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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第1章 カーテンの向こうで大商売!
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第39話 竜王親子、そろってお忍び来店!

翌朝。

「蓮ー!」

店の外から、聞き慣れた声が響いた。

「……来たか」

蓮が扉を開ける。

そこに立っていたのは、昨日と同じようにフードを深くかぶったルナリア。

そして――

「お、おはよう……」

その隣には、妙に大きな黒いローブを着た男が立っていた。

蓮は一瞬で察した。

(……竜王だ)

昨日プリンを食べていた、あの男。

「お父……じゃなくて!」

ルナリアが慌てて口を押さえる。

「ただの……お客さんです!」

「…………」

竜王が無言になる。

「ルナリア」

「な、なに?」

「なぜ余のことを『お父』と言いかけた」

「言ってない!」

「言った」

「言ってない!」

蓮は笑いをこらえた。

「まあ、どうぞ。今日は何を買います?」

「プリン!」

ルナリアが即答した。

「あとシュークリーム!」

「昨日も買ったよな?」

「今日も食べたい!」

「……なるほど」

蓮は苦笑した。

その横で、竜王が店内を見回している。

「これが……異世界商人の店か」

「はい。日用品と食品を扱っています」

「食品……」

竜王の視線が止まる。

そこには――

プリン。

シュークリーム。

ロールケーキ。

チョコレートケーキ。

そして新商品。

「……あれは?」

「新しいお菓子です」

「名は?」

「エクレアです」

竜王の目が輝いた。

「……一本、もらおう」

「一本?」

ルナリアが振り返る。

「お父様、それ一本で足りるの?」

「……二本」

「増えた!」

蓮は思わず吹き出した。

「竜王様――」

「!」

竜王が固まった。

「……なぜ分かった」

「昨日から、ほぼ全部バレてます」

「…………」

竜王は観念したようにフードを取った。

「余が竜王だ」

店内が静かになる。

ミリアが目を丸くした。

リナも固まる。

狼王だけが、

「……やはりな」

と呟いた。

「お前は知っていたのか!」

「匂いで分かる」

「狼王……」

竜王が頭を抱えた。

しかしルナリアは嬉しそうだった。

「これで堂々と買えるね!」

「いや、堂々と買うのも問題なのだが……」

竜王は店の商品を見渡した。

そして真剣な顔になる。

「蓮」

「はい」

「この店の商品を、竜王国で販売したい」

店内の空気が変わった。

「……本気ですか?」

「本気だ」

竜王は頷いた。

「竜王国には、長い間、外から入ってこなかった商品が多い。特に食品と生活用品は不足している地域もある」

「なるほど」

「ただし、王都だけで売るのでは意味がない」

竜王は商品棚を指した。

「日用品は庶民にも必要だ。菓子は子どもたちが喜ぶ。保存食は旅人や兵士にも役立つ」

蓮は頷いた。

まさに商売の話だった。

「それなら……」

蓮はスマートフォンを取り出した。

画面を確認する。

――新規販売地域候補。

【竜王国】

【店舗開設条件:商業許可】

【接続安定度:確認中】

そして、その下に新しい表示が出た。

【竜王国との商業接続を開始しますか?】

蓮は少しだけ考えた。

そして――

「はい」

タップした。

ピコン。

【商業接続開始】

【初期販売拠点を登録してください】

蓮は竜王を見る。

「王都に店を出すなら、場所を案内してもらえますか?」

竜王は即答した。

「もちろんだ」

ルナリアが飛び跳ねる。

「じゃあ、私が案内する!」

「お前は毎日抜け出すからダメだ」

「えー!」

「まずは公認の店として開けばよい」

「……!」

ルナリアの顔がぱっと明るくなった。

「じゃあ、もう隠れて来なくてもいいの?」

「そういうことだ」

「やったー!」

店内にルナリアの声が響く。

ミリアが笑った。

「これなら毎日来られますね」

「毎日はダメだ」

竜王が即座に突っ込む。

「なぜ!?」

「王族だからだ!」

「お菓子を買うだけなのに!」

「お前は毎日城を抜け出しているだろう!」

「……」

ルナリアが目をそらした。

蓮は苦笑する。

そして、ふと思いついた。

「じゃあ……」

「?」

「竜王国では、普通のコンビニみたいな店を作ってみませんか?」

竜王が目を見開く。

「コンビニ?」

「食品、菓子、飲み物、日用品。必要なものを一か所で買える店です」

「それは……面白い」

竜王は腕を組んだ。

「王都だけでなく、港町、街道沿い、地方都市にも広げられるかもしれない」

「そうですね」

蓮の目も輝いた。

商売の可能性が、一気に広がっていく。

その日の午後。

竜王の許可を得て、王都の市場近くに仮設販売所を作ることになった。

蓮は商品を並べる。

プリン。

シュークリーム。

ロールケーキ。

チョコレート。

キャンディ。

ポテトチップス。

カップ麺。

歯ブラシ。

石けん。

タオル。

電池。

LEDライト。

保存袋。

ラップ。

スポンジ。

「……これ、本当に売れるのか?」

竜王が呟く。

蓮は笑った。

「昨日、プリンを食べた人が言います?」

「…………」

ルナリアが横から言った。

「絶対売れるよ!」

そして――

最初の客がやって来た。

「なんだ、この店?」

「見たことのない菓子だ!」

「これは何だ?」

「プリン……?」

一人が買う。

そして食べる。

「……うまい」

その一言を聞いた瞬間。

周囲の人々が一斉に集まった。

「俺にも!」

「私にも!」

「その黄色いやつ!」

「白いクリームのやつ!」

「丸いケーキをくれ!」

「チョコのやつ全部!」

蓮は目を丸くした。

「えっ」

ミリアが叫ぶ。

「蓮さん! また始まりました!」

ルナリアが大喜びする。

「ほらー! 売れるって言ったでしょ!」

竜王は呆然と商品棚を見つめた。

そして一言。

「……余の国民、食欲がすごいな」

蓮は笑った。

「商売相手としては最高ですよ」

夕方。

商品はほとんど売り切れた。

蓮が売上を確認する。

「……」

「どうした?」

竜王が聞く。

蓮はスマートフォンを見せた。

【本日の竜王国販売】

【売上:480金貨】

ミリアが驚く。

「四百八十……!」

ガルドならどう言うだろう。

そう思った瞬間。

スマートフォンが再び鳴った。

ピコン。

【新規市場の開拓を確認】

【商業活動による境界安定度】

【75% → 78%】

蓮は画面を見つめた。

「……また上がった」

竜王も画面を覗き込む。

「商売が……境界を安定させているのか」

「はい」

蓮は静かに答えた。

「必要なものを届けて、必要なものを受け取る。それだけです」

竜王はしばらく黙っていた。

やがて、微笑んだ。

「なるほど」

「?」

「そなたの商売は、竜王国にも必要なのかもしれんな」

その横でルナリアがプリンを抱えていた。

「じゃあ明日も来ていい?」

竜王が即答する。

「店が正式に開けばな」

「やった!」

蓮は笑った。

だが――

スマートフォンの画面には、別の表示が出ていた。

【新規接続反応】

【竜王国・王都】

【商業接続:安定】

そしてその下に――

【第八接続候補】

【海側境界との反応を検知】

蓮は画面を見つめた。

「……海側?」

まだ、商売の裏側で動く謎は終わっていなかった。

だが今は――

「明日も店を開くか」

蓮は笑った。

異世界商人の新しい商売が、始まった。

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