第9話 コスタコは宝の山!?
カーテンを開けた瞬間――。
「うわ……」
蓮は思わず声を漏らした。
目の前に広がっていたのは、日本の大型店。
広い。
とにかく広い。
「ここが……コスタコ?」
ミリアが呆然とする。
「そう」
「大きすぎませんか?」
「俺も久しぶりに来るとそう思う」
セレナは店内を見回していた。
「まるで巨大な倉庫ですね」
クロウは腕を組む。
「なるほど。これだけの商品が一つの場所に集まっているのか」
そして――。
モモはすでに飛んでいた。
「お菓子!」
「待て、モモ!」
「プリン!」
「どこで覚えたんだよ……」
蓮たちはカートを押しながら店内を進んでいく。
最初に目に入ったのは、大量の食品。
肉。
パン。
チーズ。
果物。
そして――。
「寿司?」
セレナが立ち止まった。
「これも日本の商品?」
「そう。寿司だよ」
「魚を……生で?」
「うん」
「大丈夫なのですか?」
蓮は笑った。
「日本では普通に食べてるよ」
セレナは恐る恐る寿司を眺める。
「……美しい」
クロウも興味深そうに見る。
「これは異世界では珍しいだろうな」
「だよな」
蓮はカートに一つ入れた。
「まずは試食用」
「試食?」
「自分たちで食べてみて、異世界で売れるか考える」
商人としては当然の確認だった。
その隣には――。
「エビ!」
ミリアが声を上げた。
大きなパックに入ったカクテルシュリンプ。
ぷりぷりしたエビがずらりと並んでいる。
「これは……!」
セレナの目が輝いた。
「美味しそうです」
モモも覗き込む。
「エビ……」
「モモも食べる?」
「食べる!」
蓮はカートに入れる。
「これは絶対売れそうだな」
クロウが頷く。
「異世界の港町なら特に人気が出そうだ」
「だよな」
さらに進むと――。
「お酒もある」
蓮が立ち止まる。
ワイン。
ビール。
ウイスキー。
いろいろな種類が並んでいる。
セレナが目を丸くした。
「こんなに種類が……」
「日本では普通に売ってる」
「これが普通……?」
セレナは異世界の常識との違いに驚いていた。
クロウは酒の棚を見ながら言う。
「酒は商売になる」
「うん」
「しかも保存ができるものなら、異世界間の交易にも向いている」
「ただし、売るならルールや年齢確認なんかも考えないとな」
蓮はすぐに商人の顔になる。
「異世界だからって、何でも売ればいいわけじゃない」
クロウは満足そうに笑った。
「その考え方は嫌いじゃない」
そんな話をしている間にも――。
「蓮!」
セレナが呼んだ。
「今度は何?」
「こちらです!」
そこには大量のデザート。
ケーキ。
ティラミス。
マフィン。
クッキー。
「……」
蓮は無言になった。
「コスタコ、すごいな」
ミリアも目を輝かせる。
「全部持っていきたいです」
「さすがに無理」
モモが言った。
「全部買おう」
「無理だって」
「商人なのに?」
「商人だから予算を考えるんだよ!」
みんなで笑う。
そして――。
買い物が終わった頃には、カートは山のようになっていた。
「……買いすぎた」
蓮はカートを見つめる。
寿司。
カクテルシュリンプ。
チーズ。
パン。
お菓子。
飲み物。
そして酒。
「でも楽しかったですね」
ミリアが笑う。
「うん」
蓮も笑った。
「異世界に持っていく商品を探すつもりだったけど……」
セレナが嬉しそうに言う。
「ほとんど私たちが楽しんでしまいましたね」
「それも商人の仕事だよ」
「そうなのですか?」
「……たぶん」
そのとき――。
モモがカートの中から顔を出した。
「蓮」
「何?」
「プリンは?」
「……」
「プリン」
「買ったよ」
「最高!」
モモは満面の笑顔になった。
蓮は笑いながらカートを押す。
そして、ふと思った。
ロールケーキ。
寿司。
カクテルシュリンプ。
酒。
お菓子。
まだまだ日本には、異世界に持っていけば喜ばれる商品がたくさんある。
「……商人って、面白いな」
その言葉にクロウが笑った。
「やっと分かってきたか」
蓮たちは大量の商品を抱え、異世界へ戻っていく。
だが――。
この日コスタコで仕入れた商品が、異世界の食文化を大きく変えることになるとは。
まだ誰も知らなかった。
そして、最初にみんなを驚かせたのは――。
寿司だった。




