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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第1章 カーテンの向こうで大商売!
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第43話 北方の店、大繁盛!そして山へ行けない理由

北方交易都市。

朝。

蓮たちは市場の一角に店を構えていた。

「よし……今日は本格的に売るぞ」

蓮が商品を並べていく。

防寒手袋。

厚手の靴下。

カイロ。

毛布。

タオル。

保存袋。

石けん。

歯ブラシ。

LEDライト。

乾電池。

そして――

「食品コーナー!」

ミリアが声を上げる。

カップ麺。

缶詰。

レトルト食品。

チョコレート。

キャンディ。

クッキー。

そして人気商品の――

プリン。

「北方でプリンって、どうなんだ?」

蓮は少し心配だった。

しかし。

「プリンだ!」

「昨日の店にもあったぞ!」

「甘いものだ!」

一瞬で人が集まった。

「一人三個までです!」

蓮が叫ぶ。

「三個!」

「俺も三個!」

「家族の分も!」

「三個までです!」

「じゃあ家族を連れてくる!」

「それはいいです!」

蓮は笑ってしまった。

一方、防寒用品の棚も大盛況だった。

「この小さな袋は?」

「カイロです。中身を振ると温かくなります」

「本当に?」

男が袋を手に取る。

しばらくすると――

「温かい!」

「おお!」

周囲から歓声が上がった。

「これを十個!」

「ありがとうございます!」

別の客はLEDライトを手に取る。

「火を使わずに明るくなるのか?」

「はい。電池を入れれば使えます」

「夜の鉱山で使える!」

「それならこっちも!」

今度は乾電池が売れる。

さらに――

「この歯ブラシは?」

「歯を磨くものです」

「歯磨き用?」

「はい」

「北方では硬い毛のブラシを使う人が多いんだ」

「これは柔らかいので、使いやすいと思います」

「試してみる!」

一人が買う。

すると別の客も、

「俺も!」

「私も!」

歯ブラシまで大量に売れていく。

蓮は目を丸くした。

「……日用品まで売れるな」

セレナが隣で得意げに笑う。

「だから申し上げたでしょう?」

「何を?」

「蓮様の商品は、どこでも必要とされるのです♡」

「セレナさん……」

「妻として、よく分かっています」

「妻じゃないです」

「まだ」

「そこ!」

ミリアが笑いながら商品を補充する。

「蓮さん、こっちもお願いします!」

「了解!」

リナも大忙しだ。

「飲み物が足りません!」

「倉庫から持ってきて!」

狼王まで店の前に座っている。

「次の客が来るぞ」

「狼王、店員みたいになってるな」

「客を逃がすな」

「頼もしい……」

そして昼。

売上を確認すると――

「430金貨……」

蓮は言葉を失った。

「まだ昼ですよ!」

ミリアも驚いている。

セレナは満面の笑み。

「素晴らしいです、蓮様」

「北方市場、かなり相性がいいな」

だが――

そのときだった。

市場の奥から、昨日の老人が現れた。

「……佐伯の人間よ」

蓮が振り返る。

「また来たんですか?」

老人は店の商品を見渡した。

「お前は……昔の佐伯家の商人と同じことをしている」

「同じ?」

「必要なものを持ってきて、必要なものだけを受け取る」

老人は古びた鍵を握った。

「昔、この街に来た佐伯家の男もそうだった」

蓮の表情が変わる。

「その人の名前は?」

「佐伯一郎」

「……!」

祖先――。

第一世代の記録に出てきた名前だった。

老人は続ける。

「一郎は、この街で商売をした」

「何を売ったんですか?」

「米、布、薬、道具……」

「日本の商品?」

「そうだ」

蓮の胸がざわつく。

「じゃあ、その人はどうして山へ?」

老人の顔が曇った。

「商売をしているうちに、山の扉を見つけたからだ」

「扉……」

「一郎は、その扉を閉じようとした」

「なぜ?」

老人は低い声で答えた。

「扉の向こうから――商品ではないものが流れてきたからだ」

蓮が息を呑む。

「何が?」

「黒い霧」

ミリアの顔が強張った。

黒い霧。

それはかつての境界喰らいと同じものだった。

「一郎は気づいた」

老人は言う。

