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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第2章 新しい異世界カーテンの向こうで大商売!
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第17話 湖底への扉

湖の中央に浮かび上がった巨大な石の扉。

蓮たちは、その前に立っていた。

「……本当に湖の底に行くの?」

ミリアが恐る恐る湖を見る。

「たぶん」

「たぶんって……」

セレナが苦笑する。

「蓮らしいわね」

「だって、他に道がないだろ」

蓮は石の扉を見る。

扉には二つの空洞があった。

一つは月。

もう一つは大地。

その中央には、古い文字。

『二つの力が揃ったとき、境界への道は開かれる』

「月影の羽と、もう一つの何か……」

蓮が呟く。

すると――。

「蓮」

モモが飛んできた。

「モモ、あの扉開けられるかも」

「え?」

「なんとなく」

「なんとなく?」

「うん!」

モモは小さな身体で扉へ近づいた。

すると――。

月影の羽が光り始める。

「おお……」

蓮が目を見開く。

月影の羽から伸びた光が、扉の月の形をした空洞へ吸い込まれていく。

カチッ。

音がした。

そして――。

ゴゴゴゴゴ……。

石の扉がゆっくりと開いた。

「開いた!」

ミリアが驚く。

「すごい……」

セレナも目を輝かせた。

モモは得意げに胸を張る。

「フェアリー・モモだから!」

「それ、かなり気に入ってるんだな」

「うん!」

蓮は笑った。

しかし。

扉の向こうには、水があるだけだった。

「……どうする?」

ミリアが聞く。

蓮も少し考えた。

「潜るしかないな」

「私、泳げるけど……」

セレナが湖を見る。

「この深さは無理じゃない?」

そのとき。

湖の主である水獣が現れた。

『案ずるな』

「え?」

『この扉の向こうは、水の中でも息ができる』

「そんな便利な……」

『ここは普通の湖ではない』

水獣が静かに言った。

『この先は、古き商人たちが残した場所だ』

「商人たち?」

蓮の表情が変わった。

『かつて、この湖には世界を渡る商人がいた』

「……!」

蓮は息をのんだ。

異世界を渡る商人。

自分と同じような存在。

そんな人間が、昔にもいたのか。

「その商人は、どうなった?」

『知らぬ』

水獣は答えた。

『ただ、何かを湖の底へ残した』

蓮は星実を握りしめた。

「それが……必要なアイテム?」

『おそらくな』

蓮は頷いた。

「行こう」

蓮が扉をくぐる。

すると――。

「……!」

水の中なのに、普通に呼吸できる。

「本当に息ができる!」

ミリアが驚く。

セレナも髪を揺らしながら周囲を見る。

「不思議ね……」

そしてモモは――。

「わああああ!」

水中を自由に飛び回っていた。

「モモ、泳げる!」

「いや、それ飛んでるだけだろ」

「どっちでもいい!」

モモは楽しそうにくるくる回る。

蓮たちは水中の道を進んでいった。

やがて。

前方に巨大な石柱が見えてきた。

石柱には、いくつもの名前が刻まれている。

「……文字?」

蓮が近づく。

そこには古い商人たちの名前が並んでいた。

一番上に刻まれていた名前を見た瞬間――。

蓮のスマートフォンが震えた。

ピッ。

【過去の境界商人を確認】

「……!」

蓮の顔が強張る。

「境界商人……」

まさか。

自分だけではなかった。

世界と世界を行き来し、商品を運んだ人間が、過去にも存在していた。

さらに画面が更新される。

【記録欠損】

【詳細情報:不明】

「肝心なところが分からないのかよ……」

蓮が苦笑する。

そのとき。

モモが石柱の裏側を見つめていた。

「蓮」

「ん?」

「あそこ」

モモが指を差す。

石柱の後ろに、小さな扉があった。

しかし、その扉には鍵穴がない。

代わりに――。

蝶の形をした模様が刻まれていた。

モモが近づく。

すると、その模様が光った。

「……また?」

月影の羽が反応する。

モモの身体も淡く輝いた。

「モモ、触ってみて」

蓮が言う。

「うん!」

モモが小さな手を扉へ伸ばす。

――カチッ。

扉が開いた。

その瞬間。

中から、淡い青い光が流れ出してきた。

しかし。

光の中に浮かんでいたのは――。

宝石でも。

金貨でも。

武器でもなかった。

一枚の古い紙だった。

蓮が手に取る。

そこには、たった一行。

『この先にあるものを、欲しいと思った商人は失格』

「……え?」

蓮は紙を見つめた。

ミリアが首を傾げる。

「どういう意味?」

セレナも黙っている。

モモだけが、きょとんとしていた。

「欲しいと思ったらダメなの?」

「たぶん……」

蓮は紙を裏返す。

何も書かれていない。

「じゃあ、何をすればいいんだ?」

その瞬間。

湖底の奥から――。

ゴォォォン……。

低い音が響いた。

そして遠くの暗闇に、巨大な光が灯った。

蓮は息をのんだ。

「……何かいる」

モモが小さな声で言う。

「うん」

蓮は前を向いた。

「行こう」

まだ、必要なアイテムは見つかっていない。

けれど――。

この湖の底には。

かつて世界を渡った商人たちが残した、秘密が眠っている。

そして蓮たちは、その秘密へ一歩近づいた。

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