ポストに潜む“赤い真実”
前回の事件で「リコピンはトマトだけじゃない」という衝撃の真実に目覚めた自称名探偵・赤井リコ太郎。しかし、彼の思い込み体質は健在だった。
◇赤い箱の謎
ある日の午後。リコ太郎は町を歩いていて、ふと立ち止まった。
目の前には、郵便ポスト。真っ赤なボディが太陽に照らされて輝いている。
「……赤い。 赤いということは……」
彼の脳内で、またしても“名推理”が動き出した。
「リコピンが含まれている可能性がある」
通りすがりの人がポストに手紙を投函すると、リコ太郎は慌てて止めに入った。
「待ちなさい! そのポストはリコピンを含んでいるかもしれない!」
通行人は困惑した。
「え、ポストって金属ですよね……?」
「金属でも赤ければリコピンが宿る可能性はゼロではない。私は名探偵だ。色でわかる」
根拠は色だけだった。
◇スイカ沢さん、再び巻き込まれる
そこへ、またしても健康マニアのスイカ沢さんが通りがかった。
「リコ太郎さん、また変なことしてますね」
「スイカ沢さん、あなたはリコピンの専門家。このポストにリコピンが含まれている可能性は?」
「ゼロです」
即答だった。
「リコピンは植物の色素ですよ。金属には入りません」
リコ太郎はショックを受けた。
「な、なんだと……!? ではこの赤は……?」
「ただの塗料です」
「……宇宙の真理が……またひとつ崩れた……」
◇栄養寺さんの補足説明
そこへ、スーパーの栄養士店員・栄養寺さんも登場。
「リコ太郎さん、赤いもの全部にリコピンがあるわけじゃありませんよ。リコピンは植物が光合成の過程で作る色素です」
「光合成……え……ポストは光合成をしない……?」
「しません」
「……なるほど……?」
リコ太郎は深くうなずいた。理解したのかどうかは怪しいが。
◇名探偵、また新たな真理を得る
その夜、リコ太郎はまた机に向かい、メモを取っていた。
・赤い=リコピンとは限らない
・リコピンは植物の色素
・ポストは植物ではない(重要)
そして、彼は静かにこうつぶやいた。
「……真実はいつも赤いとは限らない」
翌日から、リコ太郎は町の人々にこう言って回るようになった。
「赤いものすべてにリコピンがあるわけではない。これは宇宙の真理である」
やはり思想は強いままだった。




