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208話 ラグビー勝負-1

「いいぜ。だったら勝負してやるよ」


「勝負?」


「アタイを勧誘したいなら、まずアタイを止めてみろってことさ」


 そう言うと、チハルは足元に転がっていた楕円球を拾い上げた。

 泥と芝の匂いを含んだボールが、彼女の手の中でやけに似合って見える。

 チハルはそれを肩に担ぎ、顎をしゃくってグラウンドの向こう側を示した。


「アタイがボールを持って、あっちのラインまで走る。あんたはそれを止める。ちゃんと組んでいい。押していい。タックルもありだ。ただし、首と頭は狙うな。投げ技もなし」


「本気でやる気か?」


「当たり前だ。アタイをサードにしたいんだろ? だったら、アタイがどれくらい前に出られる女か、体で確かめろよ」


 その言い方に、龍之介はわずかに目を細めた。

 危険はある。

 だが、チハルの迫力を見る限り、半端な勝負では彼女の心は動かない。

 それに、サードに必要なのは前へ出る勇気だ。


「分かった」


「へえ。逃げねぇんだな」


「サードを探してるんだ。こっちが逃げてどうする」


 その言葉に、チハルの目が少しだけ変わった。

 思っていたよりもまっすぐな言葉。

 茶化し半分だった光の奥に、まじめな火が灯る。

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