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「カーテン開けると異世界トリップで大儲け」  作者: 碧凛睡
第3章 未知の海へ!最初の商人と境界の秘宝
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第4話 海に浮かぶ謎の島!魔物と宝の眠る遺跡

ゴーン……。

霧の向こうから、三度目の鐘が鳴った。

「……見えた!」

船員の叫び声が響く。

灰色の霧が、ゆっくりと左右に割れていく。

その向こうに現れたのは――。

巨大な島だった。

「うわ……!」

蓮は思わず声を上げた。

島の中央には、空を突き刺すような石造りの塔がそびえている。

海岸には白い砂浜。

その奥には、見たこともない巨大な樹木が生い茂っていた。

そして、島のあちこちに、古代遺跡らしき建造物が点在している。

だが、不自然なこともあった。

波が島の手前で二つに分かれている。

まるで、島そのものが海から少し浮いているかのようだった。

「……島が浮いている?」

ミリアが目を見開く。

「いえ、正確には……地面と海の間に、何かがあるように感じます」

リナが地図を広げた。

すると、地図の中央に青白い光が集まった。

【未登録地域を確認】

【名称:境界浮島】

【接続状態:不安定】

【古代遺跡反応:複数】

【魔物反応:多数】

「魔物反応、多数って……」

蓮は画面を見つめた。

「観光地じゃないことだけは確かだな」

セレナが蓮の腕にそっと抱きついた。

「大丈夫です。危険なときは私が蓮様を守ります♡」

「ありがとうございます。でも、まずは安全確認からです」

「さすが未来の旦那様。慎重ですね♡」

「その呼び方、いつまで続くんですか……」

「結婚するまでです♡」

「長期戦確定じゃないですか!」

狼王が呆れたように鼻を鳴らした。

「島に着く前から騒がしいぞ」

そして、蓮の頭の上ではモモが羽を震わせていた。

「ぷりん! ぷりん!」

「モモ、島にプリン屋はないと思うぞ」

「ぷりん……」

モモは明らかに落ち込んだ。

「そんな顔をするな。帰ったら買ってやるから」

「ぷりん!」

「現金なやつだな……」

          ◇

船は、島の東側にある入り江へ進んだ。

ガルン船長が慎重に舵を切る。

「妙だな……」

「どうしました?」

蓮が尋ねる。

「風が止まっている。帆を張っているのに、船が勝手に進んでいるんだ」

「潮の流れですか?」

「いや、違う」

ガルンは海面を見つめた。

「海そのものが、船を島へ引っ張っているようだ」

その瞬間。

ゴゴゴゴゴ……。

海の底から低い音が響いた。

船体が大きく揺れる。

「全員、つかまれ!」

ガルンが叫んだ。

船の横で、巨大な泡が次々と浮かび上がる。

そして――。

ザバァァァン!

海面から、黒い触手が飛び出した。

「魔物だ!」

触手が船の縁に巻きつく。

ギシギシ……。

木材が悲鳴を上げた。

「船を壊す気か!」

蓮はスマートフォンを取り出した。

【魔物反応を確認】

【対象:深海拘束種】

【危険度:高】

【弱点:魔力核】

「魔力核を探せってことか!」

ミリアが杖を構える。

「私が触手を凍らせます!」

「頼む!」

「氷結拘束!」

冷気が走り、触手の一部が凍りつく。

だが、別の触手が船尾へ伸びた。

「させるか!」

狼王が跳躍する。

黒い爪が触手を切り裂いた。

海魔が苦しそうに身をよじる。

「グォォォォ!」

「まだ来るぞ!」

リナが叫んだ。

海面の下に、さらに二つの影が見える。

蓮は画面を操作した。

「境界追跡……使えるか?」

【境界追跡】

【対象の接続点を検出します】

蓮が海魔を見つめる。

すると、黒い触手の根元に、赤い光が見えた。

「そこだ!」

蓮は船員に叫んだ。

「左舷の下! あの赤い光を狙ってください!」

「そんなところに何があるんだ!」

「説明は後です!」

ミリアが杖を向けた。

「魔力弾!」

光弾が海へ飛び込む。

ドォン!

水柱が上がった。

海魔の動きが止まる。

同時に、蓮のスマートフォンが鳴った。

【境界接続点を検出】

【接続解除を実行しますか?】

「やるしかない!」

蓮は画面をタップした。

【実行】

パキンッ!

