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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第1章 カーテンの向こうで大商売!
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第38話 竜王、まさかの来店――プリンを食べる!?

翌朝。

港町支店は、いつも以上に忙しかった。

「プリン、追加です!」

「シュークリームも!」

「チョコレートが足りません!」

「了解!」

俺は日本と異世界を何度も往復していた。

昨日、竜王の姫――ルナリアが大量に買って帰ったせいだ。

「姫様……本当に毎日来るんですね」

ミリアが呆れたように笑う。

「まあ、お客さんだからな」

「でも、竜王国の姫様ですよ?」

「それは昨日知ったけど……」

「普通はもっと緊張します」

「そうか?」

俺はプリンを棚に並べた。

「プリンを買うお客さんに身分は関係ないだろ」

「……蓮さんらしいです」

その時だった。

店の外から――

「今日も来たぞ!」

「プリンはあるか!?」

「シュークリームを!」

客が一斉に入ってくる。

「はい、順番に!」

店内は大混雑。

そして――

カラン。

扉が開いた。

入ってきたのは、一人の男。

黒いローブを着ている。

顔には簡素な仮面。

「いらっしゃいませ」

俺は普通に声をかけた。

男は無言で店内を見る。

そして――

プリンの棚で止まった。

「……これか」

「はい。人気商品です」

男は一つ手に取る。

「いくらだ?」

「銅貨三枚です」

「……安いな」

「試しに一つどうです?」

男は少し迷った。

そして購入した。

「こちらで食べても大丈夫ですよ」

「では……」

男は店の隅に座った。

蓋を開ける。

スプーンを持つ。

そして――

一口。

「……」

固まった。

「どうですか?」

俺が聞く。

男はしばらく黙っていた。

そして。

「……うまい」

小さな声だった。

「ありがとうございます」

「こんなものを……」

男はプリンを見つめる。

「娘が毎日食べたがる理由が分かった」

「……」

俺は手を止めた。

「娘?」

男は慌てて咳払いした。

「いや……知り合いの娘だ」

「そうですか」

俺は深く追及しなかった。

だが――

ガルドが俺の横に来る。

「蓮」

「ん?」

「あの男……」

「何?」

「昨日の姫様と同じ魔力を感じる」

「……」

俺も男を見る。

確かに。

ただの客とは思えない。

しかし――

「まあ、いいじゃないか」

「お前は警戒心がなさすぎる」

「商売だからな」

男はプリンを食べ終える。

そして立ち上がった。

「この店の商品を、竜王国でも売ることはできるか?」

「もちろん!」

俺は即答した。

「竜人族の国に支店を出すことも考えてます」

「……そうか」

男は少し笑った。

「ならば、協力しよう」

「本当ですか?」

「必要な場所を紹介する」

「ありがとうございます!」

俺は頭を下げた。

男は店を出ようとする。

その時――

「待って」

俺は呼び止めた。

「何だ?」

「プリン、もう一ついかがです?」

男が振り返る。

「……いいのか?」

「もちろん」

男は少し照れたようにプリンを受け取った。

「ありがとう」

そして店を出ていった。

          ◇

店の外。

男は人通りの少ない場所まで歩く。

そこで仮面を外した。

「……」

白銀の髪。

額には大きな角。

その姿を見た瞬間、周囲の護衛が一斉に頭を下げた。

「陛下!」

「声が大きい」

「申し訳ありません!」

男――竜王は、手に持ったプリンを見る。

「……ルナリアが気に入るわけだ」

護衛が恐る恐る聞く。

「いかがでしたか?」

竜王は少し考えた。

「うまい」

「……!」

「非常にうまい」

護衛たちは顔を見合わせる。

竜王が食べ物をここまで褒めることなど、ほとんどない。

「それに――」

竜王は店の方を見る。

「異世界商人、か」

「あの者はいかがでしたか?」

「面白い男だ」

「危険では?」

「分からん」

竜王は首を振った。

「だが、少なくとも金だけを求めている商人ではない」

そして――

「娘があれほど夢中になる理由も分かった」

          ◇

その頃。

店内。

「蓮さん」

ミリアが言った。

「何?」

「さっきのお客さん、絶対普通じゃないです」

「やっぱり?」

「はい」

リナも頷く。

「竜人族の王族みたいな魔力でした」

「……」

俺は考える。

「まさかな」

ガルドが腕を組む。

「本人だったりしてな」

「まさか」

「昨日、姫が来た」

「うん」

「今日は父親が来る」

「……」

俺は固まった。

「いやいや」

「あり得るぞ」

「竜王本人が、こんな小さな店に?」

ガルドは笑った。

「娘が毎日来ているんだ。気になって見に来ても不思議ではない」

「……」

俺は昨日の少女を思い出した。

そして――

「あ」

一つ気づいた。

「そういえば、あの男」

「どうした?」

「プリンを食べる前に言ってた」

『娘が毎日食べたがる理由が分かった』

店内が静かになった。

ミリアが目を丸くする。

リナも固まる。

ガルドがゆっくり笑う。

「……やっぱりな」

俺は頭を抱えた。

「俺、竜王に普通にプリン売っちゃった……」

「いいじゃないですか」

ミリアが笑う。

「お客様ですから」

「そうだけど!」

          ◇

その日の夕方。

竜王城。

「お父様!」

ルナリアが駆け込んできた。

「今日も行ってきたの?」

竜王は静かに答える。

「いや」

「え?」

「今日は向こうから来た」

「……?」

ルナリアは首を傾げる。

竜王はテーブルの上に――

プリンを置いた。

「えっ!?」

ルナリアの顔が輝く。

「これ!」

「一つ食べた」

「お父様も?」

「うむ」

「どうだった?」

竜王は少しだけ笑った。

「お前が毎日通う理由が分かった」

「でしょ!」

ルナリアは嬉しそうにプリンを抱えた。

「明日も行こうかな!」

「……」

竜王は少し考える。

「明日は――」

「?」

「私も行く」

「えっ!?」

ルナリアが驚く。

「一緒に?」

「うむ」

「本当に!?」

「ああ」

ルナリアは満面の笑みになった。

「じゃあ、明日は一緒にお菓子を買おう!」

「……一つだけだぞ」

「えー!」

その頃。

港町の店では――

俺が新しい看板を書いていた。

『竜人族歓迎!』

その下に、さらに一言。

『プリンあります』

「よし!」

俺は満足して店を見渡す。

まさか、この店に――

竜王と姫様が親子で来ることになるとは。

そして翌日。

竜王国の最高権力者が、お忍びで店にやって来る。

さらに――

その来店をきっかけに、俺の店に竜人族の客が一気に押し寄せることになるのだった。

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