ウメボシに宿る“赤い真実”
前回、ポストにリコピンが含まれていると推理して撃沈した自称名探偵・赤井リコ太郎。 しかし、彼の探究心は衰えない。むしろ、間違いを重ねるほど燃え上がるタイプだった。
◇赤い弁当の衝撃
ある日の昼下がり。リコ太郎は公園で弁当を広げていた。
その弁当の中央には、ひときわ赤く輝く存在があった。
ウメボシ。
リコ太郎は箸を止め、じっと見つめた。
「……赤い。しかも植物。これは……」
彼の脳内で“名推理”が爆発した。
「リコピンが含まれているに違いない! ウメボシは“赤い植物の加工品”……つまりリコピンの宝庫だ!」
完全に自信満々だった。
◇スイカ沢さん、また巻き込まれる
そこへ、またしてもスイカ沢さんが通りかかった。
「リコ太郎さん、今日は弁当ですか?」
「スイカ沢さん、見てください。このウメボシ……赤い。植物。つまりリコピンが含まれている。これは宇宙の真理です」
スイカ沢さんは一瞬だけ考えた。
「……いや、ウメボシの赤は色素のアントシアニンですよ。リコピンじゃないです」
リコ太郎は固まった。
「な、なんだと……!? 赤いのに……植物なのに……?」
「赤い=リコピン、ではないんです」
「……また宇宙の真理が……崩れた……」
◇栄養寺さんの科学講義(強制)
そこへ、またしても栄養寺さんが登場。
「リコ太郎さん、ウメボシの赤は“シソ”の色素ですよ。シソのアントシアニンが梅に移って赤くなるんです」
「アント……シア……?」
「リコピンとは別物です。リコピンはトマトやスイカの赤い色素。アントシアニンは紫キャベツやブルーベリーの色素です」
リコ太郎は震えた。
「色素にも……種類が……?」
「あります」
「……なるほど……?」
理解したかどうかは怪しいが、メモは取っていた。
◇名探偵、またひとつ賢くなる(気がする)
その夜、リコ太郎はまた机に向かい、メモを取った。
・ 赤い=リコピンではない
・ウメボシの赤はアントシアニン
・ 色素にはいろいろ種類がある(重要)
そして、彼は静かにこうつぶやいた。
「……真実は赤いだけでは測れない」
成長はしている。
翌日から、リコ太郎は町の人々にこう言って回るようになった。
「ウメボシは赤いがリコピンではない。これは宇宙の真理である」
やはり思想は強いままだった。




