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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第3章 未知の海へ!最初の商人と境界の秘宝
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第20話 最強代表チキン降臨! ケンタッピー&コーラで全員天国へ!?

竜王国・王都。

「……まさか、ここまで人気が出るとは」

俺、佐伯蓮は、店の売上帳を見ながら呟いた。

昨日のコンビニ唐揚げ試食会。

結果は――大成功。

冒険者から商人、騎士まで、みんな唐揚げの虜になってしまった。

特に狼王はひどい。

「蓮。今日の唐揚げはまだか?」

朝から店に来ている。

「まだです!」

「なぜだ!」

「朝ご飯を食べたばかりでしょう!」

「肉は別腹だ!」

「狼王、別腹の使い方がおかしい!」

ガルドが帳簿をめくりながら笑った。

「こいつら、すっかり日本の食べ物に夢中だな」

「本当にね……」

俺は肩を回した。

ここ数日、店の準備や販売で働きっぱなしだった。

ミリアもリナも、セレナも手伝ってくれた。

みんな疲れている。

「……よし」

俺は顔を上げた。

「今日はお疲れ会をやろう!」

「お疲れ会?」

ミリアが首を傾げる。

「そう。いつも手伝ってくれてるみんなへのご褒美だ」

「ご褒美……!」

リナの目が輝いた。

狼王はすでに立ち上がっていた。

「肉か?」

「肉だ」

「行くぞ!」

「まだ何も説明してない!」

          ◇

俺はスマートフォンを取り出した。

今日のお疲れ会は、いつもの商品とは違う。

販売用ではない。

完全に身内だけで楽しむ、特別なパーティーだ。

「今回は日本を代表するチキンを用意します」

「日本を代表するチキン?」

ガルドが聞き返した。

「いや、正確には日本でも大人気の、あのチキンだ」

俺は注文画面を開いた。

ケンタッピーフライドチキン。

オリジナルチキン。

クリスポー。

ポテト。

ビスケット。

それから――

「コーラも大量に!」

「コーラ?」

「シュワシュワする甘い飲み物です」

「また不思議な飲み物か……」

ミリアが期待に満ちた顔をする。

「前に飲んだとき、とてもおいしかったです」

「今回はさらに、特別なものを用意するぞ」

俺はニヤリと笑った。

「生ビールだ!」

「ビール?」

ガルドの目が変わった。

「おい、蓮。それは本当か?」

「本当だよ。もちろん飲める人だけな」

ガルドは静かに拳を握った。

「……今日は帰らん」

「いや、帰ってください。ここでやるんですから!」

そして注文を確定する。

チキンは大量。

コーラも大量。

生ビールも、飲む人の分をしっかり用意。

今日は売上も仕事も忘れて楽しむ日だ。

スマートフォンに表示された注文内容を見て、俺は思わず笑った。

「……買いすぎたかな」

狼王が即答する。

「少ないよりはいい」

「まだ食べてもいないのに!」

          ◇

夕方。

店の奥にある広い部屋。

テーブルの上には、大量の箱が並んでいた。

そして――

フタを開けた瞬間。

ふわあああっ……!

香ばしい匂いが部屋いっぱいに広がった。

「おおおおおっ!」

狼王が吠えた。

リナは口元を押さえる。

「すごい……! こんなにたくさん!」

ミリアは箱の中を覗き込んだ。

「これが全部、鶏肉なんですか?」

「そうだよ」

俺は箱を開けていく。

カリッとした衣に包まれた、大きなフライドチキン。

その独特のスパイスの香り。

見ているだけでお腹が鳴る。

「こちらがオリジナルチキン」

俺が説明する。

「そして、こっちはクリスピー。衣が違うんだ」

「両方食べる!」

リナが即答した。

「もちろん、好きなだけどうぞ」

「蓮様」

セレナが優雅に微笑んだ。

「私の分は、蓮様が選んでくださいますか?」

「いいですよ。どれがいいですか?」

「蓮様と同じものを」

「じゃあオリジナルチキンにします?」

「はい♡」

「……普通に注文できるじゃないですか」

「蓮様に選んでいただくことが大切なのです」

「そうですか……」

その横では、狼王がすでにチキンを両手に持っていた。

「では、いただく!」

ガブッ!

「…………」

狼王が固まった。

「狼王?」

返事がない。

もう一口。

ガブッ!