「境界は、何でもつなげばいいわけではない」

蓮は黙って聞いていた。

「必要なものを届けるための扉ならいい」

「でも……」

「欲望だけで開いた扉は、世界を壊す」

蓮は父の記録を思い出した。

祖先の言葉。

――欲だけでつなぐことが悪い。

――必要なものを届ける。

――それ以上を求めない。

すべてが一本につながっていく。

「……佐伯家は、最初からこの山を知っていた」

老人は頷いた。

「そうだ」

その瞬間。

スマートフォンが鳴った。

ピコン。

【佐伯家・第一世代記録との一致を確認】

【第八接続候補】

【北方山岳地帯】

【危険度:極高】

蓮の顔が変わる。

「危険度……極高?」

老人が頷いた。

「だから山には入るな」

「……」

「一郎も戻ってこなかった」

「死んだんですか?」

老人は首を横に振った。

「分からない」

「分からない?」

「山の中には、時間が狂う場所がある」

ミリアが息を呑む。

「時間が……?」

「昨日入った者が、十年後に戻ったという話もある」

「……」

「逆に、数時間しか経っていないのに、外では何十年も過ぎていた者もいる」

蓮は山の方向を見る。

さらに老人は言った。

「そして一番危険なのは――」

「何ですか?」

「扉を開けた者の『大切な記憶』を、向こう側が持っていくことだ」

蓮の顔から笑みが消えた。

記憶。

それは蓮にとって特に重い言葉だった。

母。

父。

佐伯家。

ミリア。

リナ。

ガルド。

そして、この世界で出会った人々。

もし記憶を失ったら――。

「だから、一人では絶対に行くな」

老人は古い鍵を蓮に差し出した。

「これは?」

「一郎が残したものだ」

蓮は鍵を受け取る。

すると――

ピコン。

スマートフォンが激しく震えた。

【第一世代認証鍵を確認】

【第八接続候補へのアクセス条件を満たしました】

【ただし――】

【単独接続は禁止】

【推奨同行人数:4名以上】

【記憶保護装置が必要】

蓮は画面を見つめた。

「……一人じゃ行けない」

狼王が立ち上がる。

「ならば我が行く」

ミリアも続く。

「私も」

リナが地図を握る。

「私も行きます」

そして当然のようにセレナ。

「私もです♡」

「……」

「妻として」

「そこはもういいです!」

蓮は苦笑した。

しかし、そのとき――

セレナの表情が初めて真剣になった。

「蓮様」

「はい?」

「私は商人です」

「……?」

「だから分かります」

セレナは山を見た。

「そこにあるのは、ただの危険な場所ではありません」

「何がある?」

「きっと……」

セレナは静かに言った。

「誰かが、ずっと守っている『商売の入口』です」

蓮は目を見開いた。

そしてスマートフォンを見る。

【新情報】

【第八接続候補――】

【名称:最初の商人の店】

「……店?」

蓮は呟いた。

山の奥にあるのは、ただの扉ではない。

佐伯家の最初の商人が残した――

異世界との商売の拠点。

だが、その店には何か秘密がある。

蓮は決意した。

「明日、行こう」

老人が驚く。

「本当に行くのか?」

蓮は頷いた。

「ただし、商売人として行きます」

「商売人として?」

「危険だからって、全部閉じるんじゃない」

蓮は笑った。

「何が必要なのかを確かめたい」

そして――

その日の北方都市の売上は、

最終的に――

【680金貨】

となった。

北方都市での商売は、大成功。

だが翌朝。

蓮たちが山へ向かおうとしたとき――

市場の入口に、一人の男が立っていた。

黒い外套。

見覚えのある顔。

「……蓮」

「ガルド!?」

ガルドは腕を組んでいた。

「お前、一人で面白そうな商売を始めるなよ」

「どうしてここに?」

ガルドはニヤリと笑った。

「王都から聞いた」

そして――

「第八接続候補が見つかったんだろ?」

蓮は驚いた。

ガルドは続ける。

「なら俺も行く」

その瞬間。

スマートフォンが鳴った。

【同行者追加】

【第五接続者――ガルド】

【記憶保護適性:高】

【第八接続への安全度が上昇】

蓮は笑った。

「……これなら行ける」

しかし山の奥では――

古い扉の向こうから、再び声が響いていた。

「……商人が、五人」

「今度は……誰も帰さない」

そして扉の向こうで、

何かが目を開いた

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