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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第2章 新しい異世界カーテンの向こうで大商売!
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第3話 森の奥の「一番珍しい商品」

森の奥へ進むにつれ、空気が変わっていった。

「……静かですね」

ミリアが周囲を見回す。

さっきまで聞こえていた鳥の声も、風の音もない。

「モモ、本当にこっちで合ってるのか?」

蓮の肩に乗った白と紫の蝶が、羽を揺らす。

「合ってる」

「何があるんだ?」

「珍しいもの」

「だから、それが何なのか聞いてるんだけど」

「行けばわかる」

「便利な答えだな……」

後ろからガルドが笑った。

「まあ、商人ってのは商品を見つけるまでが仕事だ」

「その通りです!」

セレナが元気よく答える。

「そして商品を見つけたら、私が販売します!」

「セレナ、まだ商品を見つけてないよ」

「先に販売員の練習をしています!」

「……まあ、いいか」

一行はさらに進んだ。

すると――。

リナが足を止めた。

「待って」

「どうした?」

「地図が……」

彼女が魔法の地図を広げる。

地図の中央に、青い光が浮かんでいた。

「ここです」

蓮が近づく。

そこには一本の大木が立っていた。

巨大な幹。

見上げても頂上が見えない。

そして、その根元に小さな穴がある。

「洞窟?」

ガルドが覗き込む。

「違います」

リナが首を振った。

「これは……入口」

「入口?」

その瞬間。

穴の中から、青白い光が漏れた。

スマホが鳴る。

【未知の商業資源を確認】

【希少度:★★★★★】

【世界間接続反応:極めて強い】

蓮の目が輝いた。

「これだ!」

クロウが静かに笑う。

「どうやら見つけたようだな」

一行は慎重に中へ入った。

そこは洞窟ではなかった。

広い空間。

壁一面に、青白く光る植物が生えている。

「きれい……」

ミリアが呟く。

その植物の先には、小さな実がなっていた。

透明な果実。

中には星のような光が浮かんでいる。

蓮はスマホを向けた。

【商品名:星実】

【特徴:夜間に強く発光】

【保存期間:極めて長い】

【食用:可】

【魔力含有量:高】

【市場価値:測定不能】

「……測定不能?」

蓮が目を丸くする。

ガルドも驚いた。

「こいつは本物だ」

クロウが一歩前に出る。

「これなら確かに、一番珍しい商品かもしれない」

「じゃあ、採ろう」

蓮が手を伸ばす。

その瞬間――。

グオオオオオオッ!

洞窟全体が震えた。

「うわっ!」

地面が揺れる。

奥から巨大な影が現れた。

四本の脚。

岩のような体。

頭には二本の角。

「モンスター!」

ミリアが杖を構える。

セレナも剣を抜いた。

ガルドが前に出る。

だが蓮は――。

「待って!」

「蓮さん?」

「このモンスター、星実を守ってるだけじゃないか?」

巨大なモンスターは唸りながら、星実の前に立っている。

襲ってくる気配はない。

蓮はゆっくり近づいた。

「お前、これを守ってるのか?」

モンスターは低く唸った。

「……そうか」

蓮はバッグを開いた。

「じゃあ、交換しよう」

全員が固まった。

「またそれか!」

ガルドが笑う。

蓮が取り出したのは――。

大きな水筒。

「水だ」

モンスターが鼻を近づける。

くんくん。

そして――。

ごくごくごく。

一気に飲み干した。

「……」

蓮はもう一本取り出した。

「もっといる?」

モンスターが尻尾を振った。

「かわいい……」

リナが呟く。

セレナが目を輝かせた。

「看板モンスターにしましょう!」

「店に置けないよ」

「大きすぎます!」

「そこじゃない」

蓮は笑いながら、モンスターに言った。

「星実を少し分けてもらえないかな?」

モンスターはしばらく蓮を見る。

そして――。

大きな前足で、星実を一つ落とした。

ころん。

蓮の足元に転がる。

「……ありがとう」

蓮は頭を下げた。

スマホが鳴った。

【交易成立】

【商品:星実】

【取得方法:友好的交換】

【商業評価:極めて高い】

蓮は嬉しそうに笑った。

その様子をクロウは黙って見ていた。

「どうした?」

蓮が尋ねる。

「いや……」

クロウは小さく笑った。

「お前、本当に変わった商人だな」

「そう?」

「普通の商人なら、あのモンスターを倒して商品を奪っている」

「でも、それじゃ次に来たとき買えないだろ?」

「……」

クロウが目を細める。

蓮は星実を手に取った。

「商売って、今日だけ儲かればいいわけじゃない」

「明日も買ってもらえる関係を作る」

クロウはしばらく黙っていた。

そして――。

「気に入った」

金貨を取り出す。

「その星実、俺が買おう」

「一個だけ?」

「いや」

クロウは金貨を三枚置いた。

「三個」

蓮が驚く。

「そんなに?」

「珍しい商品だからな」

「じゃあ、二個は売る。一個は――」

蓮はモンスターを見る。

「この子に返す」

クロウは笑った。

「それも商売か?」

「違う」

蓮は笑う。

「これはお礼」

モンスターは嬉しそうに鳴いた。

「グルル……」

そのとき。

星実が突然、強く光った。

洞窟の壁に――。

一本の光の道が浮かび上がる。

スマホに新しい表示。

【異世界接続を検知】

【接続先:不明】

【交易可能性:極めて高い】

蓮は息を呑んだ。

「……また新しい世界?」

クロウが光の道を見つめる。

「どうやら――」

黒い商人は静かに笑った。

「お前の商売は、まだ始まったばかりらしいな」

モモが蓮の肩で羽を広げた。

「プリンの世界?」

「そんな世界あるのか?」

「探そう」

「そこは即答なんだな……」

一行は笑った。

そして蓮は――。

新しく現れた光の道へ、一歩踏み出した。

その先に待っているのは――。

誰も知らない、次の異世界だった。

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