見えない何かが砕ける音がした。

触手が一斉に力を失う。

海魔は大きな水しぶきを上げ、海中へ沈んでいった。

静寂が戻った。

「……助かったのか?」

船員が呟く。

蓮は深く息を吐いた。

「たぶん……」

スマートフォンには、新しい表示が出ていた。

【境界追跡:経験値を取得】

【解析進行度:35%】

【新機能候補:接続点の可視化】

蓮は画面を見つめた。

「新しい能力……」

今までは、境界の異常を感覚的に見つけることしかできなかった。

しかし、これからは接続点そのものを見つけられるかもしれない。

「これなら、島の謎も解けるかもしれないな」

ミリアが頷いた。

「ただし、無理は禁物です。今の力も、何度使えるか分かりませんから」

「分かってるよ」

セレナが蓮の服についた水滴を拭う。

「蓮様、濡れてしまいましたね」

「海の上ですからね」

「では、帰ったら私が着替えを用意します♡」

「自分で用意します!」

「遠慮しなくてもいいのに♡」

「遠慮じゃありません!」

モモが蓮の肩で羽を震わせた。

「ぷりん!」

「モモはプリンのことしか考えてないな……」

          ◇

しばらくして、船は入り江に到着した。

白い砂浜。

透明な海。

鳥の声。

一見すると、美しい無人島だった。

だが、砂浜には妙なものが落ちていた。

古びた靴。

割れた木箱。

錆びた剣。

そして――。

砂に半分埋もれた、小さな金属板。

蓮はそれを拾い上げた。

表面には文字が刻まれている。

「……日本語?」

ミリアが驚いた。

「読めるんですか?」

「ああ。でも、かなり古い文字だ」

蓮は砂を払い落とした。

金属板には、こう刻まれていた。

『佐伯家 調査記録』

『第一回調査』

『境界浮島に到着』

蓮の手が止まった。

「……佐伯家?」

リナが駆け寄ってきた。

「蓮さん、見せてください!」

金属板の裏側には、さらに文字があった。

『島の中心には、境界を制御する装置がある』

『装置を動かしてはならない』

『もし装置が停止すれば、島は海の底へ沈む』

蓮は顔を上げた。

「島が沈む……?」

その瞬間。

ドンッ!

島の奥から、地響きが響いた。

遠くの塔が青白く光る。

そして、地面がわずかに揺れた。

「何だ!?」

ミリアが身構える。

リナの地図が激しく光った。

【警告】

【境界浮島:安定率低下】

【古代装置:起動反応】

【残存時間:不明】

蓮は金属板を握りしめた。

「誰かが装置を動かしたのか?」

狼王が森の奥を睨む。

「……何かいる」

木々の間。

巨大な影が動いた。

ゆっくりと姿を現したのは、石の鎧をまとった獣だった。

頭には二本の角。

身体には古代文字が刻まれている。

その胸には、赤く輝く魔力核。

「古代の守護魔物……!」

ミリアが息をのむ。

魔物は蓮たちを見つめた。

そして、低い声で告げた。

『佐伯の血を確認』

蓮の身体が固まった。

「……今、何て言った?」

魔物の目が赤く輝く。

『侵入者を排除する』

「いやいやいや! 話し合いは!?」

蓮は慌てて手を上げた。

「俺たちは調査に来ただけで、遺跡を壊すつもりは――」

『排除』

「聞いてない!」

魔物が地面を蹴った。

ドォォン!

巨大な爪が振り下ろされる。

蓮たちは左右へ飛び退いた。

砂浜が大きくえぐれる。

「蓮様!」

セレナが蓮の前に立った。

黒い魔力が彼女の周囲に広がる。

「この方に手を出すことは、許しません」

ヴェルティアほどではないにしても、セレナの魔力も相当なものだった。

だが、魔物は一歩も退かなかった。

『佐伯の血』

『鍵を持つ者』

『扉を開けよ』

蓮は息をのんだ。

「鍵……?」

その言葉に反応するように、蓮のスマートフォンが震えた。

【古代遺跡の認証装置を確認】

【血統照合:一致】

【新能力候補:境界鍵】

【解放条件:遺跡の中枢へ到達する】

蓮は画面を見つめた。

「境界鍵……。これが新しい能力なのか?」

だが、詳しく確認する余裕はなかった。

守護魔物が再び動き出したからだ。

「まずは、こいつをどうにかしないと!」

狼王が吠えた。

「蓮! 魔物の注意は我が引き受ける!」

「頼む!」

ミリアが魔法を準備する。

リナは地図を開き、遺跡へ続く道を探した。

セレナは蓮の隣で、静かに微笑んだ。

「蓮様。必ず生きて帰りましょう」

「ああ!」

蓮はスマートフォンを握りしめた。

島の中心にある古代遺跡。

佐伯家の調査記録。

そして、蓮だけに反応する守護魔物。

この島は、偶然見つかった場所ではない。

誰かが、佐伯家の人間が来ることを待っていたのだ。

そのとき、島の中央から再び鐘が鳴った。

ゴーン……。

守護魔物が動きを止める。

そして、蓮を見つめた。

『鍵を持つ者よ』

『扉の前へ』

『最初の商人が待っている』

蓮の顔から笑みが消えた。

「……最初の商人?」

霧の向こう。

古代遺跡の扉が、ゆっくりと光り始めた。

その扉には――。

佐伯家の紋章が刻まれていた。

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