第12話 星実が示した最初の場所
ポテトチップスの販売が落ち着いた頃。
蓮は店の奥で、以前手に入れたものを取り出していた。
二つの星実――。
淡く光る、不思議な果実。
「……これだ」
ミリアが覗き込む。
「星実ですね」
「うん」
蓮は二つの星実を見つめる。
以前、この二つを合わせたことで――。
二つの座標が現れた。
【座標A】
月影の森。
【座標B】
大地の湖。
そして、その下にはこう表示されていた。
【各座標に対応する必須アイテムが存在します】
「結局、まだこのアイテムを見つけてないんだよな」
蓮が呟く。
クロウも星実を見る。
「新しい世界へ行くためには、この二つのアイテムが必要なんだな」
「そう」
「なら、まず一つ目からだ」
セレナが首を傾げる。
「月影の森……ですか?」
「うん」
蓮は魔法の地図を広げる。
地図の上に、淡い光が浮かび上がった。
そこには――。
月影の森
と表示されている。
「場所は分かる」
「でも、アイテムの名前は?」
ミリアが尋ねる。
蓮は首を横に振った。
「まだ分からない」
「森のどこにあるのかも?」
「分からない」
モモが飛んできた。
「じゃあ、探す?」
「そういうこと」
「お宝?」
「たぶん」
「行く!」
モモは嬉しそうに羽を動かした。
「……プリン持っていく?」
「持っていく」
即答だった。
***
翌朝。
蓮たちは月影の森へ向かった。
森に近づくにつれて、周囲の景色が変わっていく。
昼間なのに、木々の間には薄い青白い光が漂っていた。
「綺麗……」
ミリアが呟く。
セレナも周囲を見る。
「まるで夜の森みたいですね」
クロウは足元を確認しながら歩いている。
「普通の森ではないな」
「何か分かる?」
「魔力の流れが妙だ」
蓮はスマートフォンを取り出す。
画面には――。
【座標A:月影の森】
【接続反応:微弱】
【探索対象:不明】
と表示されていた。
「やっぱり、ここで間違いない」
さらに森の奥へ進む。
しばらくすると――。
「蓮さん」
ミリアが立ち止まった。
「どうした?」
「何か聞こえませんか?」
全員が黙る。
……チリン。
……チリン。
小さな音。
「鈴?」
セレナが耳を澄ませる。
「向こうです」
音を追って進む。
すると、大きな古木の前に出た。
その幹には、不思議な模様が刻まれている。
蓮が近づく。
すると――。
星実が突然、光った。
「えっ?」
二つの星実のうち、一つが強く輝く。
古木の模様も同時に光り始めた。
クロウが目を細める。
「反応したな」
「この木に何かある?」
蓮が手を伸ばす。
しかし――。
カチッ。
木の中から小さな音がした。
そして、文字が浮かび上がった。
『月の光を受けし者のみ、奥へ進め』
「……謎解き?」
蓮が困った顔をする。
モモが古木の上を飛び回る。
「月の光!」
「今は昼だけどな」
「夜まで待つ?」
「そうなるのかな……」
セレナが空を見上げる。
「でも、この森なら夜になれば月が見えるでしょう」
クロウが頷く。
「焦る必要はない」
蓮も頷いた。
「今日はここで待とう」
そして一行は、古木の近くで夜を待つことにした。
***
夜。
森の上に月が昇った。
青白い月明かりが木々の間から差し込む。
その瞬間――。
古木が光った。
「来た!」
蓮が立ち上がる。
木の幹に刻まれた模様が、ゆっくりと動いていく。
そして森の奥へ一本の光の道が伸びた。
「道ができた……」
ミリアが息を呑む。
蓮は星実を握りしめる。
スマートフォンを見る。
【必須アイテムへの反応を確認】
蓮の目が輝いた。
「近くにある!」
モモが嬉しそうに飛び回る。
「お宝!」
蓮は笑った。
「よし」
一行は、月明かりに照らされた光の道を進んでいく。
その先に待っているものは――。
まだ誰にも分からない。
ただ一つ確かなことがある。
星実が示した最初の座標。
そこには、新しい異世界へ進むための重要なアイテムが眠っている。
蓮たちは、その正体を探すため――。
さらに深い月影の森へ足を踏み入れた。




