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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第1章 カーテンの向こうで大商売!
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第32話 異世界商売、再開――店を取り戻せ!

「……疲れた」

俺は王都の門をくぐった瞬間、そう呟いた。

境界。

謎の世界。

母さんとの再会。

境界喰らい。

第七接続先。

正直、頭がパンクしそうだった。

「蓮」

隣を歩くミリアが笑う。

「帰ってきたね」

「……ああ」

リナも嬉しそうに王都を見回す。

「懐かしいです」

狼王は――

「人が多い」

「お前は街に入るの初めてだからな」

「うむ」

そしてガルド。

「……」

なぜか腕を組んで黙っている。

「ガルド?」

「蓮」

「何?」

「商売をするぞ」

「……」

俺は笑った。

「やっぱりそれだよな」

「当然だ」

ガルドが胸を張る。

「世界を救っている間に、商売の時間を無駄にした」

「そこなのかよ!」

だが。

王都に入った瞬間。

俺たちは異変に気づいた。

「……なんだ?」

通りに人が多すぎる。

しかも。

みんながこちらを見ている。

「蓮!」

突然、誰かが叫んだ。

「異世界商人だ!」

「帰ってきたぞ!」

「境界を救った商人だ!」

「日本の商品を売ってくれ!」

「カップ麺は!?」

「石けんは!?」

「電池はまだあるか!?」

「ちょっと待って!」

俺は完全に囲まれた。

「なんでこんなに知ってるんだ!?」

ミリアが笑う。

「有名になったんじゃない?」

「俺、普通の会社員だったんだけど……」

ガルドが肩を叩く。

「諦めろ」

「何を?」

「お前はもう普通じゃない」

そんな会話をしていると――

見慣れた建物が見えてきた。

以前、俺が商品を売っていた店。

しかし。

「……」

俺は足を止めた。

店の前に――

ものすごい行列ができていた。

「何これ?」

店の看板には大きく、

『異世界商人・佐伯蓮の商品店』

と書かれている。

「俺、こんな看板作った覚えないぞ」

ガルドが笑った。

「俺が作った」

「お前か!」

「留守の間も商売は続けないとな」

「勝手に!」

「売上は分けてある」

「……」

ガルドが袋を渡してきた。

ズシッ。

重い。

「何これ?」

「売上金」

袋を開ける。

金貨。

銀貨。

大量の硬貨。

「……」

俺は固まった。

「いくら?」

「ざっと金貨三百枚」

「さんびゃく……?」

ミリアも驚く。

「すごい……」

ガルドは笑った。

「まだ仮の店舗だ」

「これで?」

「本格的に店を開けば、もっと稼げる」

俺は思わず笑ってしまった。

「……やるか」

「何を?」

俺は店を見る。

「本格的に」

その日の午後。

俺たちは王都の空き店舗を一軒借りた。

大きな建物。

一階は販売。

二階は倉庫。

さらに裏には荷物置き場。

「ここなら大量の商品を置ける」

俺はスマートフォンを見る。

【商品転送】

使用可能。

「よし」

俺は日本へ戻った。

向かった先は――

いつもの100円ショップ。

「久しぶりだな……」

店内を見る。

収納用品。

掃除用品。

文房具。

キッチン用品。

タオル。

洗濯用品。

電池。

ライト。

そして――

食品。

俺はカゴを手に取った。

「今日は本気で仕入れる」

気づけばカゴが三つ。

いや。

五つ。

十個。

「……持てない」

俺は店員さんに助けてもらいながら大量購入した。

異世界へ戻る。

そして――

商品転送。

次々と商品が倉庫へ現れる。

ミリアが目を輝かせる。

「すごい!」

リナも驚く。

「こんなに……」

狼王が箱を見る。

「食べ物か?」

「お前、まず食べ物を見るな」

ガルドは商品を一つずつ確認する。

「石けん」

「タオル」

「電池」

「収納箱」

「文房具」

そして――

「これは?」

ガルドが手にしたのは、折りたたみ傘。

「傘」

「……雨を防ぐ?」

「そう」

ガルドが目を輝かせる。

「売れる」

「即決かよ」

さらに俺は、今回の目玉商品を取り出した。

「これだ」

箱を開ける。

中には――

インスタントラーメン。

「……」

全員が固まる。

ミリアが恐る恐る聞く。

「また……あれ?」

「そう」

「カップ麺?」

「今回は袋麺もある」

ガルドの目が光った。

「大量販売だ」

「決まりだな」

俺たちは店を開けた。

「いらっしゃいませ!」

一瞬。

静かになる。

そして――

「来たぞ!」

「日本の商品だ!」

「石けん!」

「タオル!」

「カップ麺!」

「傘もある!」

店内が一気に人で埋まった。

俺は商品を並べながら笑った。

やっぱり――

これだ。

俺が異世界に来た理由なんて分からない。

境界の謎もまだ残っている。

母さんも。

父さんも。

第七接続先も。

全部、まだ途中だ。

でも。

今は――

商売が楽しい。

「ミリア、タオル補充!」

「はい!」

「リナ、食品コーナーお願い!」

「分かりました!」

「ガルド!」

「何だ?」

「値段設定!」

「任せろ!」

「狼王は……」

狼王は店の入口に座っていた。

「客が逃げないよう見張る」

「それ、完全に看板犬だな」

「我は狼王だ!」

店内から笑い声が起きる。

そして。

閉店時間。

俺は売上表を見る。

「……」

金貨。

銀貨。

大量の売上。

ガルドが計算する。

「本日の売上――」

一枚。

二枚。

三枚。

そして。

「金貨百二十枚」

「……」

俺は思わず椅子に座った。

「一日で?」

「ああ」

ガルドが笑う。

「これで勝負の続きができる」

俺は笑った。

「ガルド」

「何だ?」

「まだ俺たちの商売勝負、終わってなかったんだよな」

「ああ」

「じゃあ――」

俺は握手を差し出した。

「本気でやろう」

ガルドも握り返す。

「望むところだ」

その瞬間。

スマートフォンが鳴った。

ピコン。

【商業活動による境界安定を確認】

【大規模な交易活動を検知】

【新しい商業機能を解放】

俺は画面を見る。

【店舗間転送】

「……店舗間転送?」

ガルドが覗き込む。

「これは……」

俺は笑った。

「もしかして」

スマートフォンに新しい表示が出る。

【支店を開設できます】

【最大店舗数:3】

俺とガルドは同時に顔を見合わせた。

「……支店?」

ガルドの目が輝いた。

「蓮」

「ああ」

「王都だけでは足りない」

「だな」

ガルドが地図を広げる。

「次は――」

地図上に三つの都市が表示される。

王都。

港町。

そして――

ドラゴン族の国。

俺は思わず笑った。

「よし」

異世界商売。

第二段階だ。

そして俺たちは知らなかった。

この店が――

やがて異世界中に広がる、

巨大商会の始まりになることを。

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