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23 ダンジョンの話

  あぁ、回復ポーションか。確か前、ルシア達を助けた時に買ったやつだったな。

  あれは、上級ポーションだったっけ。


  俺は、回復魔法は使えないし数本くらいアイテムボックスに突っ込んでおいても良いかもしれないな。


  「それぞれどれくらいの傷まで治せるんだ? 一回しか使ったことがないから分からないんだ」


  「そうか、なら教えてやる。

  まず下級ポーションだが、切り傷が治せる。

  中級ポーションは、肉体の怪我なら大抵は治せるな。流石に腕が斬られたとかは無理だけどな。

  上級ポーションは、骨や肉体の怪我を治す。どんな

 にバキバキに折れてても大丈夫だ。

  最後に最上級ポーションだ。これはあらゆる怪我を治すことができる。例え瀕死の重傷でも、生きてさえいれば大丈夫だ。腕を斬られても、斬られた方があればくっつけてられるしな」


  そりゃすごいな。


  「でも、腕が再生したりはしないのか?」


  「あー、再生か。無くはないんだが、うちには置いてないな。もっとでかい街に行けばあるんだろうが。

  王都の冒険者ギルドなら一、二本は超級ポーションを置いてあるはずだ。ポーションの中では一番いいやつだな」


  超級ポーションかぁ。あって困ることはないな。王都に行く機会があれば買っとくか。手の届く値段であれば。


  「そうなんだぁ。無いなら仕方ないし、下級ポーション5個、中級ポーション3個、上級ポーション1個買うよ。

  いくら?」


  「えーと、下級が一個銀貨3枚、中級が一個大銀貨3枚と銀貨8枚、上級が金貨2枚と大銀貨6枚だ」


  アドルフが指を折って数える。

  そんなにするのか。やばいな、これを払ったらあと大銀貨1枚と銀貨1枚しか残らないぞ。


  ん? 前買った時は上級ポーションそんなに高くなかったような気がするんだが。


  「なぁ、アドルフ。上級ポーションっていくらで仕入れてるの?」


  「なんだ、値切りか? 今持ってないなら俺の権限でツケにしてやっても良いんだぜ?」


  アドルフが何やら金が足りなかったと勘違いしたらしくニヤニヤしながら言ってくる。うざい。


  「ちげーよ。単純に知りたかっただけだ」


  そう言って、代金をカウンターの上に叩きつけておく。

 

  「なんだ、払えなかったわけじゃないのか。

  えーとな、仕入れ価格は確か金貨1枚と大銀貨6枚だったな」


  前にポーションを買った店では、確か大銀貨7枚と銀貨3枚だったはずだ。

  これで少なくとも仕入れ価格よりも安く売ってくれたことになる。もしかして、口では一言余計なやつだったが、いい奴だったのかもしれない。


  「それがどうしたんだ?」


  「いや、前に上級ポーションを買った時はもっと安かったんだ」


  「安いってどのくらい安かったんだ?」


  「大銀貨7枚と銀貨3枚で売ってもらえたよ」


  俺の言葉を聞いて何かを考え始めたアドルフ。

  何か心当たりでもあるのだろうか。


  「確かその値段は上級ポーションそのものの値段だな」


  「え? どう言うこと?」


  「そのままの意味だ。さっきの仕入れ価格はここまで運んできてもらっている値段も含んでいる。だから高くなっているが、ポーション自体はそれくらいの値段だったはずだ」


  てことは、あの店は大赤字なのにあの値段で売ってくれたのか。

  今度、お礼でもしに行った方がいいかな?


  「それにしても、そんな価格で売ってくれる店なんて何処にあったんだ?

  今もその値段で売ってるなら俺が買い占めたいくらいだ」


  「あぁ、うん。昔行った店でね」


  適当に愛想笑いをしておいた。

  多分あれは特別価格だろうし、アドルフが店に押しかけたら迷惑だろう。


  「そんなことより、ウサギの依頼達成確認よろしく。

  片方はテイマーウサギとか言うウサギだけどウサギはウサギだから大丈夫だよね……?」


  俺がアイテムボックスから出したウサギをジロジロと見つめる。

  ちなみにカウンターの上に出しているが、血抜きはしてきたのでそこまで汚れることはないと思う。


  「テイマーウサギか。よくこんな珍しい魔物と出会えたな。

  本当に人気の無い山奥でぐらいしか生息していないはずなのに下まで降りてくるなんてな」


  「で、そのウサギでも依頼は良いのか?」


  「あぁ、問題ない。たがな、テイマーウサギはただのウサギより上質な肉が取れるから恐らく依頼人も文句を言われることはないが、中には同じ種類の魔物、動物でもダメなやつはたくさんあるんだ。

  だから、これからは依頼と同じものを狩ってくるようにしてくれ」


  「分かった。これから気をつけるよ」


  ついでにゴブリンの討伐が分かるように冒険者カードを出しておいた。

  アドルフは俺とルシアの冒険者カードをもって「少しまっててくれ」と言って奥に消えて行く。

  依頼達成の確認と報酬を取りに行ったのだろう。


  「ねぇ、お姉ちゃん。ユーゼルのダンジョンに行くのはいつなの?」


  「そうだなぁ、行けるなら明日にでも出発出来たら良いんだけどな。

  レックスの誕生日まであまり時間もないんでしょ」


  それに、ダンジョンに入ってからどれくらいで金を稼げるのか。

  ダンジョンを進むのにどれくらいの日数がかかるのか。分からないことも多いし、出来れば余裕を持ってユーゼルに着きたいしな。

 

  「うん!はやくレックスお兄ちゃんに渡せると良いな。聖魔法のスクロール」


  「そうだね、はやく渡せると良いね」


  それに、レックスに聖魔法を習得してもらって、ルシアが一人で冒険者として活動できるようになったら孤児院も支えられるだろうし、俺も旅でもするかな。

 

  その後、アドルフが帰ってくるとウサギの依頼報酬銀貨8枚とゴブリンと討伐報酬で、銀貨5枚。合わせて大銀貨1枚と銀貨3枚。日本円にして一万三千円の稼ぎだな。

  少なっ。


  「それにしても、ルシアはもうゴブリンを狩れるのかぁ。いくら、ステラが見守っていると言ってもこれはすごいな。

  まだ、今日登録したばかりなのに」


  そう、今日狩ったゴブリン25匹のうち2匹はルシアが狩ったものである。

  身体強化で、強化されていても初めてでこれはすごいと思う。チートでもないのに。


  「すごいでしょ!」


  褒められたことが嬉しかったのか、胸を張って答える。

  悲しいことにまだ胸と言えるものはないが。


  それから少し雑談をしたあと、ギルドを出て孤児院に帰った。

  今日も大浴場に行きたいところだが、お金がピンチなので我慢することになった。

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