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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第1章 カーテンの向こうで大商売!
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第56話 父さんとの再会

「父さん!」

蓮は透明な壁に手を当てた。

「どうしたら、そこから出られる?」

父親は少し笑った。

「相変わらずせっかちだな」

「だって……」

蓮は拳を握る。

「やっと会えたんだから」

父親の目が少し潤んだ。

「そうだな」

その瞬間。

ミリアが突然、声を上げた。

「蓮! 壁の横!」

「え?」

透明な壁の端に、小さな文字が浮かんでいた。

【境界通行条件】

【双方が同じ商品を必要とした場合、通行可能】

「……商品?」

ガルドが近づく。

「まさか、この境界まで商売を要求しているのか?」

蓮はスマートフォンを見る。

【必要物資を確認してください】

「必要なもの……」

蓮は父親を見る。

「父さん。ここで何が足りない?」

「水だ」

「水?」

「この場所には長くいる者が多い。だが、境界の力が弱くなってから水の供給が減っている」

蓮はすぐにリュックを開けた。

「あるよ」

ペットボトルの水。

さらに――

保存食。

塩。

衛生用品。

簡易ライト。

「こんなに?」

父親が驚く。

「日本から持ってきた」

「日本……」

父親は懐かしそうに笑った。

「お前、本当に商人になったんだな」

「うん」

蓮は笑った。

「けっこう儲かってるよ」

「そうか」

「プリンが一番売れる」

「……プリン?」

父親が固まった。

「うん」

「境界の最深部で?」

「大人気」

セレナが胸を張った。

「私も大好きです!」

「……そうか」

父親は少し困った顔をした。

狼王が口を挟む。

「我も好きだ」

「狼王まで?」

父親が目を丸くする。

「ずいぶん賑やかな仲間ができたな」

「うん」

蓮は仲間たちを見た。

ミリア。

リナ。

ガルド。

セレナ。

狼王。

そして海斗。

みんながそこにいる。

「俺、一人じゃないんだ」

父親は優しく笑った。

「それが一番大事だ」

蓮は水を一本取り出した。

「父さん」

「何だ?」

「これ、売るよ」

「……」

父親が笑う。

「俺にもか?」

「もちろん」

「いくらだ?」

「無料でもいい」

父親は首を横に振った。

「商人なら、それはいけない」

蓮は驚いた。

父親は続ける。

「必要なものを届ける。そして、必要なものを受け取る」

「……」

「対価があるから、商売は続いていく」

蓮は笑った。

「じゃあ――1ゴールド」

父親も笑う。

「買った」

蓮が水を差し出す。

父親が1ゴールドを渡す。

その瞬間。

透明な壁が――

消えた。

「……!」

蓮は一歩前へ出た。

父親も一歩進む。

そして――

二人は向かい合った。

「……父さん」

「ああ」

蓮は父親に抱きついた。

「……会いたかった」

父親も蓮の背中に手を回した。

「俺もだ」

ミリアは静かに笑っている。

リナは目を潤ませている。

セレナは――

「感動です……!」

大号泣。

ガルドが呆れる。

「お前が一番泣いてないか?」

「家族の再会ですよ!」

狼王はそっぽを向いた。

「……目に砂が入った」

「地下なのに?」

「細かいことを言うな」

蓮は笑った。

久しぶりに。

心から笑った。

しかし――

その瞬間。

父親の顔から笑みが消えた。

「蓮」

「何?」

「喜ぶのはまだ早い」

「……?」

父親は最深部の奥を指差した。

そこには巨大な黒い亀裂があった。

「母さんは、あの奥にいる」

蓮の表情が変わる。

「母さんが……?」

「そうだ」

父親は静かに言った。

「俺は、あそこから母さんを出す方法を探していた」

「じゃあ、一緒に行こう」

蓮が言う。

父親はうなずいた。

「ああ」

そして親子は――

同じ方向を向いた。

スマートフォンが鳴る。

【家族接続を確認】

【父親との再会:完了】

【次の目的】

【母親を境界から帰還させる】

【残り時間:17時間12分】

蓮は拳を握った。

「待ってて、母さん」

父親が隣で笑う。

「行こう、蓮」

「うん!」

親子は、母親が待つ最深部へ歩き出した。

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