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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第1章 カーテンの向こうで大商売!
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第34話 港町へ――異世界コンビニ計画

「港町で、大儲けするぞ!」

王都の店の前で、俺は宣言した。

「おおー!」

ミリアが両手を上げる。

「……本当に大儲けが目的なんだな」

ガルドが呆れたように笑った。

「もちろん!」

「境界を守る話はどこへ行った?」

「商売で守れるなら、商売する」

「……まあ、お前らしい」

俺たちは港町へ向かうことになった。

目的は三つ。

一つ。

新しい店を出す。

二つ。

港町で売れる商品を探す。

そして三つ目。

佐伯家の最初の守護者について調べる。

スマートフォンに表示された謎の文字。

【あなたの祖先は、まだ一人残っています】

あれがどういう意味なのか。

俺はまだ分からなかった。

ただ――

「考えていても仕方ないか」

馬車に揺られながら、俺は外を見た。

「まずは商売だ」

「蓮さん、切り替えが早いですね」

リナが笑う。

「商人だからな」

「昨日まで境界の謎を追っていた人とは思えない……」

ミリアが苦笑した。

「それも商売のうちだよ」

「違うと思います」

即答された。

「……はい」

          ◇

半日ほど進むと、潮の香りがしてきた。

「海だ!」

リナが窓から身を乗り出す。

「危ないぞ」

「すごい……!」

目の前に広がったのは、大きな港だった。

帆船。

漁船。

荷物を積んだ船。

商人。

魚を売る人。

港は王都以上に人が多い。

「ここなら売れる」

ガルドが港を見ながら言った。

「何が?」

「全部だ」

「全部?」

「港では毎日、物が動く。食料も道具も衣服も保存用品も必要になる」

俺はニヤリとした。

「……なるほど」

日本の百円ショップの商品と相性がいい。

特に――

保存容器。

ラップ。

キッチン用品。

タオル。

洗濯用品。

小型ライト。

電池。

そして食品。

「コンビニみたいな店にするか」

「こんびに?」

ミリアが首を傾げる。

「いろんな物が一つの店で買える店だよ」

「それは便利ですね」

「名前は――」

俺は少し考えた。

「異世界コンビニ」

「そのままですね」

ガルドが笑った。

          ◇

港町の商業地区。

俺たちは空いている建物を探した。

すると――

「ここがいい」

ガルドが一軒の建物を指差した。

港から歩いて三分。

倉庫にも使える広い建物。

一階は店舗。

奥には大きな倉庫。

二階には事務所。

「ここなら商品を大量に置ける」

「家賃は?」

「月十五金貨」

「……高い?」

俺が聞く。

「港町なら普通だ」

ガルドは即答した。

「むしろ立地を考えれば安い」

「よし。借りよう」

「即決か」

「商売は場所が大事なんだろ?」

「その通りだ」

こうして――

港町支店が決まった。

          ◇

日本へ戻る。

俺は百円ショップに直行した。

「さて……何を持っていくか」

買い物かごが一つ。

二つ。

三つ。

気づけばカゴは山盛りになった。

保存容器。

ジッパーバッグ。

ラップ。

アルミホイル。

スポンジ。

洗剤。

タオル。

歯ブラシ。

石けん。

文房具。

電池。

LEDライト。

小さな傘。

軍手。

ロープ。

そして――

食品。

カップ麺。

インスタントスープ。

レトルトカレー。

お菓子。

「これだけあれば、かなり売れるな」

俺は商品を店へ運び込む。

するとスマートフォンが鳴った。

ピッ。

【店舗間転送】

【王都支店】

【港町支店】

【接続可能】

「おお……!」

王都の店と港町の店を直接つなげられる。

つまり――

「在庫を移動できる」

ガルドが目を見開いた。

「それは商人にとって、とんでもない機能だぞ」

「だよな」

王都で商品が余れば港町へ。

港町で足りなければ王都から。

「これなら大きな倉庫を何個も持たなくていい」

ガルドが笑った。

「本当に商売が変わってきたな」

          ◇

翌朝。

港町支店。

看板が掲げられた。

『異世界商人・佐伯蓮』

その下には――

『生活用品・食品・便利な品、あります!』

「開店!」

扉を開ける。

最初のお客は――

漁師だった。

「ここは何の店だ?」

「いろんな商品を売っています」

俺は保存容器を見せる。

「魚を入れておけます」

「ほう」

次にジッパーバッグ。

「小分けにもできます」

「これは便利だな」

さらにラップ。

「魚を包んで保存できます」

漁師の目が輝いた。

「これ、全部くれ」

「ありがとうございます!」

いきなり大口注文。

続いて別の客。

「その小さい灯りは?」

LEDライト。

「夜の船でも使えます」

「電池は?」

「あります」

「じゃあそれも」

さらに客。

「この箱は?」

保存容器。

「食べ物を入れられます」

「それも」

次々と商品が売れていく。

ミリアが驚く。

「王都とは売れ方が違いますね!」

「港町だからな」

ガルドも帳簿を確認する。

「保存用品、ライト、電池、食品。この三つが特に強い」

「じゃあ、そこを増やそう」

俺はすぐに日本へ戻る。

そして商品を追加。

港町支店の棚が埋まっていく。

「すごい……」

リナが呟いた。

「これが商売なんですね」

「そう」

俺は笑った。

「必要なところに、必要なものを持ってくる」

すると――

ピッ。

スマートフォンが鳴った。

【商業活動を確認】

【港町との接続が安定】

【境界安定率】

【68%→71%】

「……上がった」

俺は画面を見る。

やっぱりそうだ。

商売そのものが、境界を安定させている。

「なら、もっと売ろう」

「蓮さん……」

ミリアが呆れた顔をする。

「境界を守るために?」

「もちろん」

俺は胸を張った。

「そして――大儲けするために!」

「結局そこなんですね」

全員が笑った。

          ◇

その日の夕方。

売上を確認する。

「……二百三十金貨」

「一日で?」

ミリアが目を丸くした。

ガルドは帳簿を見ながら笑っている。

「王都支店を超える勢いだな」

「港町、すごいな」

俺も思わず笑う。

これなら――

本当に大きな商売ができる。

その時だった。

店の奥から、

カラン……

と音がした。

誰も触っていない倉庫の扉が開いている。

「誰かいる?」

俺が近づく。

そこには、古い木箱が一つ置かれていた。

港の荷物らしい。

だが――

箱に刻まれていた文字を見た瞬間。

俺の足が止まった。

『SAEKI』

「……佐伯?」

ガルドも近づく。

「これは……日本語か?」

「いや」

俺は箱を開けた。

中に入っていたのは――

一本の古びた鉛筆。

そして、一枚の紙。

紙には、たった一行だけ書かれていた。

『最初の守護者は、海から帰ってくる』

「……何だ、これ」

その瞬間。

スマートフォンが激しく震えた。

【第七接続先】

【反応増大】

【佐伯家・第一世代】

【接続地点――港】

そして最後に――

【生存反応を確認】

俺は顔を上げた。

窓の向こう。

暗い海の上に――

一つの小さな灯りが見えた。

ゆっくりと。

こちらへ近づいてくる。

「……船?」

ガルドが呟く。

だが俺には分かった。

あれは――

ただの船じゃない。

「……佐伯家の誰かが来る」

港の灯りが、一つ。

また一つ。

こちらへ近づいてきた。

俺たちは、その船を見つめた。

異世界商売の新しい拠点。

そして――

佐伯家の始まりへつながる、古い航路。

その二つが、今夜、重なろうとしていた。

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