲れているのにまたギルドは向かわせるのも可哀想なのでって事で、サービスでここで買取をしてるの。

  まぁ、限度はあるけど」


  なんと! それはありがたい。

  正直これからギルドに行って、買い取ってもらうの疲れるんだよね。


  「じゃあ、これをお願いします。ホワイトウルフです」


  一応最初に魔物の名前を伝えておく。急にアイテムボックスから出して、驚かれても困るので。


  アイテムボックスから出てきたホワイトウルフは全部で30体。

  あの後何匹か狩るに連れて、身体強化も徐々に力を使いこなせて来て上手に狩れるようになったのだ。それでもまだ、本当に全力で身体強化を使うことはできない。

  全力を十割とすると八割ぐらいが今の状態だ。

 

  「うそ……もう5階層に降りたの? ていうかこの量何?」


  唖然としているようだった。

 

  「はい、降りましたけど。何と言われても」


  「普通はね、多くても5匹か6匹。しかも四人や五人のパーティーで。それなのにこの量って」


  「たまたま群れがいたので、そこに魔法を放っただけです」


  ちょっと無理矢理感があるが言い訳をしておく。


  「分かった。そういうことにしときましょう」


  お、わかってくれたみたいだ。


  そして、俺たちは15枚の金貨を受け取り宿に戻る。泊まれるかどうか心配だったが、金が稼げてよかった。

  ホワイトウルフはこのダンジョンでも相当高価な魔物らしく高い値段で買い取ってもらえるのだとか。

  たがら、今日の買取は高かったらしい。

 

  明日からもダンジョンに潜ろう、と心に決めて眠りにつくのだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。