203話 ラグビー部のチハル-1
2月下旬。
寒さはまだ残っている。
けれど、空気の芯にあった刺すような冷たさは、少しずつ薄れていた。
昼になれば日差しにぬくもりが混じり、グラウンドの端に残っていた霜も、いつの間にか土へ吸い込まれていく。
野球部のオフシーズンも、そろそろ終わりが見えてきた。
3月に入れば本格的な練習が始まるし、下旬には春合宿も予定している。
それまでに、できれば9人目の部員を迎えておきたい。
いざとなれば野球ロボが代役を務めてくれるが、能力に制限があるため頼りないのだ。
「空いてるポジションは……サードだったな」
三塁手。
ホットコーナーとも呼ばれ、強い打球が飛びやすい場所だ。
理想は、身体能力の高い大型選手。
ライナー性の当たりにビビらない胆力も欲しい。
「これまでに一通りの部活動は覗いてきたが……。そう言えば、端のグラウンドはまだだったか」
龍之介は校内を歩きながら、ぼそりと呟いた。
桃色青春高校は、名前の軽さに反してスポーツにかなりの力を入れている。
野球場だけでなく、サッカー場、陸上トラック、テニスコート、体育館、武道場、弓道場まで揃っている。
グラウンドもひとつではない。
学園敷地内の端には、第4グラウンドがある。
そこでは、土の匂いに混じって低い掛け声が響いていた。