そして、ゆっくりと目を閉じた。

「……これは」

「どうです?」

狼王は天を仰いだ。

「肉の神が降臨した……!」

「大げさだな!」

しかし、笑っていたガルドも一口食べると黙り込んだ。

カリッ。

ジュワッ。

スパイスの香り。

鶏肉の旨味。

「……蓮」

「はい?」

「これは商売に使える」

「お疲れ会だって言ってるでしょう!」

「分かっている。今日は仕事の話はしない」

ガルドはチキンをもう一口食べた。

「明日、考える」

「絶対に忘れてないじゃないですか!」

          ◇

「では、飲み物も配ります!」

俺はコーラをグラスに注いだ。

シュワシュワシュワ……。

黒い液体に、細かな泡が立ち上る。

「これがコーラです」

リナがグラスを受け取った。

「いただきます!」

ゴクッ。

「……!」

目が丸くなった。

「甘い! それに、口の中がシュワシュワする!」

「気に入った?」

「はい! チキンと一緒に飲むと、すごくおいしいです!」

ミリアも一口飲んだ。

「炭酸が爽やかですね。油っぽさもすっきりします」

「そうそう。チキンにはコーラが合うんだよ」

セレナもグラスを持ち上げた。

「蓮様。こちらも素晴らしいですね」

「でしょう?」

「この飲み物も、ぜひ私たちの食卓に……」

「今日は商売の話は禁止です!」

「残念です♡」

一方、ガルドと狼王には生ビールを用意した。

冷えたジョッキに注がれた黄金色の液体。

白い泡がふわりと盛り上がる。

「これが生ビールか……」

ガルドがジョッキを持ち上げる。

狼王も興味深そうに眺めた。

「麦の酒だな」

「そう。大人向けの飲み物だよ。飲むならゆっくりね」

「分かっている」

二人はジョッキを軽く合わせた。

「乾杯!」

ゴクッ。

ガルドが目を見開いた。

「……うまい!」

狼王も喉を鳴らした。

「冷たい! そして、この苦味……肉に合う!」

「だろ?」

俺も自分のジョッキを持ち上げた。

「みんな、今日は本当にありがとう。店がここまでやってこられたのは、みんなのおかげだ」

「蓮さん……」

ミリアが微笑んだ。

リナも頷く。

「これからも一緒に頑張りましょう!」

「うん。でも、今日は仕事のことは忘れて楽しもう!」

俺たちはグラスとジョッキを掲げた。

「お疲れさま!」

「「「乾杯ーっ!」」」

          ◇

それから先は――

もう、説明する必要もないだろう。

狼王はチキンを次々と平らげた。

「この衣! この肉汁! 素晴らしい!」

リナはクリスポーとポテトを交互に食べている。

「こっちもおいしい! あっ、ビスケットも食べたい!」

ミリアはコーラを飲みながら、幸せそうにチキンを頬張っていた。

「こんなにおいしいものを、みんなで食べられるなんて……」

セレナは俺の隣で、チキンを一口ずつ味わっている。

「蓮様と一緒に食べると、いつも以上においしいですね♡」

「それは気のせいじゃないですか?」

「いいえ。愛の力です」

「チキンの力だと思います」

ガルドはビールを飲み、チキンを食べ、満足そうに頷いていた。

「この組み合わせは反則だな……」

そして狼王。

両手にチキン。

口いっぱいに頬張りながら、堂々と宣言した。

「我は今、人生で最も幸福だ!」

「狼王、人生って何年生きてるんですか!」

「細かいことは気にするな!」

全員が笑った。

笑って、食べて、飲んで。

気づけばテーブルの上は空箱だらけ。

コーラのボトルも空。

ビールを飲んだ大人たちは、すっかり上機嫌になっていた。

「……もう、食べられない」

リナが椅子にもたれた。

「私もです……」

ミリアもお腹を押さえている。

セレナは俺の肩にそっと寄りかかった。

「蓮様……幸せです……」

「セレナさん、寝ないでくださいね」

「蓮様のお隣で眠れるなら……」

「眠らないで!」

ガルドは椅子に深く座り、天井を見上げていた。

「……いい店だ」

「ここ、俺の店の奥ですよ」

「分かっている……」

そして狼王は――

床に大の字になっていた。

「……天国だ」

「まだ生きてますからね!」

「分かっている……だが、心は天国にいる……」

俺は思わず吹き出した。

「みんな、そんなに喜んでくれるとは思わなかったよ」

ミリアが優しく笑う。

「おいしいものを食べると、心まで幸せになりますから」

「ああ……そうだな」

日本にいた頃、コンビニで買っていた唐揚げ。

特別な日でも何でもない、いつもの食べ物。

でも、こうして異世界の仲間たちと囲むと、何倍もおいしく感じる。

俺は空になった箱を見つめて、満足そうに笑った。

「また、みんなでやろうな」

「「「ぜひ!」」」

狼王だけは、すでに眠りかけていた。

「次は……チキンを……倍に……」

「聞こえてますよ!」

          ◇

その夜。

お疲れ会は、大成功に終わった。

ただし、翌朝。

店の奥には、食べすぎて動けない狼王と、二日酔い気味のガルドが残されていた。

「……蓮」

ガルドが呻く。

「水をくれ……」

「はいはい」

狼王も床から顔を上げた。

「蓮……昨日の肉は……」

「今日はありません!」

「なぜだ……」

「昨日、あれだけ食べたでしょう!」

俺は笑いながら片付けを始めた。

そしてスマートフォンにメモを残す。

『身内限定チキンパーティー、大成功』

『次回は食べすぎ注意』

『狼王には個数制限を設けること』

その直後。

ピコン。

【新規商品への関心を確認】

【対象:フライドチキン】

【購入希望者:多数】

「……え?」

俺は画面を見つめた。

昨日のパーティーを、誰かが外から見ていたのか?

いや、違う。

どうやら、店の外までチキンの香りが広がっていたらしい。

そして――

「蓮! 昨日の肉を売る予定はないのか!」

店の外から、冒険者たちの声が聞こえた。

俺は天井を仰いだ。

「……また、商売が増えた」

異世界の仲間たちを天国へ送った日本代表チキン。

その人気は絶大だった。

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