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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第2章 新しい異世界カーテンの向こうで大商売!
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第10話 異世界、初めての寿司

「これは……うまい!」

ヴェルナ商業ギルドのギルド長、ガルバンは、初めて食べる寿司にすっかり夢中になっていた。

マグロ。

サーモン。

エビ。

一貫食べるたびに目を輝かせる。

「蓮君! これは売るんだろう?」

「それが……」

蓮は少し困った顔をした。

「寿司は売るつもりはありません」

「なぜだ?」

「鮮度が大事だからです」

蓮は説明する。

「日本からここまで持ってくる間に、どうしても時間がかかります。せっかく美味しい寿司なのに、鮮度が落ちた状態で売るのは嫌なんです」

ガルバンは黙って寿司を見る。

そして頷いた。

「なるほど……」

商人としての顔になる。

「美味しいからこそ、最高の状態で食べてもらいたいということか」

「はい」

「それなら仕方ないな」

ガルバンは残念そうにしながらも納得した。

すると蓮が笑った。

「でも」

「ん?」

「日本へ行ったときに、たまに持ってきますよ」

ガルバンの目が大きくなる。

「本当か!?」

「はい」

「約束だぞ!」

「約束します」

ガルバンは満面の笑顔になった。

「いやあ、楽しみが一つ増えた!」

セレナが微笑む。

「ギルド長、すっかり蓮様のお寿司のファンですね」

「当然だ!」

その横でモモが手を上げる。

「私も!」

「モモは寿司食べた?」

「食べた!」

「どうだった?」

モモは少し考えた。

「……プリンも欲しい」

「結局そこか!」

部屋に笑い声が響いた。

ガルバンは酒を一口飲み、満足そうに息を吐いた。

「しかし、蓮君」

「はい」

「寿司を売らないのなら、今日コスタコで仕入れた商品の中で、何を売るつもりなんだ?」

蓮は笑った。

「それは――」

テーブルの上に並べられた商品を見る。

大量のお菓子。

パン。

チーズ。

カクテルシュリンプ。

そして酒。

「これから考えます」

「ほう?」

「日本には、まだまだ異世界で売れるものがたくさんありますから」

ガルバンは楽しそうに笑った。

「なるほど」

そしてグラスを掲げる。

「では、異世界商人の次の商品に――」

「乾杯!」

蓮たちもグラスを合わせた。

寿司は売らない。

けれど――。

日本へ戻るたび、ギルド長のために寿司を持ってくる。

そんな小さな約束が、蓮とガルバンの間に生まれた。

そして蓮はまだ知らない。

コスタコで仕入れた商品の中に――。

異世界で大人気になる商品が、まだ残っていることを。

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