第12話 地下室に潜入!スマホが見つけた不正の証拠
「佐伯家の後継者を確認」
地下室に、不気味な声が響いた。
「……今の、何だ?」
蓮はスマートフォンを見つめた。
画面には、見たことのない文字が表示されている。
【旧管理者権限を確認】
【記録保管室を解放します】
「旧管理者って……俺のことか?」
「蓮様、気をつけてください」
セレナがすぐ隣に立った。
「こういう場所では、何が起こるか分かりません」
「ありがとうございます。でも、ちょっと近くないですか?」
「怖いので♡」
「絶対うそですよね!?」
ミリアが小さく笑った。
「二人とも、今はそれどころじゃありませんよ」
そのとき、地下室の奥で大きな音がした。
ガコン!
重い扉が開いていく。
その向こうには、たくさんの棚が並んでいた。
棚には、商人たちの名前が書かれた帳簿がぎっしり詰まっている。
「これ、全部記録なのか……?」
蓮は一冊の帳簿を手に取った。
そこには、黒曜港で商売をしている商人たちの名前が並んでいた。
そして――
「……ひどいな」
ある商人の信用値が、突然大きく下げられていた。
別の商人は、支払いを済ませているのに、未払いと記録されている。
さらに、店の営業権まで勝手に売られていた。
「こんなの、めちゃくちゃじゃないか!」
ミリアが顔をしかめる。
「わざと信用を落として、商売ができなくなるようにしているんですね」
「そうだ。信用を失えば、誰も取引してくれなくなる」
蓮は拳を握った。
「そして、困った商人から安く権利を買い取る……」
商売を頑張ってきた人たちが、こんなやり方で苦しめられている。
許せるはずがなかった。
ピコン!
スマートフォンが鳴った。
【不正取引の証拠を発見】
【記録を保存しますか?】
「もちろん!」
【証拠の保存に成功しました】
「よし!」
蓮が喜んだ、その瞬間。
「誰だ、そこにいるのは!」
奥から男たちの声が聞こえた。
「しまった! 見つかった!」
ミリアが杖を構える。
セレナも蓮の前に立った。
「蓮様、下がってください!」
「いや、みんなだけに任せるわけにはいかない!」
蓮はスマートフォンを握りしめた。
すると、画面に新しい表示が現れた。
【危険を検知】
【緊急脱出ルートを表示します】
床に、青い矢印が浮かび上がる。
「こっちだ!」
蓮たちは矢印に従って走った。
背後から男たちが追いかけてくる。
「待て!」
「待てと言われて待つやつがいるか!」
蓮は必死に走った。
途中で曲がり角を間違えそうになったが、スマートフォンがすぐに教えてくれた。
【右へ進んでください】
「助かる!」
ようやく階段を上り、建物の外へ飛び出した。
「はあ……はあ……」
蓮は膝に手をついた。
「何とか逃げられた……」
ミリアが笑う。
「スマートフォン、大活躍ですね」
「ああ。でも、証拠は取れた」
蓮は画面を確認した。
【不正取引記録:保存済み】
【関連商会:ローデン商会】
「……ローデン商会?」
その名前を見た瞬間、蓮は顔を上げた。
黒曜港で出会った、あの男。
信用値9999の商人、ローデン。
「やっぱり、何か関係があるのか……?」
そのとき、背後から声がした。
「そこまで調べたのなら、もう引き返せないぞ」
振り返ると、ローデンが立っていた。
蓮はスマートフォンを握りしめた。
「あなたは、何を知っているんですか?」
ローデンは静かに笑った。
「明日、私の商会へ来い。すべてを知りたければな」
そう言い残し、ローデンは去っていった。
蓮は仲間たちを見た。
「……行くしかないな」
セレナが微笑む。
「もちろん、お供します。未来の妻として♡」
「だから妻じゃない!」
こうして蓮は、ローデン商会へ向かうことになった。
だが、彼はまだ知らなかった。
ローデンが本当に恐れている人物が、別にいることを。




